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僕のところに突然やってきた守護騎士は黒髪の美少女だった  作者: 渓夏 酔月


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ケイキ聖王国へ行く

 最後のアジフライにたっぷりのタルタルソースをつけると、ケイキは一口で丸呑みにした。いつも思うけど、尻尾は気にならないのだろうか。


「絶対こんなの罠だよ。今わたしを騎士団長にして、メリットなんて何にもない」


 僕のお皿に載っていたアジフライをケイキのお皿に乗せると、それもパクッと食べた。


「この前、つい勢いで悪魔大将軍二人をぶっ飛ばしちゃったじゃない。いくらイラっとしたからって、あれは我ながら良くなかったわね。将棋でいえば悪手よ。あの二人という聖王国最後の脅威から、強大な魔力を持つむっちゃんを守護するという、わたしの最後の使い道がなくなっちゃったんだから」


 ケイキは残ったタルタルソースを箸ですくって食べる。将棋用語なんていつの間に覚えたのだろう。


「今のわたしは、王国のお偉いさん方が制御不能の危険な暴力装置。敵のいなくなった平和な聖王国にとって不要なものよ。そう、むっちゃんもね。わたしが元老院だったら絶対二人とも始末するわ。『狡兎(こうと)死して走狗(そうく)()らる』ってやつね。むっちゃんこの(ことわざ)知ってる? すごいでしょわたし、学年一位だからね~」


 諺はともかく、いつも思うけど、ケイキは意外にいろいろと考えているものだと感心する。


「だからさっき転移装置が発動した時、絶対刺客が来たと思ったのよ。あっ、ルーミを危うく斬り殺しそうになっちゃってごめんね、テヘッ」


 テヘじゃないだろう、テヘじゃ!


「そうしたらルーミとラフレシアが聖騎士団長という話を持ってきた。これってわたしの信用できる仲間と、わたしが飛びつきそうなエサを用意しておびきよせる作戦に決まっているじゃない。敵ながらあっぱれな作戦ね」


「そ、そうなのかな。わたしそんなこと考えもつかなかった。だったら行かない方がいいんじゃないかしら?」


「そこがミソよ、ラフレシア。あなた達は勅使として王宮に来るようにとの王の命令を伝えに来たのよ。わたしが拒否すればあなた達が処分される。だからわたしは拒否できない、そういう仕組みになっているの」


「わたし達のことなんて気にしなくていいよ。ケイキに何かあったら大変じゃない」


「ありがとうラフレシア。嬉しいわ。でも、それではルーミの経歴に傷がつく。わたし達のような孤児あがりと違って、ルーミは将来聖王国を背負って立つ人材よ。兵達の現場を知っていながら事務処理能力や政治的対応が出来、家柄も申し分ない。そんなルーミに勅使が務まらないなんて言わせない。それに今回行って釘を刺してこないと、次から次へとわたしとむっちゃんに刺客が送られることになる。」


 ケイキは僕の方を向いて言った。


「だからわたしは王宮に行く。行って、二度とわたし達にかかわらないように言ってやる。わたしとむっちゃんはこっちの世界で静かに仲良く暮らすから、ちょっかい出すなって言ってやる。必要ならむっちゃんにもらった魔力で、無敵モードのわたしの恐ろしさを見せつけてやるわ。ちょっかい出したらどうなるか体で分からせてやる」


 そう言ってケイキはまた手からパリパリと青白い魔力をほとばしらせる。ただ単に強くなった自分の力を試してみたいだけのようにも見えるけど……。


 ちゃんと考えているのか考えていないのか、よく分からないところもケイキのかわいいところだ。けど、いくらケイキが強いからって大丈夫なのだろうか。ケイキは騎士団筆頭って世界最強の証だって言っていたから相当強いのだとは思うけど、もっと強い人とかいないのだろうか。相手は集団で襲ってきたりしないのだろうか。


 居間にはエビフライの香ばしい残り香が漂っている。僕はこのまま聖王国にケイキを信じて送り出すべきなのだろう。ケイキの意思を尊重すべきだろう。けど不安だ。ケイキの身に何か起りはしないだろうか。


「むっちゃん。わたしは今までむっちゃんが見たら卒倒するような敵地に単身乗り込んだことは数知れないわよ。こういうのはいつものことって感じでへっちゃらなの。大丈夫、お土産持って帰ってくるから心配しないで」


 そう言ってケイキはにっこりと笑った。相変わらずかわいいなあ。僕は君を信じて待つことにするよ。


 結局、転移装置を持つラフレシアがケイキとともに聖王国に行き、ルーミはケイキのいない間、僕を守護することになった。


「じゃあ、行ってくるね。ルーミ、むっちゃんをよろしく。むっちゃん、ルーミと浮気しないでよね!」


 そう言ってからからと笑いながらケイキとラフレシアは青白い光に包まれたかと思ったら消え去ってしまった。


 実際ケイキが消え去ってしまうと、ものすごいさみしさと不安が襲ってきた。ケイキがいない、連絡すら取れないということがこれほど辛いことだとは思わなかった。もともと一人で暮らして一人で過ごしていたのに、一人でいることがこんなにもさみしく不安になるなんて知らなかった。


 ルーミは僕を気遣ってくれたのか、「何かあればすぐにお申しつけください」と言ってケイキの部屋に入って僕を一人にしてくれた。





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