とある街のハロウィンパーティー
2日遅れのハロウィンネタです。
10月31日、そう今日はハロウィン。
街中は、いろんな年代の人たちがお化けや魔女等と言ったものに仮装している。
小さな子供たちは近所の家々に回って、
「「トリックオアトリート!お菓子くれなきゃイタズラするぞ!」」
と、可愛げな声を発しながら大人から美味しそうなお菓子を貰う。
学生たちは友達の家でお菓子パーティーをしながら盛り上がっている。
そして、本題の聖クレント学園では全校生徒参加による大ハロウィンパーティーが開かれようとしていた。
「皆さん、大変長くお待たせいたしました!これより、大ハロウィンパーティーを開催しようと思います!!」
司会を務めるふみかが言った後皆の盛り上がりは絶頂期に達していた。
消去部のメンバーも勿論仮装していた。ゴウ、シャドーは狼男、チー助とライカはフランケン、ふみかはただシーツをかぶった白いお化け、零夢はミイラ女、レジェンドは魔女、クロトは死神となっていた。皆以外にも仮装が似合っていた。
「いやぁ、それにしても流石生徒会長だよな」
「確かに、お祭り大好きであるあの生徒会長さんには顔が上がらないよ」
聖クレント学園の生徒会長であるエンメイは実は元消去部のエース。引退してからは、あまり出来なかった生徒会の仕事をバリバリ専念している。
「やぁ、消去部の皆。楽しんでる?」
「「イェーイ!メッチャ盛り上がってるよー!!」」
「ノってくれてありがと」
消去部とエンメイのやり取りに会場はさらに盛り上がった。
すると、レジェンドの肩を誰かがトンと、叩いた。レジェンドが振り返ると、其処には狼男の仮装をしたクマガイ先生が居た。レジェンドはすぐさま顔を真っ赤にした。
「せ...、先生!アタシに何か用ですか?」
「一緒にテラスに行こう、密かにね」
あ...はい、と返事したレジェンドとクマガイ先生は静かにテラスの方に消えて行った。
一方のクロトは、皆と別れて、タナカ先生を探していた。自ら愛しい人の探すために皆と別れて行ったのである。
(タナカ先生、一体何処に居るんだろ....、会っていっぱいお話ししたいのにな......)
クロトはあまり愛している人からの“愛”を知らない。この十数年間、人を愛したこともあまりないから無理もない。そして、あまり愛している人に甘えたこともない。むしろ、甘えれないのだ。
「......見つけたよ、可愛い小さな死神ちゃん。ずっと探したんだから」
後ろから甘い声と共に、優しく抱きしめられたクロトは少し動揺した。こんな事をされるのは初めてであり、顔を今まで見たことがないくらい真っ赤になっていた。
「.....先生、早く離してください」
「はいはい、でも本当は嬉しかったんでしょ?初めてしてもらったんだからさ」
「...まぁ、正直嬉しかったです。」
タナカ先生は、ドラキュラの仮装をしていた。クロトは少し先生の格好に惚れていた。
「先生、ドラキュラの仮装似合っていますよ」
「クロトに言われると、何か照れるな...」
「だって先生、もう僕たちも恋人同士なんですから照れるのは当たり前じゃないんですか?」
「そうだな、あ、クロト。口元にお菓子のカス付いてるよ」
「...え!何処、何処ですか?!」
クロトがアタフタしていると、タナカ先生が急接近し、
「此処に付いてるよ」
そう言った後、先生はクロトの唇と自分の唇を重ねた。
(これって、キス?!!)
無論の事、クロトはさらに真っ赤になった。二人とも、これがファーストキスなのだから。
先生が口を離すと、
「クロトのキス、甘いお菓子の味がした」
と言った。クロトは唖然と口を開いたままであった。
その光景をただ一人見ていた零夢は、必死に笑いを堪えながら見ていた。
甘い夜に起きた甘いお話でした......。