表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

第3話.三好家の日常

 松永殿に、いや殿に直接お会いしてから、一月になる。


 もちろん、手土産の茶器に大喜びしていたし、五人揃って陪臣となる事が出来た。


 ……利休の旦那も何を言ったのやら、物凄い喜び方だ。


「そのぅ、我らは別で店を営んでおりますゆえ、俸禄は不要でござる。こちらから毎月千貫文を、上納させて頂きまする」


「うんうん、良い心掛けじゃな。殿にもお伝えしておこう。儂とは別に、殿に直接上納しても構わんぞ」


 そうか、その手があったか! 確かに松永殿だけに渡すと、いらぬ誤解を生みかねん。大殿にも、三千貫文をお渡しする旨をお伝えしてもらった。


 うちの商売の規模なら、十分に黒字になる。三好家強化の為にも、欠かさず上納しよう。武器や馬などでもよいかもしれん。


 そんなことを考えていると、松永の殿から辞令があった。


 俺が侍大将で、残りの四名を足軽として召し抱える、との正式なお達しである。


 しばらくの間、京で色々な政務を調べた。



 ……それにしても酷いものである。


 応仁の乱以降、盗人や強盗の類は絶えない。


 家を新しく建てようにも、金がない。


 ……まさに「ないない尽くしの京の町」という言葉が似あう。


 何もないところから、色々と直し甲斐があるというものだ。


 とにかくこの京の都を立て直して、商業が活発になるよう工夫するのが、当面の課題だ。俺に出来る事を考えておこう。


「戸島よ、月の初めに芥川山城にて評定(ひょうじょう)がある。お主にも出仕してもらうぞ」


「ははっ、殿の仰せのままにっ!」


 俺は、深々と頭を下げた。この時点で芥川山城は、傀儡である細川政権の本拠地となっている。持ち主の違いは、気にもされない。


「はっはっは。思うた通り、まっすぐな若武者じゃの。気にせんでええ、儂の事は『松永』で構わん」


「はいっ、松永殿。評定(ひょうじょう)では、どのようなお話があるのでしょうか?」


 松永殿は、少し考えた後、呟いた。


「そうさの、陪臣としてお主を紹介する。その後、各方面の状況を殿に説明する。三好家の版図は、四国から近畿に跨る。それだけでも一日かかるじゃろうて」


 ……思っていた以上に、大きな家だったのか、三好家。


 歴史の授業では、崩れ落ちるように崩壊していく三好政権。


 どうやら目の前のご老体は、それを望まないように思える。


 ……俺のやるべき事は、そのような未来を起こさせない事。


 このご老人の名誉と命を預かるのだと、心に刻みこんだ。



「しかし、将軍家に畠山氏。西の赤松家もおる。どこもかしこも敵だらけじゃよ。儂らは、自衛出来るだけの兵隊を編成せねばならん」


「はい。その辺りは、島と木造にやらせまする」


 剣道場で出会った、あの小僧はまだ子供だというのに元服を済ませ、俺の苗字から一文字取って「島 清興」を名乗った。


 寺の小坊主も一緒に元服させてやった。今は「木造 三郎兵衛」を名乗らせてある。


 それぞれ、兵の扱いと知略に長けており、二人で一人前といったところだ。


 自分は、というと武芸は身に付かなかった。その代わりがこの筒だ。


「九鬼の奴と一緒に交易船で、最新の『てつはう』を手に入れまして。俺はこいつで戦います」


 いわゆる「火縄銃」の元祖である。ざっくり石火矢と火縄銃の中間位の性能だが……。


 ……使いづらいが、連射を考えなければいいだけの事だ。


「ふむ、儂も殿から見せてもらった事があるが……もう作り始めておるのか?」


「ええ、堺の町や雑賀の里ではそろそろ工房が出来るそうです。まだ、ほとんど使われていませんが……」


 一発当たりの費用も、馬鹿にはならない。


 とはいえ、訓練せずとも使えるし、音で敵を怯ませる事も出来る。


 『何とかと鋏は使いよう』、といったところだ。


「……まあええ。暫くは兵の訓練と、銭の勘定をしてもらうぞ。あそこにある紙の山を片付けてもらおうかの……」


 それはもう、部屋一杯に詰まった嘆願書に手形、領収書の類……。


 ああもう、滅茶苦茶じゃないか!!


 ……俺と安井で手分けして、書類の整理をこなすのだった。


 

 俺達が京の都で悪戦苦闘している間、店は安井の親父に任せている。


 昔取った杵柄という奴だろう。滞りなく、店は開いているらしい。


「おい、皆。俺と松永殿で評定(ひょうじょう)へ行ってくる。二~三日はかかると思って、各自担当の仕事をこなしてくれ」


『はいっ、殿!』という元気の良い返事に見送られて、初めての評定に向かうのだった。


 評定(ひょうじょう)の前に、あちこちの責任者から挨拶を受ける。ちょっとばかし、銭を握らせて気持ち良く第一印象を持ってもらおう。


 どいつもこいつも、銭だとわかるとコロッと態度を変える。


 ……ま、人間なんてそんなもんだ。


 一方で、大声で励ましの声を受けた人がいた。


安宅 冬康(あたぎ ふゆやす)」殿だ。三好家一門でも第三男の大物だ。


 どうやら、那覇行きの交易船の話を聞いたらしい。そういえば、護衛を頼んだ記憶がある。


「はっはっは、良い若武者じゃのう。単身で大海原に赴くとは、良い度胸じゃわい」


 ……どうやら、素直に褒められているらしい。


 ここは、言葉通りに受け取っておこう。


安宅(あたぎ)殿、この度は三好家の末席に入れて頂き、誠に感謝の極み……」


「よかよか、そげな堅苦しい話は無しじゃ。海の男なら、一杯やっていかんか?」


 見れば、手元に酒と杯がある。


 杯は、平たいところに置けないように、底が三角形になっている。


安宅あたぎ殿、もうすぐ評定じゃ。今度、改めて挨拶に参るので、その位に……」


「いえいえ、せっかくですので一杯だけですが……。頂けますか?」


 その返事が、よほど気に入ったのだろう。


 ゲラゲラ笑いながら、杯に酒を注ぐ。


 俺は、気合を入れるつもりで一気に杯を煽った。


 ほんのりとしたどぶろくの香りが、口一杯に広がる。


 ……この人には、後々世話になるだろう。


 きちんと挨拶をしておかねば、と俺は心の中で呟いた。

 多分、松永久秀が喜んでいるのは、利休先生が「アイツなら平蜘蛛を大量生産してくれるでしょう」とでも言ったのでしょう。知らんけど。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


第三話というのは、物語の中で大きな役割を持っている……。


とりあえず、目新しいものは三話まで見ておこう。読者の人はそう思う事が多い。


いわゆる「3話切り」という奴である。


作者にとっては、止めて欲しい行為であるが……コスパ・タイパなどと言う流行には逆らえない。


ならばどうするか? その物語でのメインテーマをしっかりと伝える必要がある訳だ。


間違っても、主人公に近しいキャラをサクッと殺して、次の回がカレーを作る回になってはいけない(戒め


この物語のテーマが、「カッコいい三好家」を魅せる以上、外せない所である。


一番プロットで悩む部分と言っても良い。


ここで食いついて貰わないと、どんなにいい作品でも離脱される。


前作で、物凄い編集をして第三話で主題が明確になる様にするまで、試行錯誤した結果である。


これが上手く出来ないと、殆どがブラバされる。経験則ではあるが、どんなに長くても三話までは読んでくれる。


そこをしっかりと意識しないと、初期のPVが大きく変わる。


そう言う経験を積むためにも、短編で試してばかりではなく、中編くらいはやっておくべきだ。


作者の経験として言っておこう。もちろん、読者の方にも釘を刺しておく。


テンプレなろうと違い、しっかりとメインテーマを決めてプロットやキャラを考え尽くした結果がこれなのだ。


なので、暖かく見守って下さい。


――――――――――――――――――――――――――――――

それはそれとして。


 過去の作品をする機会が少ないというあなた……せっかく目の前にPCがあるのだったら、見るだけでも楽しめますよ!!


おすすめは「ワイルドアームズ2ndイグニッション」まぁ名作中の名作である。


そして、それを確立した「奴ら」が居るのだ……。「世界観の違う二匹」である。


有名だとは思う。だが、元ネタを見た事が無い、やった事が無いという人も多かろう。


随分と昔の話だしね……なので、ちょうどいい動画を用意した。


『ワイルドアームズ2 数年ぶりにプレイ55』

単体 「https://www.nicovideo.jp/watch/sm1904149」←『具体的には、12分40秒頃ッ!!』

まとめ「https://www.nicovideo.jp/user/6354174/mylist/10795907?ref=pc_watch_description」


さあ、皆で叫ぼう「プルコギド~ン!!」


^^) _旦~~←ニッカウヰスキーロックで

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >もちろん、手土産の茶器に大喜びしていたし、五人揃って陪臣となる事が出来た。  五人揃って陪臣になると、主人公の手下は松永の部下になったって意味になるんじゃないでしょうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ