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第八話 座学魔法

やっと、戻ってきた。茶会が終わって、帰りの馬車でまた叩かれたりもしたけど、とりあえず、無事に自分の部屋までこれた。母が乱入してこなければ完ぺきである。深く溜息を吐きながら、ベッドに勢いよく倒れる。


「お嬢様、倒れこむより先に傷の手当です。あと、何かしら栄養は取ってから寝てください、軽食ぐらいは用意してあります」

「疲れてるんだもの……」


フラメウに体を起こされると少し口をとがらせつつも言われた通りにする。確かにそうしないと明日がもたないだろう。


「これ、鞭の痕だけじゃないですね、魔法を使ってまで。あ、返事は返さなくて良いですよ、罰についてお嬢様が喋れば、呪いが発動する可能性が高いですから」


あっぶな!? 思わず返事を仕掛けたんだけど。


「王宮でも、まだ味方に恵まれそうにはありませんね。それどころ、王宮という特殊な環境であるにもかかわらずエスカレートしているのが心配です。お嬢様は第一王子の婚約者で、第一王子の評判は悪くありません。他に王子はおらず、王女が二人いるのみ。つまり、王妃になる可能性が高いのです。まだ婚約の段階ではありますが、王妃になる人物を害するなんて、重罪もいい所です。バレない自信がおありなのか、よほど強力なバックがついているのでしょうか」


おぉう、6歳児だぞこっちは、難しい政治の話を理解できるわけがないでしょうが! できるんだけど。強力なバックか、王様か、王妃かバックにいるとか? わりとありえる、王様は知らないけど、王妃は婚約白紙にしたそうだったし。


「とりあえず、ご用心くださいませ、さて、傷の手当は終わりましたよ」

「ねぇ、治癒魔法とかってないの?」

「残念ですが、私が使えません」


使えなかったかぁ、傷薬がとてもしみるから、魔法で治るならありがたかったんだけど。あ、そういえば魔法といえば、メファールに参加することになったんだった。フラメウから魔法を教わるのが一番よさそうだよね、他の指導者はちょっと期待できない。フラメウが魔法を使えるかどうかわからないけど。


「ねぇ、フラメウ、メファールに参加することになったのだけれど、魔法を教える事ってできる?」

「お嬢様は死ぬ気でしょうか?」


こういうイベントは危ないって私も直感的に思ったよ、でもしょうがないじゃん、拒否権がなかったんだよ。


「死なないために言っているのよ」

「まぁ、沢山の貴族が見ていますし、騎士も数人配置されますし、危険は少ないとは思いたいですが、どさくさに紛れて何かをする、格好のチャンスのようにも思いますね、もぅ決定事項なのですね?」


そんな溜息を吐きながら言わないでよ、こっちも憂鬱なのだから。


「あまり魔法の腕はよくありませんが、教えます。多分、メファールに参加されるのに魔法教育がないわけないとは思いますが、まともな指導がされるとは思えませんし。とりあえず、魔法で必ず覚えないといけないのは、障壁魔法と、信号魔法ですね。ただそのまえに、魔法そのものについて勉強しましょう」


うぅ、王宮でも帰っても勉強漬けになりそう、でもまぁ、魔法はファンタジー要素強くて気になるし、何より生存確率を上げるためだからどうにかしなきゃまずいよね。


「まず、魔法を使うには必ず杖が必要になります、サイズは様々。タクトのような小さいシンプルなものから、人の身長ほど大きなものもあります。更にそれに宝石を付けたりして、カスタマイズもできるのですが、とりあえず、子供が持てるのは、タクトのような小さいシンプルの杖のみと決まっています。大きいとその分必要な魔力が増えてしまって危険なので。お嬢様に杖を一つ差し上げます、余分にはないですから、奥様方に没収されないようにお気を付けください」


そういうと、短い棒のようなものを貰った、これが杖のようだ。持ってもただの棒きれにしか見えないせいか、あんまりワクワクしない、早く魔法を使ってみたいな。適当にぶんぶん振ってみたけど、何も起きなかった。


「振り回さないでください。魔法の使い方を説明しますが、説明が終わるまで勝手に試したりしないでくださいよ。魔法を使う際には、頭の中にどんな魔法を使いたいのか具体的にイメージします、規模とか、何を発生させるかとかですね。十分にイメージができたら、自身の魔力をイメージした規模に合わせて杖に流し込みます。杖に魔力がたまってから杖の魔力を放出すれば、大地にある魔力と絡み合って魔法として発動されます。大地は魔力に満たされているので、自身の魔力を使えばその魔力に近しい力が引き寄せられるようですね。魔力は魔法を使うときのエネルギーだと考えてください、エネルギーなので当然使えば消費しますし、エネルギーの保有量自体にも個人差があります。自身の魔力に気を配らずに、無理に魔法を使用すると、体に大きな負担がかかるため、決してやらないように。っと、長くなりましたが、基礎知識はこの程度でしょうか」


説明を受けたところで、魔力をどう流すかなんてさっぱり分からないんだが、え、世の異世界児はホイホイ魔力操れるのか。


「初めは魔力を流す感覚をつかむために、魔力を吸い込む宝石を使うのですが、流石にメイドが一般的に所持しているものではないです。王宮ではさすがに出てくると思いたいですが、出てこなかったら言って下さい。やり方を考えます。とりあえず、今回は手本だけお見せしますね」


ぐっ、流石にいきなり魔法を使えるようにはならないらしい、少し試してみたかったんだけどなぁ。ほら、転生チートとか? ちょっとだけあこがれてもいいと思う、だって、ハードモードだし。


「まずは障壁魔法。自分の周りを薄い膜で覆うのをイメージして発動した後、敵の攻撃を見ながら防ぐイメージを保ちつつ魔力を流し続けます。敵の攻撃が強ければ強いほど、魔力も沢山必要になりますね。信号魔法は、信号弾を打ち上げる魔法ですね。殺傷性はないですが、メファールで何か問題が起きたときに信号弾をあげると、棄権や緊急事態を知らせることができ、騎士団が飛んできます。なので、メファールをする際には、信号弾を使えるのが必須条件なんです。騎士団内でも、応援を求めるときによく使われるそうですね」


なるほど、そりゃ覚えないといけないわけだ。というか、今の状態だと私、参加条件さえ満たしていなかったのか。


「と、説明はこれぐらいですね。後で、紙にまとめておきますので、忘れたら読んで思い出してください。本当はお嬢様にまとめさせたほうが良いとは思うのですが、明日も大変なことが予想できますので、とっとと休んでください」


よかった、何もなしでずっと覚えておく自信はないから助かる。とりあえず明日に備えて眠ろう。

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