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第7話.仕官から三年。色々と変わった俺の周辺環境

 今は1553年になる。三好家に仕官して、色々と状況が変わった。


 まず、俺は直臣となり部将待遇で、兵員と領地を預かる身となった。


 また、京の街の復興には目途が付いたため、そちらのお役目から外れて、信貴山城の代官として赴任している。


 もちろん城主は、松永殿なので城の縄張りを見直して改築を計画中だ。


 どうやら史実よりも先行して、筒井家に対する最前線として稼働させるらしい。


 天守閣も含め、籠城が可能なように改修している。


 ……俺の役割は、城下町の道の整備と町割りの手配など。


 城の縄張りは、門外漢なのだ。


 

 島は、相変わらず兵の訓練に明け暮れている。奴も出世して侍大将となった。


 木造の奴は、松永殿の弟の内藤殿の養子になった。


 名前も、元の名前が分からなくなるほどに変更した。


 今のあいつの名前、は「内藤 雄利」だ。


 ……「こづくり」という名前が良くないとの事。


 多分、俺の家庭の顛末を見ての事らしい。


 こいつら二人も、そろそろ嫁を探した方が良いのかもしれないが。


 多分、嫌がるんだろうなぁ……。

 

 安井は、俺と出会う前からの許嫁と祝言を行い、立派な家庭を築いている。


 ……俺の所の様に大騒ぎになる事も無く、順風満帆である。


 名前も「安井 道頓」に変える事になった。


 後、九鬼も同じく許嫁がいたらしく、ちゃっかりと祝言を上げている。


 嫁さんも海賊らしく、一緒に船に乗って那覇と堺を往復している。


 ……仲が良くて、何よりである。


 奴も正式に「九鬼 嘉隆」と名乗る事になった。


 

 以前のメンバーは、そんな感じだ。


 城勤めになった事で、我々の兵士が大幅に増えた。


 全員で、一万二千の兵を預かっている。


 そのほとんどを、島と内藤の二人で指揮している。


 俺と安井は、二千の本陣と予備兵員だけだ。


 ……俺にだって役割はある。


 本陣部隊には鉄砲を配り、訓練に余念が無い。


 堺で作られる鉄砲を大量買いして、蔵の銭を減らさないと、店から文句を言われる。


 今では、100丁の最新の鉄砲と、「早合(はやごう)」と呼ばれる、調合済の火薬を作れるだけ作り、速射能力を高めている。


 恐らく、日の本でも比べる者が居ない位に、鉄砲部隊を持っている。


 ……流石に、本願寺と雑賀衆には負けるけどな。


 アイツら、個人で鉄砲を全員持っているからなぁ……。


 あれと比べるのは、無理だ。


 そろそろ、抱えきれる仕事の量を超えてしまったので、新たなメンバーを探している。


 筒井家から引き抜いた「松倉 重信」は、中々優秀だ。


 ……史実通り「右近」「左近」が揃ってしまった。


 後は、連絡係として甲賀から人を雇った。


「 山中 長俊」という小僧である。まだ幼いが、足が非常に速い。


 忍びとしての訓練は十分らしく、まだ六つなのでこれからの伸びしろに期待しよう。


 とりあえずの目標は、筒井家の攻略になる。


 寺社勢力や独立豪族の多い、大和の国なので一筋縄ではいかない。


 信貴山城の改築まで、ゆっくりと訓練・城下町の建設を進めるべきだろう。


 予定では、五年後の1558年には完成する。


 ……日本初の天守閣付き城塞都市は、まだまだ先である。


 

 京の都では、ちょっとした変化があった。


 まず松永の殿と俺が、土下座している。


 ……額を擦らんばかりに平伏しているのは、将軍を迎える為だ。


 あちらからのご指名である。


 まあ、恥ずかしい位の噂話を流されたので、その意趣返しという事。


 これで、変な噂も止まる事だろう。


 人の噂も七十五日、という奴だ。


 一応、三好家が将軍家を支えるという、臣下の立場を取る事になった。


 ……そうは言っても「()()()()」は、傀儡なのだ。


 最低にまで、地に落ちた武家の棟梁の保護と、「六角家」という将軍家に最も近い大名からの和平の提案だ。


 細川氏の傀儡から、足利幕府の傀儡に変わっただけの事。


 政務も軍事も、何一つ口出し出来ない権威だけの傀儡なのだ。



 そういう訳で、京の町は何時になく落ち着いている。


 三好家が近畿一円をしっかりと治めており、余計な事をする奴もいない。


 ……内部に派閥が出来始めている事だけが、懸念事項である。


 四国勢が担ぎ上げたい足利氏の末裔がいるのだ。


 そいつらにとってみれば「()()()()」の存在自体が、邪魔になるのは明白だ。


 三好家が巨大になり過ぎて、近畿派閥と四国派閥の争いに発展しそうなのだ。


 こちらの近畿派閥のメンバーは、大殿はじめ松永殿や内藤殿と言った京都近辺の武将たち。


 あちらの四国派閥の代表が「三好三人衆」という訳だ。


 可及的速やかに、その辺の切り崩しをしないといけない。


 ……何を血迷ったのか、松永殿の嫡男「松永 久通」があちら側に付いて、「()()()()」を排除する計画に賛同しているとの噂がある。


 そちらも含め、俺達の役割はただ一つ。


()()()()」の保護と、暗殺阻止になる。


 俺は、甲賀忍者の伝手で何名かの忍びを京都近辺に潜ませている『らしい』。


 ……俺自身も、誰が俺の手の忍びなのか知らされていない。


 甲賀忍者は、個人の集団である。


 金さえ払えば、誰にでも付く。


 ……その代わり、依頼主には全く情報を与えない。


 そのやり方は徹底しており、俺が召し抱えた「山中 長俊」以外との接触も禁じられている。


 暗殺さえ防げれば、後は我々の軍で京の街を守れば、大丈夫だ。


 過去の反省から、京の街にしっかりとした防御施設を何重にも重ねて、堀や壁を設置してある。


 今の京の都は、巨大な要塞都市なのである。


 俺の独断で、やった事だ。


 どうせ、何度も攻められるのだから、徹底して城塞を張り巡らせた。


 ……多少、街の発展に影響が出るが、誤差の範囲だろう。


 半日もあれば、京都に万単位の兵隊を送り込む事が出来る。


 俺なりの事故防止策という訳だ。


 ま、役に立たない事を祈るが、将軍がいる限り何かが起こるだろう。


 ……その辺りの心配は、やり過ぎて胃が痛くなるのでもう止めにした。


 史実を再現させない為なら、どんな無茶もするし金も惜しみなく使う。


 幸い、沖縄への交易は独占状態だ。


 黒糖や装飾細工など、いくらあっても京の需要を賄いきれない状態。


 まったくもって、笑いが止まらないのだ。


 商売繁盛、子孫繁栄。おれもそろそろ25歳になる。


 ……少し先の話を考える必要があるのだ。

こういう内政中心の物語は、サクッと環境を纏めてやって……見せたいところを中心にして、ダラダラやらない事。


それが、今まで仮想戦記や歴史改変もの、内政チートなんかを見てきた感想。


チート知識で即完成! というのも味気ないし、試行錯誤感は出したいのだ。


ねちねちと、田んぼの説明なんか聞いていられるか!! ライフリングの効果をどや顔で語るな!!


あと、すぐに忍者衆を抱えるな!! しかも、忍者に感謝させるな!! 


そう言う、なろうあるあるなのだ……もうげっぷが出るほど聞いたよ、ライフリングの命中の話も。


実際、それやってもあんまり影響ないからね。


薬莢の有無というのが、本質なのである。


ただ火縄銃にライフリングを付けても、あまり効果は無い筈。どっちにせよ、鉛なんでしょ?


薬莢による弾道の安定化と、ガスの密閉が飛距離と命中率を決めるのであって、それなしでのライフリングって無意味。


そう言う事を知らずに歴史物を書いているから、そう言う連中に攻撃されるのだ。


鉄砲の真価は、鉄砲本体ではない。もしそうなら、戦列歩兵なんて必要ない。


そうでは無くて、ライフル銃の進化は薬莢である。これは、今現在も問題になっている。


薬莢の使用済みの排出機構や、複雑化……ケースレス弾薬というものも実用化されてはいる。


だが、コストがかかりすぎる点が問題となっており、実用化がレールガンとどっちが早いか……そう言う感覚。

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