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鳥の鳴く頃に  作者:
5/5

麗息

万智(まち)は夏が好きだった。

何故かなんて、それは俺にも解らないが。


午後の授業ほどだるいものはなく、更に夏となるとさらに不快感は増していく。

下敷きで顔のあたりを煽ぎながら少し考えた。


『私の誕生のチャンスを、一緒に探してくれないかな?』


万智が昨日言った言葉。

少しばかりファンタジーが過ぎるとは思ったが、俺はその頼みを承諾してしまった。


解決策なんてある筈ないのに。


蘇生活動なんて、軽く承けてしまったら、もしかしたら後で呪われてしまうかもしれない。

成功したら神様から、失敗したら万智(幽霊)からだ。


そんな事を考えながら、俺は今更後悔してしまうのだった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「奏汰くーん!!!!」


……げ。


例の屍少女のご登場だった。


万智はこちらに来るみたいだった。


ダッッ!!


俺は逃げた。捕まらないように。

俺は万智の蘇生活動は断るつもりは無かった。しかし一時の現実逃避というか、なんというか。


「えぇ??!奏汰くん酷いよーー!!!!待ってよーーー!!!!!!」


しかし万智は結構足が速かった。

どんどん俺に詰め寄ってくる。


結果、5分後には、この鬼ごっこは終わりを迎えた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



俺は頭を(もた)げていた。


万智はまだ怒っていた。

あの後で何故逃げたかと聞かれたので、適当に『お前からうんこ臭がした』と言っただけなのに。ジョークだと解らないなんて万智もまだまだお子様だな、全く。


「って、こんな事話したかったんじゃないの!!!」


ああ、そういや、さっき俺のとこ走ってに来た理由を聞いてなかったな。



そして万智がなぜ俺のところに来ようとしたのか、尋ねた。


「誕生のチャンス、調べたの」

万智は穏やかに言う。


「そしたらね.....」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




連れてこられたそこは古ぼけた神社だった。


「ここには神様がいるんだね?」

俺は頷く。


万智...なんかとっても不安なんだが .....この気持ちはなんだろう......


「って事で、神様にお祈りして誕生のチャンスを貰おう!!」


!??


思わず万智にチョップをかます。


「ちょっと、何するのさ!!」


こいつは具体策があってここに来たのでは

ないのか....?ただ単に神頼みかよ.....

だんだん頭に血が上るのを感じながら万智に怒鳴る。


「だってぇ .....」


半べそをかきながら、万智が言った。


今俺は呆れた顔をしてんだろうな、多分。


こいつの脳には多分脂肪が詰まってるんだろうなと思いながら、こめかみを押さえて深呼吸する。


「あっ....あの.....」


ん?


後ろから女性の声がした。

振り向いて、みる。


その人は巫女服を着て、髪は長く黒く、整った顔立ちの麗しい出で立ちの人であった。


そしてなぜかその人からは、懐かしい――――


香りがした。




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