好きバレ
カノンと駅前のカフェで待ち合わせした。
「「それで、その好きな人って誰なの!」」
私がなかなか話し始めないから、痺れを切らしたカノンが問い詰める。
「えっと、アプリで昨日初めて会った人なんだけど、なんか久々にときめいちゃって。まだ私もどんな人かまだよくわかってないんだけど、もうずっと頭から離れてくれなくて、これってもしかして好きってことなのかな?」
私は昨日のことをざっとカノンに話す。
「「へーなんか沼系じゃん。危なそー。てか今その人に電話してよ!カノンがいろいろ聞いてあげるって!」」
「いやむりむり流石に。まだ友達に紹介できるほど仲良くないもん。まあまた進展あったら話すからさあ。」
私はカノンに話して気持ちを整理できた。
すでに、彼に恋をしているのかもしれないと悟った。
カノンと別れた後、私は駅のトイレでメイクを直した。前髪が少し気に食わなかった。
ーーー会いたいーーー
彼にメッセージを送った。
10分ほど後に、彼から「友達といる」と、返信が来た。でも、どうしてもどうしても今日会いたかった。
プルルル
「会いたい。今日。どうしても。だめ?。」
私って、こんなわがまま言うんだ、と自分に驚いた。彼は家に来てもいいと言ってくれた。強引で迷惑なことをしている自覚はあったが、とにかく会いたかった。この熱が冷めてしまう前に。
私は惚れっぽいところがあると同時に、冷めやすい。
軽やかな足取りで彼の家に向かった。
昨日歩いた道を辿る。
音が鳴らなさそうなインターフォンを押すと、彼がドアを開けてくれた。
昨日と同じお香の匂いに包まれる。
「来ちゃった。迷惑だった?」
「「迷惑じゃないよ。まだ友達いるけど。」」
あっ、友達まだいるんだ、と思いながらも、昨日と同じ場所に静かに腰をかける。
少しの沈黙の後、友達が彼に口を開く。
「「え、何この空気(笑)お前の女?」」
「「いや、そんなんじゃないよ。全然。」」
胸に何かが突き刺さった。
うん。それはそうなんだけど。
淡々とした言葉に私の胸は張り裂けそうなくらい痛んだ。
勝手に一方的な一目惚れに近い恋をして浮かれていたけど、彼にとって私はまだその域に値する人間ではないのだ気付かされる。
というか、私も早とちりだった。
1人で期待してたの、馬鹿みたいだ。
友達が帰った後、私は賭けに出ることにした。
私は彼の目を見つめて、静かな声で
「好きかも。」と伝えた。
彼は少し困った顔をした。
「「……かも?なの?」」
そう言って彼は、昨日は見せなかった優しい顔で私にほほえむ。
その瞬間、私には手が届かない、届かせてくれない大人なんだと知らしめられた気がした。
また胸を締め付けられる。
その後はなんとなく流されて体を重ねた。




