エギュンー5ー
「反逆者…?何を言っている」
「この世界は今混乱の中にいるの。無意味な戦争で大勢の犠牲者が出ている。私たちはその戦争を終わらせるために戦っている」
「戦争を終わらせるって…一体」
「貴方の力があれば、この世界の無駄な争いも止められる」
「どういうことだ」
「詳しい説明はここを出てからするわ。とにかく、戦争を止めるには大きな力がいる。それを貴方は持ってる」
その言葉に檻の中にいる男は表情を変え、
「…俺には関係のないことだ。他に当たってくれ」
と言って顔を背けた。急に震え出した手を2人に気付かれないよう、必死に抑えつける。
「てめぇ…関係ねぇだと!?何様のつもりだ!?」
「バルク!声が大きいわよ!他の兵に見つかったらどうするのよ」
「ディテは黙ってろ。俺は最初からこんな奴に協力してもらおうなんて思ってねぇ」
「だったら!だったら…放っておいてくれ!」
「だがな、1つだけ言わせてもらう。お前なんか人間じゃねぇ。人を不幸にする悪魔そのものだ」
「人を不幸にする…?お前に俺たちの何が分かる」
「バルク、良い加減にして!言い争いをしに来たんじゃないのよ!?」
ディテはガッカリした顔で大きなため息をついた。
「バルク、先にモーガンたちと合流して爆弾の設置に向かって」
「は?こんな奴放ってお前も来…」
ディテはバルクを睨んで「早く行って」というと、バルクは冷や汗を流し、そそくさと研究室に向かっていった。