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俺の戦国繁盛記 打倒信長で天下を治める  作者: C-RAM
第3章:大名家 近畿統一編
18/20

第18話.えぇ商売、させて貰いましたわ!!

 一連の交易から、ようやくゴアに行く段取りが付いた。


 東国の扱いは、伊勢長島の地から関が原を通り、金ヶ崎まで砦や柵を作って、絶対に通れない要塞とした。


 武田家は、上野(こうずけ)を治める事には成功したが、長尾家との血みどろの戦いは終わりを見せない。


 今川家も北条家も動かないので、当分この状態は続く事だろう。


 これなら、俺がフリーハンドで行動しても何とかなる筈だ。そう思って、朝廷との交渉に赴いた。



 つまり、一万文字を収集した「日葡辞典(にっぽじてん)」と新たに即位した際に行う「勅令」の一環として、ポルトガルとの同盟を要請して貰いたい。


 そう言う話をする時は、俺と『近衞 前久』との直談となる。


 ……お互い、長い付き合いなのだ。


 今回は、嫡男の仰木丸(おうぎまる)も連れての顔合わせとなる。


「まあまあ、三好の旦さん。お久しゅう……随分と偉うならはって、えぇ暮らしどすなぁ」


 ……ま、そう言う関係なのだ。


 将軍を追い出したのも俺。本願寺を退去させたのも俺……。


 ついでに言えば、朝廷に金を出して支えたり、譲位にかかる費用の負担をしているので、トントンである。


「そろそろ、わても隠居させて貰いとうてな……息子連れてきてまんねん」


仰木丸(おうぎまる)と申します。この度はお初にお目にかかれて……」


 ああ、まだ礼節が足りてない様だ。


 京言葉は、難しいからな……このおっちゃんに教えてもろて、何とかしよか。


「こいつが元服して、わても三好の看板をようやっと降ろせまんねんわ……」


「ほう、それはええ話どすなぁ……それで、旦さんのホンマの目的は何でっしゃろかいな?」


 流石は、海千山千の公家衆「近衞 前久」である。


 こちらの意図を、読み切っているようだ。


「あんさんには、敵いませんな……わてが欲しいのは、ポルトガルとの同盟の勅書でおま。それに日葡辞典を付けて、カタカナ書きと本紙の二通必要でんねん」


 ……それが欲しくて「日明貿易」もしたし、南蛮人とのパイプも作った。


「本願寺」との因縁を考えれば、俺がやっておかなければならない『宿願』なのだ。


「よろしおま、その代わり幕府を開いて貰いたいんやけど……」


 また、その話か……そりゃ、俺だって何とかしたいと思っている。


 だが、こういう話はある程度の目途が立って後進に譲れる状態にしたい。


 ……いや、待てよ。


 前例が大好きな朝廷としては、別に「征夷大将軍」である必要は無い。


 そもそも、どうやって将軍職を返上させるか、悩んでいた所だ。


 だが、こうやって後継ぎが元服しているのだ。


 間違いなく「前例」はある……。


 問題は、それで納得して貰えるか……である。


「よござんす、それでは三好政権を正当な幕府として、わてが『執権』になればよろし」 


 俺は、そう言い放った。


 ……その場が凍り付く。


 何を言い出すのか……全員がそんな反応を示す。


 良いじゃん、『執権』やった事あるだろ……鎌倉の頃だけど。


 武家の棟梁じゃなければ良いんだろ……だったら、こいつが当主で俺が『執権』として親政を行う。


 そう言う名目で、構わんだろう?


 近衛前久が、少し悩んだ後で返事をする。


「ふむ、確かに……スジは通してますな。ちょっとお待ちなされ、確認だけしてくる故……」


 あいつの京言葉も、すっかり消えてしまったか。


 流石に、これを言い出してOKが出るとは思わんが……。



 ……そう思って半刻ばかり、待つ事になった。


 仰木丸(おうぎまる)には、当主として……三好家の代表として……努めては貰うが、実際は久秀や伊都が政務を担当する。


 良い年齢になれば、当主として活躍して貰えば良い。


 そして、この案ならば俺が無茶をしても何とかなる。


 ……天竺までの船旅、無事に済むとは限らない。


 一応の保険として、『執権』の役職を持ち出した。代理人という形であれば、誰がなっても良い、そう言う理屈だ。


 近衛は、元々真っ青な顔をさらに悪化させながら、戻って来た……。


 これなら、断られる……流石に……な?


「よござんす、そのお話承りました! 正式に朝廷からの「綸旨(りんじ)」として、回答させて頂きます」


 えっ……マジで?


 マジでやっちゃうの? ……本気?


 俺、『執権』やらされちゃうの……いや良いんだけどさ。


「……父上、仰木丸(おうぎまる)も頑張ります故、しっかりお努めいたしましょう!」


 そうか……そう言ってくれるなら、やるしかないか。


 ゴアには、正当な立場で赴きたかったので、丁度良い。


「確かに承りました。えぇ商売させて貰いましたわい」


 へっへっへ、と俺が笑うと、ほっほっほ、と近衛が返す。


「ほんに三好の旦さんは、おもろい事。すっかり嵌め(はめ)させられましたわ」


「……それでは、儂らはこれで『まいど、おおきに』」


 仰木丸(おうぎまる)も『まいど、おおきに』と言って、挨拶を交わす。


 いつもの締めの言葉である。


 代々、三好の外交官は、こうやって話を纏める。


「ほほほ、そうそう。懐かしいどすなぁ……あんさんも久秀さんも、先代の三好の旦さんも、皆そういわはる……」


「ははは、これはしたり。わてら商売人ですからなぁ……」


 そうそう、こいつは俺達の挨拶なのだ。


 ……外交というものは、目に見えない物を売買する。


 だからこそ、こうやって挨拶をするのだ。


 俺達は、しょせんは「銭稼ぎの上手い商売人」でしかないのだ。


 ……必ず、この言葉で締める。そうやって来た積み重ねがある。


 いつも、そうやって来た……それが「礼節」というものなのだ。


 俺達にはお似合いだろう……銭さえあれば、何でもする。


 頭を下げるのも良し……無理を突き通すのも、また良し。


 常日頃収めた「礼節」など、この程度の価値しかない。


 それで、相手を動かせるなら幾らでもやってやる。


 それこそが「商売人」のルールなのだ。


 ……俺は、俺達は極めた「礼節」で殴り合う。


 そこには、いつもルール無用の見えない戦いが待っているのだから。

執権の話は、あいもかわらず「脳内プロット」による思い付きです。


前例は、鎌倉幕府の頃にやっているよね(ニッコリ


このお話は、三好家継承の儀の前に、やっておきたい内容でした。


三好が一族は、代々「商売人」として、朝廷に仕える。


だから、三好家である事を示したかったのです。


この後に継承に関わるお話をして、戦国時代編は終了となります。


西へ西へと向かう、大航海時代の始まりです!!


―――――――――――――――――――――――――――――


しかしまあ、よくもおいが言葉を知らんと、創作出来るとな?


知らんわ、ワシもそこら辺は知らんど。ただ、「オリジナリティ」は出るやん?


そうですわなぁ……そちらさんには、えぇ書き方させてもうとります。


……そいで、わざわざ読みにくう、方言ばつこうとるんか?


そやで! この方が雰囲気(何でか変換できへん)が出るやろ!!


おまはんの言うことばも、中身もよぅわからしまへんで?


――――――――――――――――――――――――――――――――


ちょっとした歴史改変ネタを考えてみた。大坂夏の陣で千姫を助けた「坂崎直盛」という大名がいる。


宇喜多直家の甥っ子である。史実では、千姫を娶りたくて敵わず武士の面目を潰された上で切腹。


徳川家のやり口が汚すぎて、あれだが……もしも、もっと武士の面目を保つ代案があったらどうだろうか?


たとえば、千姫を娶るのは年齢的に無理があるとして、譜代・親藩として扱い「松平家」として扱うという褒美だったとしたら……歴史が変わるのではないだろうか?


石見一国を与えられ、譜代として残る坂崎家。間違いなく会津藩もビックリな幕府側として活躍するだろう。長州征伐や薩長同盟も変わるに違いない。


幕末の行く末まで影響するような「もしも~だったら」である。


別にそれほどおかしくもない……千姫を娶る代わりの褒美を用意して厚遇する。武士の面目は保たれ、忠儀の士として、名を上げる名門譜代。


バタフライエフェクト、という言葉もある。


「異聞幕末史 千姫を救った男」時間があったら、書いてみたいものである。

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