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Devil Slave  作者: をと
曖昧な記憶
17/42

曖昧な記憶ー3ー

「500年ほど前、戦争を止めようとした王が悪魔と契約し、戦争を終わらせたという話は知っているか?」


4人は頷いた。


「実際には王ではなく、その妃が契約を結んでいた、というのが真実だ。その悪魔は妃の寿命を食い尽くした後、一時的に次の妃の体に憑き、子を授ける。そして子どもが生まれると女の子どもに取り憑き…それを永遠と繰り返してきた。だが、王宮にある古い資料にも、どうやって戦争を終わらせたのかは載っていなかった」


「ちょっと、待て。もともとは1体の悪魔だけだったのに、なんでお前が悪魔を持ってんだよ!?確か、生まれる時から居るって言ってたよな?」


「ああ。だが、それについては詳しくは知らない。憶測で言うなら…悪魔が取り憑いている女を守る為に、他の悪魔を俺に取り憑かせているんだと、俺は思っている」


「女を守る?戦争を終わらせることが出来る力があるのにか?」


「悪魔も殺されれば死ぬ。当然だ。だからこそ人に取り憑き、誰かに守ってもらうことでそのリスクを減らしているんだろう」


「そういうもんなのか…?」


「それに、妃と契約した悪魔、今は俺の双子の妹に憑いているが、その悪魔はかなり階級の低い悪魔なんだ」


「「「え!?」」」


「正直俺にも、その悪魔が戦争を止められるのかは疑問だ」


「おい、おい、話が違うじゃねぇかよ。てっきり、大陸を一発で吹き飛ばすような破壊力があんのかと…」


「俺の知る限り、そんなものは持っていない」


「そんな…」


4人は落胆したようだった。


「それとは別に、俺たち一族の血を引く者は、悪魔と契約を交わすことで、悪魔を支配下に置くことが出来る。代価を支払うことになるが」


「それって、何かと引き換えに悪魔を呼べるってこと?」


「ああ。王宮には冥界、つまり悪魔の世界に続く部屋があって、そこで儀式をすることで悪魔を呼び出すことが出来るんだ。そして契約する」


「王宮に、そんなものが…」


「今日のあの人喰い悪魔とも契約したんだよな?」


「ああ。だが普通の契約とは少し違う。契約は人間と悪魔が対等に結ぶものだが、今回は忠実な使い魔としての契約だ」


「は?どう違うんだよ?」


「簡単に言うと、代価なしで自由に悪魔を呼べる」


「それ、反則だろ!無敵じゃねぇか」


「それは違うな。使い魔は主人との力の差があるから従う。つまり使い魔はそれ程強くない場合が多い」


「それ程強くないって…」


バルクたちは悪魔が兵士を喰い、ヒロセを引き裂いたことを思い出した。


「………」


「かなり強いだろ!!!」


「ねぇ、ねぇ!ウィル君!ぼ、僕にも契約って出来る!?」


ベルガンが目をキラキラさせながらウィルを覗き込む。


「それは無理だ。今言ったように一族の血を…持たない限り…」


ウィルは妹のことを思い出していた。


「王子…どうかしたのか?」


冴えない表情をしているウィルをモーガンは不思議そうに見ている。


(奴はなぜアルの悪魔を…?そして代償のことも…?だが、どうやってそれを…)



「なーんだ、出来ないんだー。残念」


ベルガンは特に気にする様子もなく、自分は契約出来ないと分かるとすぐに興味を失い、自分の寝袋に潜る。



「僕、疲れたから寝るよ」


「そう言われると眠気が。ふあああ〜ほはろあほはろお寝るか」


「おっさん、喋りながらあくびすんなよ」


「そうね。王子、今日は色んなことがあって疲れたでしょう?少し休みましょう。こんな寝袋しかないけど」


ウィルを心配したディテが余分に持ってきた寝袋をウィルに渡す。


「…そうだな。ありがとう」


話が終わると、モーガンはベルガンの近くに寝袋を置いてそこに横になった。


バルクやディテ、ウィルもそれぞれ準備をして横になる。



牢獄の硬いベッドに慣れていたせいか、寝袋も悪くないな、とウィルは思った。




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