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5月のまぶしい空  作者: 青井 海
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優弥と美優のすれ違い

いつからだっただろうか。知世ちせは何となく感じていた。

それを口に出してはいけないことだと思っていたから、気づかないふりをしていた。


優弥ゆうや美優みゆを好きなのではないのかと。


優弥は美優のことを話すとき、生き生きとしていた。

優弥はほんとに美優のことが好きなんだと自覚したとき、知世は優弥を追わない決意をした。


(美優は優弥のことをどう思っているのだろうか?)


兄と妹がお互いに必要以上に思いあってはならないことだけど、美優の気持ちを思い図ることは怖くもあった。

(もし、美優が優弥のことを好きだとしたら、ひょっとして、優弥のことを聞くと美優がいらだつのは美優も優弥のことを好きなのだろうか)


美優は高校に入ってから、たまに知世の部屋に泊まりに来ていた。


 「家が居心地が悪い」

と美優はぼやいていた。

その居心地の悪さの原因は決して口にはしないのが美優らしいと言えば美優らしいのだが、優弥のことを口にすると機嫌が悪くなるのは重々承知していたので、知世は何も聞かなかった。


知世がかつて使っていた、ほこりがかぶった電子ピアノで、最近練習する気もしないんだと言いながら、ショパンの雨だれや子犬のワルツを弾いて聞かせてくれるので、知世や妹の華菜かなは美優に好きな曲をリクエストするのだった。


そんなのも夏休みに入るまでだった。知世が硬式テニス部の合宿や試合に明け暮れて、美優は遊びにも来なくなった、と思っていた。



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