ーエギュン4ー
久しぶりに夢を見た。
部屋にいると灰色の子犬が俺の足元にすり寄ってきて
撫でてやろうとすると
犬は部屋を出てしまう。
後を追うと
大きな扉の前で一旦止まって俺を振り返る。
そして扉の中にスッと消えて…、
その先でいつも目が覚めるーーーー
研究所の地下がいつもと違い、騒々しくなっていた。
「何者かが研究所内に侵入したらしい。お前たち見なかったか?」
慌てた様子の2人組の兵士は、地下にある牢の見張りをする別の兵士たちに尋ねた。
「侵入者?見てないが」
見張りをしている兵士たちは、半ば信じられない様子で話を聞いていた。
「こんなところに、わざわざ侵入する奴が居るのか?」
「所長から、俺たち全員で侵入者を見つけ、捕まえろとの命令だ」
「所長の命令!?…それは一大事だな…」
「侵入者の数は分かっていないそうだ」
「そうか…分かった、手分けして探そう」
「ああ。お前たちはそっちを頼む」
見張りをしていた兵士たちが侵入者を探しに行き、姿が見えなくなるのを確認すると、2人の兵士たちはニヤリと笑った。
「バルクが演技上手だったなんて知らなかった」
「俺だって、やる時はやる男だからな」
「ふーん。さぁ、今のうちにやりましょう」
そして2人は地下牢のさらに奥へと進み、ある部屋の前で止まった。
「ここね…」
「おい、起きろ」
突然聞こえた大きな声で、牢の中の男は現実に戻される。ぼんやりとした視界がはっきりとしてくると、鉄格子越しに兵士が叫んでいるのが見えた。
(…飯の時間か…?)
陽も当たらない地下に閉じ込められているせいで時間の感覚が分からなくなっている。
さっきとは別に、女の声をした兵士が「私たちは貴方を助けにきたの。時間がないわ、急いでここから出て」と言って扉の鍵を開けた。
「…何を…。お前たち…兵士じゃないのか?」
まだ夢でも見ているのかと思い、目を擦ったり首を振ったりしてみるが、やはりこれは現実のようだ。
「あ?俺たち?反逆者だ」
男はニヤリと笑った。