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僕のところに突然やってきた守護騎士は黒髪の美少女だった  作者: 渓夏 酔月


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ケイキ学年一位になる

 ケイキは先日行われた学年実力テストで一位になった。


 掲示板に張り出された上位100傑の一番上に、『華宮桂騎』と名前があった。その表の一番下の100位に僕の名前があった。一番恥ずかしい場所と言われ、101位で名前が載っていないほうがマシと言われていた。


 確かに最近のケイキはやたら勉強熱心だった。以前は毎日のように友達とカラオケに出かけたり、他の部活に助っ人に呼ばれてそのまま夜遅くまで遊んでいたりしていたが、最近はすっかり行かなくなった。その代わりに図書館で本を読んだり、部屋で勉強していたりしている。その変身ぶりの理由を、あるとき居間で聞いてみた。


「わたしね、決心がついたのよ」


 ケイキが言うのには、こっちの世界に追放されて、半分もうどうでもいいやって思っていたそうだ。


「わたし、この世界でむっちゃんの騎士として恥じないように生きる」


 もう、自分はもとの世界に帰ることは出来ない。この世界で死ぬまで生きるという決心をしたそうだ。


「そのためにはこの世界の知識を身につけないといけないでしょ。将来的には大学に入学して就職し、お金を稼がないといけない。それには勉強しなきゃいけないじゃない」


 ケイキは遠くを見つめるような目をしながら僕に話してくれた。


「わたしは元の世界で魔族をけっこう殺したの。魔族は悪だから、いくら殺しても構わない、殺すべきだと単純に考えていたわ。でも、むっちゃんのこと好きになって、魔族でも好きな人や大切な人がいたんじゃないかなって最近思うようになったの。その命をためらいもなく奪うことって本当は良くないことじゃなかったのかなって」


「しかも、魔族との戦いで死んだのは魔族だけじゃないわ。わたしの采配で多くの仲間も死なせたわ。もう少しわたしが上手く作戦を立てられたら、もう少し判断を早くしていたらもっと仲間の命を失わずに済んだんじゃないかって」


「だから罪滅ぼしというわけじゃないけど、この世界では将来医者になって、わたしが奪った、失った命には遠く及ばないかもしれないけど、命を救う仕事をしてみたいなって思ったのよ」


 ああ、ケイキは僕よりいろいろなことをちゃんと考えている。僕は将来何になりたいかなんてまだ思いもつかない。


「でね、医者になるのってちゃんと勉強しないとなれないんでしょ。だから勉強することにしたのよ」


 目標の定まったケイキは強そうだと僕は思った。


「それにね、お医者って結構お金もらえるんでしょ。そうしたらむっちゃんが働かなくても経済的にも守護できるかなって」


 なにそのダメ男製造機的発言!


「いつかむっちゃんの運命の人が現れて、わたしがむっちゃんの彼女じゃなくなったとしても、守護の役割だけは残る。だったらちゃんとこの世界でむっちゃんを守護できるような女になりたいじゃない。それには武力だけじゃなくて経済力も必要でしょ」


 それってケイキのヒモになりながらほかの女の子と一緒になるっていう、ダメ人間を許容してくれるってこと!?


「だから最近勉強頑張っているんだけど、さすがにいきなり学年一位はないわよね。これって魔力でかなり効率的に学力が上げられている気がするわ。ちょっと自分でもずるい感じがする」


 魔力って、なんでも効くんだね。


「じゃあさ、ケイキは僕の魔力が強いっていうけど、僕の成績がそんなに上がらないのってどうしてかな」


「そー言われてみればそうね。むっちゃんバカなのかな?」


「バカで悪かったね!」


「ジョーダン冗談だってば! どうしてかしらね。魔力を持っていても活用できていない。活用する術を知らないから? むっちゃん魔法使えないよね?」


「ごらんのとおりまったく」


「ひょっとして魔法を使えるようになれば少しは変わるのかな」


「僕も魔法使えるようになるの? 使ってみたい! 教えてくださいぜひ! ケイキ様!」


 ケイキは少し考えてから、僕に魔法を教えてくれることになった。指先に水の玉を作る魔法で、元の世界では基礎中の基礎の魔法らしく、誰もが小さい頃に、この魔法から覚えていくそうだ。


「大量の魔力量の人が、この年齢になって突然魔法を覚えるのって聞いたことないけど、まあ基礎的な魔法だからとりあえずやってみようか。まず見本を見せるから見ていてね」


 ケイキはそう言って、右手の人差し指を前に出してこう言った。


「ウォーターボール」


 すると綺麗な直径5cmくらいの水の塊が人差し指の前にあらわれて浮かんでいる。


「こんな感じで、体内の魔力を指に流すイメージをしながら詠唱するのよ。わたしくらいになると詠唱しなくても出来るけど、最初は詠唱するのがいいわ。大切なのはイメージよ。やってみて」


 緊張してきた。自分の中の魔力というものがいまいちよく分からないが、目の前でケイキは指先から水の玉を出すことができた。ケイキより魔力量があるという僕だって、きっとあのくらいなら出せる気がする。出せるはずだ。


「ウォーターボール」


 ……全く何もおこらない。指先にはただの空間があるままだ。


「ウォーターボール、ウォーターボール、ウォーターボール!」


 何も出てこない。発音が悪いのかな?


「もっとイメージするのよ。魔法はイメージよ。体中を流れる魔力をイメージして、指先に流すの。詠唱はただのきっかけよ」


 イメージって難しいよ! よく想像力が乏しいって人には言われる。僕の体の中にあるという大量の魔力。それをイメージして、すべてを指先に流れ込ませる。


「ウォーターボール!」


 その瞬間、突然洪水が起こって居間から流れ出た水が、窓ガラスをすべて吹っ飛ばした。




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