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第1話.商人として身を立てろ!

 時は戦国、1548年。場所は石山御坊のすぐ近く。


 門前町として賑わう北側とは打って変わって、南の浜には漁師の家や、小さなお寺などの小さな漁村しかない。


 俺は、この三年間で地道に交易を続けて、ようやく自分の知る歴史に出会った。


 「斎藤家と織田家の婚姻」である。


 1548年、まだ小大名の織田家と成り上がり者として有名な斎藤道三。


 ……まだ、戦国の歴史は始まっていない。


「苦節三年……身寄りも無い俺を救ってくれた、安井家にも挨拶に行かねば……」


 恐らく自分の知る歴史通りなら織田信長が勢力を拡大し、天下統一の一歩手前で死ぬ。現代に帰れぬこの身ならば、立身出世を果たしたい。



 そもそも何故俺が、戦国時代にいるかなど知る訳も無い。


 あちこちを渡り歩き、ようやく今が天文17年だと判明したばかりだ。


 京の一角で油売りをしている。この辺りじゃあ、ちょっとばかし有名な情報通の油売りとして、生計を立てている。


 コツコツ溜めた明銭(みんせん)が百貫文ある。あちこちで交易をしながら、溜めたものだ。


 おかげで、ケチな油売りだと陰口を言うものもいる。


 俺、『戸島大輔(とじまだいすけ)』は現代でいえば、ちょうど成人だ。もっとも、大学に合格して一人暮らしをしていた俺にとって、この時代は地獄だった……。


 それを助けてくれたのが、ここいらのまとめ役である安井の一家だ。


 武士ではないが、地元の名士として知らぬ者はいない。


 俺は、一応そこの客人としてあちこちを旅しながら、日銭を稼ぎ続けた。


 幸いな事に、泥棒や詐欺の類は無かったので、駿府・伊勢・四国・遠くは九州まで足を伸ばして、商売をする事が出来た。


 季節の商品や特産品を見つけては、少しずつ商売の規模を広げてきた。


 今では、店を開く事だって出来るだろう。


 ……人がいれば、の話だ。


 詮無い事ではあるが、この時代に目立った武士や商人と出会う事は出来なかった。


 出来れば活躍する前の武将を、配下にしたかったのだが……流石に、この時代に、そうそう良い人材が居る訳も無い。


 ま、そこら辺も含めて、安井家で相談してみよう。


 こういう時こそ、ポジティブに考えなければ……。考えようによっては、大きなアドバンテージがある。


 ……大学で日本史を専攻したお陰で、ある程度の歴史は分かっているのだ。


 まだ、戦国大名がいない群雄割拠のこの世の中で、立身出世するのも悪くない。戦に巻き込まれるのも困るし、そういう所に気を付けて、身分や居場所を固めたい。


「……ふむ、それでは商人と武士の二足の草鞋を履きたいと、そうおっしゃるのか。戸島殿」


 この人が俺の恩人でもある安井殿だ。代々、商売をしてきたのでその辺の難しさは理解しているらしい。


 だが、俺だってこの三年間、ぼーっとしていた訳ではない。


 ……この時代、まだ大きな商売というもの自体が無い。


 時々行われる市がある程度なのだ。


 何処かから安く仕入れた品物を、別の場所に流すだけで大金が手に入る。


 ……手元に有る百貫文を見せて、俺は言った。


「安井殿、まずは商人として身を立てたい。同時に役に立ちそうな配下を見つけて、時期が来れば仕官したいと、そう思っております」


 目の前に差し出された明銭(みんせん)を見て、覚悟の程を理解したのだろう。


 安井殿が切り出した。


「のう、戸島殿。ウチの倅が丁度元服しておっての。商売の事は全て叩き込んでである。良ければ、倅をつこうてはくれんか?」


 そう言えば、アイツも15歳か。早いもんだ。


 俺の弟分として、かなりの間預かっていて気心も知れている。銭の勘定も確かだ。


「えっ……そんな事で良いんですか? 俺にとっても願ったり叶ったりですが」



 そう言う経緯があって、俺と『安井成安』の二人で小さな店を開く事になった。


 店と言っても、大したものではない。俺が各地で交易をしながら珍しいものや茶器などを仕入れる。


 安井が店番をしながら、会計と金の管理をする。


 その程度の規模だ。二人しかいないのだから、仕方が無い。


 最近、三人程増えたのだが……誰かは判らん。


 一人は伊勢の街。暴れる大男を取り押さえた。


 どうやら、酒場の鉄火場でやられたらしい。仕方が無いので、小銭をやって適当に誤魔化そうとしたが、「兄貴」と呼んで付いて来る。


 もう一人は、道の片隅で途方に暮れている小坊主だった。


 詳しくは判らんが、元武士で仏門に入ったが虐められたらしい。


 ……こいつも俺を慕って付いて来た。まあ、店番や用心棒位にはなるだろう。


 そして最後の一人は、ちょっとややこしい。


 武芸を治めたいと思った俺は、大和の国で道場に通っていた。


 そこで出会った小僧なのだが……とにかく声がデカい。


 物凄い勢いで木剣を振り回し、こちらは防戦一方になる。


 どうも話を聞いてみると、齢八つで武士を目指して剣術の練習らしい。


 俺の話を聞いて、「俺も武士になりたい! 俺を雇ってくれ」と言い出した。


 いくら断っても全く聞かないので、仕方なしに連れて帰って来た。


 

 人数は増えたが、やる事は変わらない。


 ……とにかく銭を稼ぐ。土木仕事や銭勘定、剣術の練習も五人全員でやっている。


 そろそろ、十分に銭もたまったし、伊勢で仲間にした男に船を渡した。


 聞く所によると、元々熊野で海賊をやっていたらしい。


 九鬼とか言う一族だとか。


 なんでも最近景気が悪く、飛び出してきたそうだ。


 ……どっかで聞いた事のある名前だが、気にしない。


 こいつ含め数名で、石山~坊津~那覇の交易を行って貰う。


 もちろん俺が船長である。お飾りではあるが。


 九鬼は、本当に海の男だった。嵐に巻き込まれた事もあるが、何とか乗り切った。


 とにかく、商品となる刀や生活品などを特産品と交換する。


 那覇では、明との貿易があるらしく、売り買いする商品には困らない。


 船一杯に交易品を載せて、石山へと戻る。


 こいつを売り出せば、俺達も一端の商人として認められる筈だ。


 ……どうやって武士に仕官するかは、まだよくわかっていない。


 京の都で、武芸を教えている先生に、相談してみるか。


 後は安井家のコネが使えるかどうか……。


 何分、この時代には大きな事件も無く、戦で手柄を上げるのもおぼつかない。


 なるようになるさ、と考えながら石山の街へ向かうのだった。

 主人公以外の四人は、立派な戦国武将です。


 多分誰も分からないと思う(海賊以外……)けど、そのうち正体をバラします。


 気が向いたら更新しますので、適当にブックマークやなんやかを付けておいてください。


 前作を読んだ方なら『また商売物か』と思われるかもしれません。正直「現代日本人」って、超チートスキルなのよ? 資本主義……高度な計算術、文字の読み書き……どれをとっても一級品。


 どんな世界のどんな所に行っても役に立つスキル満載!! 存在自体がチートなのです!


 だから、楽なんすよ実際……何にも考えずに金の勘定してたら、儲かるから、ね。


 いや、戦争ものも書きたいのだけれど……戦国時代って意外にスケールが小さくてね。


 あまり敵との戦闘を重視すると、敵勢力を大きく見せないといけなくなる。


 内政チートって、相手よりも有利な状況を作る訳で……戦術でなく戦略で勝つ!!


 見せ場は、国外に出てから!! そう言う気持ちなのだ……。


 国内は、キャラを魅せつつサラッと済まそうと思っている。


 アルマダの海戦で無敵艦隊とロイヤルネイビーとの三つ巴が一番の見せ場。ポルトガル復活をかけて!!


 後は、大航海時代(東→西)という、大きな目標があるので……。


――――――――――――――――――――――――――――――――


まあ、メタ目線は主人公のモノローグでサクッとね。あんまり、やり過ぎちゃうと架空戦記とか歴史改変とか、重くなっちゃうから。


軽~いノリで行きましょう!!


という訳で、この物語の内容は基本的に「太閤立志伝Ⅴ」をメインとするのだが……皆様の仮想戦記って「戦国小町」とか「淡海乃海 水面が揺れる時」じゃない?


まあ、内政チートとか第二次世界大戦とか……科学考証に基づいた、お堅いイメージ? なかなか進まない物語とか……難しそうとか。


こいつは、そう言った要素は出来るだけ省く。歴史考証はしっかりとするし、出来るだけリアリティを求めるが、ノリは軽めである。


自分自身、難儀なもんで流行に乗る……そう言うのが嫌いでもある。やっぱり楽しくやりたいじゃない!


転生は甘え、だとか……当然のように成功する内政とか……三歳児とかに振り回される社会というのも……ねぇ?


……なので、リアル重視、かつテンポ良く進めていきたい。脱線する事もあるが、本題は三好家なのだ。


昔の作品も、結構参考にしている……なろう系ばかりじゃなく、ネットの創作物なんて幾らでもある。


出来れば、そう言う雰囲気(何故か変換できない)を感じて欲しい。


たとえば「大日本帝国助太刀いたす/日波同盟」なんてのもある。歴史改変ものとしてはかなりレベルが高い!「https://www.nicovideo.jp/user/7501317/series/121571」


……ニコニコ動画なんて、オワコンというそこの君。という事はだ、逆に過去の作品は優れていたとも言う。


温故知新、という言葉だってある。そう言う古い作品を、手軽に楽しんでもらいたい。


偽らざる、作者の気持ちである。名作・伝説の元ネタ……そう言った過去の作品には事欠かない。


『歴史創作もの』本来の面白さを、一緒に楽しんで行って欲しいのだ。

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