夏休みの終わりに
知世から美優の素行不良を聞いた優弥は家に帰ってきた美優にいきなり説教をしたらしかった。
それは美優の母も巻き込んでの大変な騒動になったらしかった。
美優はその日、知世の家に久しぶりに泊まりに行ったというか、プチ家出をしてきた。
「何か知らないけど、優弥が私がオジサンと化粧して私服でデートしてるって言うのよ」
「こっちは制服で一人で図書館に行ってただけなのに・・・」
「あの人、前から馬鹿だと思ってたけど、ほんと馬鹿」
知世の部屋に入ってから、ひとしきり泣いていたが、泣き止んだかと思ったら、いつもは物静かな美優が息もつかずに話しだした。本当に怒り心頭なのだろう。
「ごめん、私、部活の友達に美優が隣のオジサンと歩いてたって聞いて、びっくりして・・・」
「美優に会って、ほんとかどうか聞こうと思ってたら、たまたま木島君に会って・・・」
「何?その話をまるまる信じて、優弥に言っちゃったわけ?」
「ごめん・・・」
美優が怒っていることはすでに美優が優弥のことを言っていた時点でわかっているので、美優の顔が見られない。噂の出元の張本人に等しい。
「知世にはがっかりね」
「ごめん、美優」
美優の言葉がぐっさり刺さった。
そうこうしていると、青い顔をした美優の母が迎えに来た。
知世の母が美優の家に連絡をしたようだった。
「ご迷惑おかけしてすみません」
「すみません。お邪魔しました」
美優が頭を下げて帰って行った。