エギュンー2ー
場所は羅白大国へと移る。
緋蘭よりずっと北にある5大国の一つだ。
一年のほとんどが雪や氷に覆われているためほとんど生産性のない場所だが、動物の毛糸を織り製品にすることで他国との貿易を行っていた。
しかし、戦争が始まって燃料は尽き、貿易が出来なくなったことで食料不足に陥り、羅白は戦争が始まって一年足らずで降伏をせざるを得なかった。降伏を宣言した後、王たちは処刑され、老人は無惨に殺された。男たちは労働力として他国へ連れて行かれ、女たちは兵士の性欲処理として生かされ、そして幼い子どもたちは、とある研究施設の実験体として捉えられていた。
羅白の最北端に、その研究所がある。
氷の上に建てられた研究所の周りは海で囲まれていて、そこに行くには橋を渡る以外にない。
しかし羅白には『人を食う悪魔がその橋の近くに住まう』という伝説があり、橋の近くまで行く者は誰もいなかったという。
吹雪は強さを増し、すぐそこにあるはずの建物が霞んで見える中、雪を踏む音が4つ聞こえる。
「ついにこの日が来たな」
「バル、しくじらないでね」
「うるせーよ!お前こそ足引っ張んなよ、チビ」
「僕はチビじゃない!!」
「2人とも、こんな時に喧嘩はよせ」
「先が思いやられるわ…」
「心配すんな。作戦通りにいくぜ」
「そろそろ時間よ。みんな…気をつけてね」
「ああ。作戦、開始だ」
4人は橋に向かって走り出した。