プロローグ あの日
知って後悔するくらいなら、興味がない内に切り離してしまう方がましだ。
「奏汰君に、伝えたい事があるの」
少女は泣き笑いの表情で俺に言った。
告げられた言葉は、妙に重苦しく心に響いた。
「私、多分親に殺される」
何故そんな事が分かるんだ?
「夢で見たから」
不思議と、少女を疑う気持ちにはならなかった。
それを言うなり、少女は去っていった。
次の日、少女は死んでいた。
少女の名前は早茅万智と言った。
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「唯山君!!」
背中から押される感覚があった。
「おはよう」
挨拶を交わし、隣の女性と歩く。
その人は、木原美汐と言った。
「雨降りそうね…」
美汐は掌をかざし、心配そうな顔で空を見上げた。
今日の天気予報は晴れだったから、大丈夫だろう。
あの日も雨だった。
万智はずぶ濡れで、傘も持たないまま.....
「唯山君、聞いてるの?」
言われて、戸惑う。
なんでもない素振りで誤魔化す。
だが不運な事に、美汐も少女を知っていた。
切なそうな口調で美汐は
「今日、あの子の命日だったわね....」
と言った。
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学校に着くなり、同級生の鍵山に絡まれた。
「今日も美汐と登校か?熱いねぇ~」
そうじゃないって毎日言ってるのに....
ガラガラと教室のドアが開く音が響く。
憂いを携えて席についた。
「今日は転校生がいる」
知るか、そんなの。
だが、美汐と俺はこのあと息を呑んだ。
「名前を早茅万智と言います。よろしくおねがいします」
俺は、その場で。
空想が現実になったのだなと確信した。
倒れるまでに、そんな事を考えていた。
つづく
こんにちは、三枝です。
プロローグとして今回書きましたが、これから残酷になるかも.....!!
という事で、読んでいただきありがとうございましたヾ(^v^)k