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26-3 どうや、ちゃんとした目標があるやろ? ※ステータスあり

 トロールとエルフを引き連れた大移動となるが、もう一か所だけ敵の拠点を陥落させて休息をとることにした。目的地は占領されたエルフの集落だ。


 そして今いる場所が目的地である占領されたエルフの地。敵の拠点は陥落させたばかりだ。俺が休んでいる場所はダークエルフ軍団幹部の天幕である。


 敵幹部の生首を足で転がす。彼女はマーズと名乗り、頭の中を覗いてみたらサーズの母親だった。それなりの実力者だったが、博麗隊の三人は苦戦することなくいつも通り仕留めた。


 博霊隊のみで敵陣に潜入し、幹部を討ったのち、エルフとトロールを使って拠点の内外から制圧した。


 三人とも格上との戦闘を繰り返したことでレベルが上がっており、最初の頃と比べると敵陣を陥落させるペースが速い。




────────────────>


【LV.301】大吉ハナマル

【種族】瑞獣・麒麟

【重さ】     60

【戦闘力】MAX:21060

【タフネス】   18960

【魔力】     241

【スペック】

『ケーの魔石』『極娯楽神の植毛』

『健康指輪(呪い)』『悪食』

『透明指輪(呪い)』

〈スキル〉

〖恐慌無効〗〖退魔の鱗〗

〖状態異常無効〗〖双剣LV.10〗

〖雷魔法LV.9〗〖光学迷彩〗


────────────────>


【LV.300】佐々木サキ

【種族】イフリータ

【重さ】     50

【戦闘力】MAX:21050

【タフネス】   18950

【魔力】     250

【スペック】

『ケーの魔石』『健康指輪(呪い)』

『透明指輪(呪い)』

〈スキル〉

〖恐慌無効〗〖火炎のオーラ〗

〖状態異常無効〗〖刀LV.10〗

〖火魔法LV.9〗〖料理LV.3〗

〖光学迷彩〗


────────────────>


【LV.44】如月ユーキ

【種族】ヒト

【重さ】     45

【戦闘力】MAX:24445

【タフネス】   22005

【魔力】     220×10

【スペック】

『ケーの魔石』『健康指輪(呪い)』

『悪食』『輪廻者』

『透明指輪(呪い)』『ケーの植毛』

〈スキル〉

〖恐慌無効〗〖状態異常無効〗

〖片手剣LV.16〗〖盾LV.15〗

〖回復魔法LV.11〗〖投擲LV.14〗

〖光学迷彩〗


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 なんと言ってもレベルリセットしてからユーキちゃんの成長スピードが速い。

 サキさん、ハナマルくんの戦闘力を3000も上回っている。これでユーキちゃんの力が二人より約4馬力ほど離れたことになるわけだ。全力を引き出す技量が伴わないと無意味な数字だが。


 レベルが上がるにつれ戦闘力は上がりにくくなるため、二人が今のユーキちゃんの戦闘力を超えるには150レベルほど必要となる。


 ユーキちゃんの成長速度は凄まじく、二人が戦闘力でユーキちゃんに追いつくことはもうないだろう。

 やはりユーキちゃんは魔石融合に適したスペックを持っている。人の形にこだわらなければもっと強くなれるはずだ。


 ステータスカードを見比べていると、博霊隊のみが使用を許された天幕に何者かが入ってきた。その者と一緒に入り込む風が、爽やかで魅惑的な香水の匂いを運んでくる。


「使者様、ここに囚われていた捕虜たちは全て支配下に入りました。陽動作戦に参加してくださるそうです」

「サンキューアリルレ。ほれ、この首やるよ」


 マーズの首を蹴ってアリルレ王女にパスした。生首はアリルレ王女の足元で止まり、恨みがましく歪んだ目とアリルレの目があう。


「いえ、恐れ多くも使者様からは戴きすぎております。命の恩も返しきれませんのに、この程度の働きで手柄まで受け取ることはできません」


「俺自身はエルフの地位なんかに興味ねえのよ。その首はおめぇが有効に使って統治に役立てろ」


 サーズの首の隣に並べられたらいいね。きっと親子の絆が運命を導いてくれる。


「そういう理由でしたら遠慮なく頂戴いたします。必ずやご期待に添えるよう努力してまいります」


 どこで調達してきたのか、胸元の開いたドレスに着替えたアリルレ王女が首を拾うために屈む。

 わざと胸の谷間を見せつけてきた。下を向いて目を合わせないようにしていたのに、胸を見たのがバレたかもしれん。


 マーズの首を持ってアリルレ王女が天幕から出て行った。背中を露出したドレスに目が惹かれる。


「策士め」


 博霊隊の三人に言われて仕方なくアリルレ王女を蘇らせた。

 俺の手に落ちたとはいえ王族の権威は揺るがず、王女の発言にエルフたちは大人しく従っている。今のところ忠実に働いてくれているが天然の人たらしだ。日ごとに味方を増やし、俺まで惹きつけてたぶらかそうとしてくる。


 別にアリルレがいなくても恐怖で支配できたさ。ただ、エルフの王女が日本に忠誠を誓うのであれば、今後エルフの国を征服するのが楽になる。他に代替えがいなければ、ゆくゆくは女王になるかもしれない。


 さっさと魔王軍を壊滅させて、城の地下にある俺専用のダンジョンコアでリスポーン設定を変えたい。国づくりには必要なことだ。



◆◆◇◆◆◆◇◆◆



 それから俺らは砦奪還作戦に向け、周辺の敵陣を潰しまくった。殲滅するたびにこちらの戦力が増えるため、敵陣に到着したら速攻で敵を一掃できた。


 増員した味方を含む全員の体力を〖神パワー〗で回復させながら、全速力の行軍で1日のうちに周辺の敵陣を全滅させられた。先輩使者と出会えることを期待していたが、砦周辺の拠点にはいなかった。



 脱走兵を出した今、悠長にしている暇はない。少しの休息を取ったら砦奪還作戦を開始する。



"どうしてエルフにひどい事をするのか、どんな理由があって魔王軍と敵対するのか、何も聞かずに従ってきたけれど先生の目的が知りたい。"


 砦奪還作戦の前夜、俺の寝床に来た博霊隊の三人がそのような質問してきた。


 なぜ俺がこれほどまで博多ダンジョンに執着するのか。死ぬ方法を探しにきたという本当の理由は隠さなければならない。

 だが、三人を騙すつもりもない。生きて帰れたときの公的な理由がいる。


 エルフを主軸とした国づくりを始めるならば、博多ダンジョンにこだわる理由を訊かれたときの回答を用意しておかなければならない。それは俺の後継者になるかもしれない三人にとっても必要な回答だ。


 だからまず事実を話す。



 俺の実家のダンジョンを除く、全てのダンジョンの出入り口はひとつの異世界に繋がっている。



 その異世界こそ極娯楽神様が創造し、なんらかの観測を基軸とする基本世界だ。


 俺たちが住む予備世界の上位にあたる世界であり、先輩使者たちが実効支配する世界でもある。


 その異世界にあるこの大地。空があり、天体があり、宇宙がある。この惑星。


 この惑星の名前は〘マナガス〙。魔力の源であるマナが星の大気を覆うという意味らしい。


 北海道ほどの広大な面積を誇る博多ダンジョン、本来の名称は〘ジュフタータ大陸〙。

 博多ダンジョンがダンジョンの機能として扱われる領域はこの大陸のごく一部に過ぎない。


 ジュフタータ大陸を囲む海の先には、沢山の島々がある。あちこちにある島々と地球が繋げられた事実は陛下と俺しか知らない。そして秘密を知る人間が今3人増えた。


 異世界についての情報は限られるとはいえ、マナガスの文明に触れる機会がくれば世界中が知ることになるだろう。


 そのときが来たら我が国日本が有利に事を運べるよう、どの国よりも先に現地で超大国を作っておきたい。


 忠実かつ手先が器用なエルフを主軸として勢力を拡大させ、超大国を作ってから大海原を渡るのが今後の目標である。



「どうや、ちゃんとした目標があるやろ?」



 ここには人間がいないから話が漏れる心配もない。三人のうちの誰かが裏切ったとしても、今の話を信じて動ける政治家はいない。


「これからは日本が地球の舵を取る。そのためには指定モンスターが必要なんよ。陛下が地球の船長となればあらゆる方面から攻撃を受ける。

 今はまだ準備期間中だから通常公務をしていただいているけれども、おめぇら三人の華々しい活躍を世間に広めた後には皇族の方々が魔石融合あそばされる予定や」


「アタイらはそのための試金石ってわけかい?」


「そうだぜ。だからといって悲観的に捉えるなよ。俺らみたいにしがらみのない庶民だからこそ最強の力を先んじて持てるわけ。

 後々、俺らの存在は上流階級の邪魔になるかもしれん。でも庶民のまま自由に生きるか、統治側となるかを選択できるくらいにはおめぇらを鍛えてやる。安心して強くなれ」


「エルフにひどいことする説明にはなってないよ。ここが異世界って言うんなら、エルフたちは異世界における人間なんじゃないのかい?」


「今のうちに線引きはしとけ。エルフはモンスターや。人間じゃねえぜ」


「アタイらもな」


「ああ、そういうことや」


「あの、ケーちゃん先生……言おうかどうか迷ってたんですけど……」


 言おうかな、やっぱりやめようかな、を繰り返すハナマルくん。うじうじしてじれったいなあ。


 俺と同じことを思ったのか、サキさんがハナマルくんを押し除けてキッパリと言い放った。


「天皇陛下は崩御されたよ」














       は?









            は?


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