悪魔の奴隷
悪魔は敵か
味方か
あるいは神か
仏か
それとも救世主か
【この世界】に悪魔は存在する。
ヤツらは赤い、紅い、朱い、瞳を光らせて、【こちら】を見ている。
古くからの言い伝えがある。
今から約500年も昔の話
世界各国で戦争が起こり
多くの人間が血を流し、涙を流した
その戦争は十年にも及び、いつしか人間は人間であることすら忘れかけていた
人々の服は血にまみれ
身体はやせ細り
生気すら失い
戦う理由も忘れ
目の前の敵を殺すことに何の躊躇もなく
罪悪感もなく
快楽もなく
痛みすら感じずに
いつしか人間は
悪魔に取り憑かれたようになっていった。
戦争が始まって十四年が経ち、
大陸の中で一番大きな国である喃堺の王は
自らを悪魔の奴隷とすることで
この戦争を終わらせたと云う。
その王は自身に悪魔を取り憑かせ
寿命を代償に
悪魔の力を使うことで
国々に降伏させていった。
戦争は終わり
平和な国に戻りつつあった頃
王は病に倒れ、この世を去った。
しばらくして
新たに王になった者は双子を授かった。
男の子と女の子の二卵性双子。
男の子は左目だけが赤い悪魔の瞳をして
女の子は両目とも赤い悪魔の瞳をしていた。
2人は生まれた時すでに悪魔を宿し
民は【神に選ばれた存在】と崇め
王族たちは【悪魔の呪い】と恐れた。
そして約500年もの間
隔世遺伝により悪魔の瞳は受け継がれ
戦争は一度も起きることなく
平和な日々が続いていた。
しかし、
ある日突然
その平和な世界は終わりを告げた。
妖しく光る
赤い、紅い、朱い悪魔の瞳によって