エギュンー10ー
「どうです?素晴らしいでしょう?」
ヒロセは満足げに笑みを浮かべる。
「アルを使ってくだらない実験しやがって…」
「くだらない?ふっ…そんな考えだからお前の一族は滅びたんだよ。利用価値の高い悪魔で、我々は世界征服する!」
「…本当にくだらねぇ…」
「強がりは止めなさい。悪魔を目の当たりにして手も足も出ない。いい加減諦めたらどうです?」
「お前ら…、絶対に…許さない」
「許さない?お前に許してもらう必要はない。お前の契約していた悪魔はすでに殺した。お前に悪魔を使う力があろうと、契約した悪魔がいなければただの凡人だ」
「なんて卑劣なやろうだ…」
「何とでも言え。お前らは生きてここから出られないことに変わりはない。悪魔の力がないお前などネズミ同然だ。私に服従し、実験体になるなら生かしてやってもいいがな」
ヒロセは勝ちを確信し、不敵な笑みを浮かべる。するとウィルはうな垂れたかと思うと、大きな声で笑いだした。
「ふ……ふはははははははは」
「どうした?恐怖で壊れたか。哀れなやつだ」
「お、おい、大丈夫かよ、お前…」
「ならば一思いに殺してやろう」
「おい、ヒロセと言ったな。情報をくれた礼にいいことを教えてやる」
ウィルは顔を上げ、ヒロセを睨んだ。
「は?何を言っている」
「俺には生まれたときから飼ってる悪魔がいるんだよ。契約なんて関係なく、な」
「何だと!?」
ウィルの左目が急に赤く染まる。
「来い!エギュン!!!」