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三日月さん、オレは寝るぞい!

 水曜深夜1時24分、オレは帰宅した。


「この日に有給(休暇)取れ」


 働き方改革の一環で年5日は有給休暇を取得させなきゃいけないとかで、業務量が減らない中で社員に有給休暇取らせるのに社長をはじめ幹部連中は頭を悩ませているらしい。


「出来れば金曜日がいいんですけど」

「三連休か? 贅沢言うな!」


 はあ、また転職が頭をよぎる。スマホの転職サイトを見るがぬるま湯の安定を捨てる勇気がないオレ。


 転職なんかで有給休暇取れそうも無いし。ホントは有給休暇取るのに理由はいらないなんて、ウチの会社じゃ言えない空気だしな。


「ごめん! 急なプレゼンが明日どうしてもって」


 彩奈先輩が19時で退社しようとするオレに泣きついてきた。普段はツンツンしてるくせに!


「オレが過労死したら責任取ってくださいね」

「またまた〜」


 彩奈先輩のわざとらしい笑顔にムカつきながら、終電までに間に合わせるべく必死でキーボードを叩いた。


「ありがとう! 助かった~」


 オレは彩奈先輩をガン無視して駅に向かった。


「はあ〜」


 ベランダに出て洗濯物を取り込んだ。部屋干しはうっとうしいから雨でない限り外干しする自分の習性にため息が出た。


「三日月?」


 オレは久し振りに夜空を見た。入社したばかりの頃は都会の星の少なさに田舎者であることを痛感していたが、いつの間にか夜空を全く意識しなくなった。


「三日月さん、アンタは昼間寝てるのかい?」


 オレは相当疲れてんだなと思いつつ、三日月を見つめた。


「それとも、うたた寝してて三日月になってんのかい?」

 

 童話でも書こうかな? ってアクビが出ちゃった。


「三日月さん、オレは寝るぞい!」


 オレは三日月に軽く敬礼し、部屋に戻った。


 明日はずっと寝てられるよう洗濯物をチャチャっとたたんで入浴と歯磨き粉を済ませて万年床にスベりこんだ。


 翌日、トイレと飯以外はずっと布団の中で過ごした。〈終〉






 


 





いつもご愛読いただき、ありがとう御座います。


前作「たまごならありますが・・・」では、ご感想をいただき、とても励みになりなりました。


今作品も多くの方にお読みいただきたいと思います。

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