エギュンー6ー
「…ったく、ディテの奴。睨むなんて卑怯だぞ…。それに、あんな腰抜け放っておけばいいのによぉ」
バルクはブツブツ文句をいいながらメインの研究室に向かっていた。
「おい、お前、どこに行く気だ」
どこから現れたのか、1人の研究員の男が話しかけてきた。
「侵入者が入ったらしいじゃないか。さっさと探しに行け」
「第一研究室に向かうようにと言われましたが、入隊したばかりで道に迷ってしまって」
「第一はこっちの道の突き当たりを右に行ってすぐだ。ったく」
研究員は不機嫌そうな顔をして、「しっ、しっ」と言って手でバルクを追いやると、持っていたカードを使い、部屋の中に入っていった。
「俺は犬じゃねぇっての!ったく兵士の格好なら楽に動けると思ったが、演技するのも意外に面倒だな…」
またブツブツ文句を言っていると、通信機から声がした。
『モーガンだ。いつまで時間かけてんだ?実験体として捕まっていたやつらは逃して、今は研究室の近くにいる』
「おっさん!バルクだ。今ちょうど俺も研究室の近くまで来てるぜ」
『ヤツらに俺たちのことがバレてやがる。まぁ、想定内だが。研究室には見張りの兵士が何人か居る。しかも厳重に鍵をかけてある。中に入るのは難しそうだ』
「戦うことも想定内、だろ?」
『はいはーい、こちらベルちゃんだよー!敵の殲滅は僕とおじさんにお任せあれ♪』
「俺も混ぜろよ。研究室ごとぶっ潰してやる」
『ディテよ。私たちもすぐに向かうわ。みんな、気をつけてね』
『「了解」』