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第六話 洗脳

足をひいてしっかり腰を下ろして、頭も下げる、背筋は曲がらないように気を付けて、その姿勢をキープ。疲労困憊しすぎて、体がプルプルして軸がぶれそうになるけど、必死に堪える。下を向いているから、王妃様がどんな表情をしているかが分からない。


「シャルの婚約者ね。あなたの噂は聞いているわ。シャルの婚約者が噂通りのような人では困るの、王子の婚約者というのはそんなに甘いものではないのよ。立場には大きな責任が伴うもの、貴女がそのことをしっかりと理解して学んでくれることを願うわ」


うーん、これは初手から、マイナス印象っぽい。少なくとも歓迎雰囲気ではなさそうだ、まだ姿勢を崩す許可ももらえないし。いい加減足が限界なのですが。


「しばらくは、ミュリーのもとで様々なことを学んでもらいます、時期を見て王妃教育も進めるつもりだけれど、貴女がそれを受けるにふさわしくないと思ったときには、婚約を白紙にすることもあり得るわよ。しっかりと励んで頂戴。もぅ下がってもいいわよ」


結局最後まで姿勢を崩すのは許してもらえなかった。下がっていいと言われたので、そのまま部屋から出ていき、教育部屋に戻る。


「なんですかあのカーテシーは。足が震えていてみっともないですよ、しっかりとできるまで叩き込んであげましょう。その前に服を着替えましょうか。どうやらたくさん躾が必要なようですから、服がだめにならない範囲では足りないでしょう」


それなら叩くのをやめろよ!! めっちゃ声を大にして言いたい、ぐぅ、でもいったら絶対に叩かれる。大人しく脱ぐしかないか。キャシーに手伝われドレスを脱ぎ、ぼろっちい服に着替える。どことなくシンデレラの気分だ。


「それではカーテシーを。許可するまで姿勢を変えてはいけません」


冷たく言われれば、言われた通りにカーテシーをする。が、鞭が飛んできた。思わずバランスを崩すと、体中に電気がはしったような衝撃で激痛が走り、その場にのたうち回る。


「姿勢を変えないように言いましたよね。姿勢を崩したら、体に電気を浴びせますよ」

「心臓止まるわっ!!、あっ……」


やばぁ、思わず口をついて出てしまった、お腹を鈍器で殴られたような感覚に襲われその場に咳き込む。


「あなたの出来が悪いから躾をしているのに、口答えをするなんて。あぁ今のは、風圧ですよ、どちらも魔法でございます。魔法教育はまだあとですが、しっかりと体で学ばれてもよろしいでしょう」


よろしくありません!! って言いたいけど、いったら絶対さっきの二の前だ。手に杖らしき短い棒を持っているのが見える、あれで魔法を使っているのだろうか、どうにか奪ってしまいたいけど、多分返り討ちだよなぁ。なんだこのリンチ。


「ほら、早く体を起こしなさい、もう一度カーテシーを」


ふらふらとしながら無理やり体を起こすと、どうにかカーテシーの姿勢をとる。が、体がボロボロでまともにできるはずがなく、鞭がずっと飛び続ける、でも姿勢を崩したらもっと痛い魔法が飛んでくる。唇をかんで必死に、姿勢をキープしたまま鞭を耐える。どんなに我慢しても、鞭が止まることはない、体に限界が来たのか急に脱力して、力が入らなくなった。電撃を浴びても立つように言われても体が言うことを聞かない。


「もうたてなくなったのですか、仕方ありませんね、王子に会うまでに動けるようになってもらわないと困ります、カーテシー以外にしましょう」


腕を掴まんで無理やり起こされると、椅子に座らされた。そのまま、じっと目を見つめるようにミュリーが見てくる、まるで目に吸い込まれるかのように自分の視線が固定された。


「時間が来るまでは、マナーレッスンではなく、躾を致しましょう。今度は何も難しくありませんよ、ただ私のいうことを復唱するだけで構いません。では、いきますよ。ティアは、とても出来損ないで悪い子です、出来損ないは罰を受けなくてはなりません」

「てぃ、ティアは、とても出来損ないで悪い子です、出来損ないは罰を受けなくてはなりません……」


何の意図があるんだと、口をつぐんでいたら杖を向けられて慌てて復唱した。すると、脳裏に刻まれるような感覚に陥り、復唱した言葉の否定ができなくなる、自分はどうしようもなく出来損ないである気分から逃れることができなくなった。これは、絶対にまずいやつだ、これ以上言ったらどうなるのか。


「ミュリーの教育は素晴らしいです、けれどティアの出来が悪く、勉強も嫌いで真面目にしないので、覚えが悪いです」


駄目だ、これ以上自己否定で頭をいっぱいにしたら、絶対自分という存在が壊れちゃう。口をつぐんでいると杖を体に押し付けられた。


「っっっっっ!!!!」


火で皮膚をあぶられているかのような感覚に声にならない悲鳴を上げる、無理、これ絶対我慢できない。涙が絶え間なく出てきて、体がガタガタ震える。少し杖を離された後また杖を押し付けられた。


「ぅぅぅぅぅっっ、ミュリーの教育は素晴らしいです、けれどティアの出来が悪く、勉強も嫌いで真面目にしないので、覚えが悪いです、お願いもうやめて……」


再度杖を離された瞬間に、急いで復唱する。恐怖に震えが止まらず思わず懇願の言葉を口にした。


「きちんと復唱されればそれでよいのです。ティアは罰を受けて当然の人間です、大人しく罰を受け入れます、決して逆らったり逃げるようなことは致しません、どんなに出来が悪くても教育をしてくれるミュリーに感謝をしています」


今度は逆らわずに復唱をすると、ミュリーへの感謝の気持ちがあふれ出てくる。


「それでは、そろそろ王子とお茶会ですね。服を着替えたら行きましょう、また次回マナーレッスンを致しましょうね」

「はい、あ、ありがとうございました、ミュリー」


御礼を伝えるとミュリーは満足そうに笑う。キャシーに手伝われ、ドレスに着替えると、もう一度ミュリーに頭を下げてから、部屋を出た。

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