120 キガル
長い長い暗闇の一本道を歩き続けると、三つある猫の顔のひとつが振り返った。
そして、猫の目を細めて笑う。
「そろそろお出口が見えてきます」
猫の笑顔って世界一可愛いのでは?
この顔を見ると、死んだ愛猫らのことを思い出す。あれが笑顔だったかどうかは不明だが、あの子達もこんな顔をして寝転んで、俺が撫でるのを待っていた。無視して撫でなかったら不満そうに鳴くんだ。尻尾で床を叩きながら、不満そうに。
気がついたら、サーベラスの顎の下を撫でていた。
「ゴロゴロゴロ…… ゴロゴロゴロ……」
真ん中の顔が気持ち良さそうに喉を鳴らすと、左右の顔が「ニャーニャー」「ンナーンナー」と甘えた声を出した。
「撫でて欲しいんか? んー? ここが痒いんかー?」
触手を三つに分けて、三つの首のまわりを優しく掻いてやる。すると、猫のゴロゴロエンジンが三つに増えた。
こりゃあ、良い。こんなに気持ち良さそうにされたら、こっちまで癒される。
やっぱり猫を撫でるときに出る脳内物質の味は格別だ。スパルナも撫でられるのが大好きで、首まわりを撫でてやると良い声で鳴くが、カラスと猫じゃあ反応に違いがある。スパルナには悪いけども、俺は無類の猫好きだ。なんなら猫になりたい。その欲求が大きすぎて、本体の中の本体も猫型にしたくらいだ。
現世じゃあ、猫と触れ合う機会は無くなってしまった。この姿が怖いのだろう。近づくだけで逃げられる。逃げ場のない場所だと、ストレスで猫が死にかねないので、最近はペットショップにすら行けていない。
恐れずに触らせてくれるこいつは、俺にとって非常に貴重な存在というわけだ。
飼いたい。どうしても飼いたい。飼ってもいいかな。でも、現世には連れて行けないから、冥界で飼うことになる。現地妻ならぬ現地ペットだな。毎日来れるわけじゃないし、寂しい思いをさせることにもなる。そう考えると世話できないし、やめた方がいいのかもしれない。悩みどころだ。
サーベラスはゴロゴロエンジンを鳴らしっぱなしで案内を再開した。と言っても、出口はすぐそこで、幸せホルモンも抜けないうちに案内が終わってしまった。抜けたら補充しようと思っていたのに残念だ。
「ここが門の出口です。今開けますので少々お待ちください」
「任せる」
光に照らされて現れたのは、トロール砦で見た物よりも、さらに巨大な門の扉だった。
この扉には見覚えがある。つい最近まで別荘の窓から毎日のようにボクちゃんが見ていた。
これは、地獄の門だ。ボクちゃんの記憶から思い出してみれば、確かに門の中は暗闇だった気がする。だが、通ったのは一度きりだし、そこにサーベラスの姿はなかった。
そういえば、サーベラスが提灯持ちを始めたのは2300年ほど前だっけ。
ボクちゃんの時間感覚は狂ってるから正確にはわからんけれど、おそらくサーベラスが生まれる前から冥界に篭っていたのだろう。いくらなんでも引きこもり過ぎだ。マジで寂しい女神様だったんだな。俺と合体できて、ボクちゃんもさぞ嬉しかろう。
「んにゃー!!!」
いきなり雄叫びをあげると、サーベラスが扉に向かって体当たりした。
「ッ! ふぐぅっっ!」
「おい! 大丈夫か!?」
「平気です!」
サーベラスはそう言ったあと、何度も何度も扉に向かって体当たりした。その度に扉に跳ね返されて転がり、気合いを入れて立ち上がる。
地獄の門に鍵は掛かっていない。だが、簡単には開かない。現世と冥界を繋ぐ扉が簡単に開いてしまっては、世界中が大混乱に陥ってしまうからだ。そのため、地獄の門の扉には常に閉じようとする力が働いている。
「ふんにゃー! ッッ! うぐぐぅ……」
目の前にあるのは、巨人が出入りするような扉だ。小さな猫が体当たりしたところでびくともしない。それでもサーベラスは諦めずに体当たりを続ける。
流石、二千年も生きているだけあって、サーベラスの体は頑丈だ。起き上がった体には傷ひとつなく、体力も削れていないように見える。でもパワーが足りない。扉に体当たりした時、一瞬の隙間すら見えなかった。
「あとどれくらいで開きそうかな?」
「ふんにゅ! ふんにゅ! んにゃー! ッッ! ぐえぇっっ!」
ダメだ。体当たりに夢中で聞こえてない。息継ぎしたら、すぐに立ち上がって、扉に体当たりをかましている。
どうしたものかと頭を悩ましていると、サーベラスの左の顔が喋り出した。
「ちょいと待っててくれよ旦那。ふんグッ! 最初が肝心なんだ。集中させてくれ」
「そうか。最初が肝心なんだな。ところで、あとどれくらいかかるのかな。繰り返すようで悪いけど」
すると、今度は右の顔が答えた。
「20年あれば開くはずよ」
俺は迷わず手を翻し、念力で扉をこじ開けた。
扉が開いたときの風圧でサーベラスが飛ばされる。そのまま上空でくるくると回って落下してきた。
サーベラスを両手でキャッチし、頭を撫でつつ謝罪する。
「悪いね。急いでんだ」
サーベラスはまさしく猫のように体をくねらせ、俺の腕から飛び降りた。
「お手を煩わせてしまって申し訳ございません」
「ほんじゃあ、プルモートを説得してくるから門の近くで待っててくれ。すぐに帰ってくる」
サーベラスは目を光らせて、尻尾を激しく振り回した。
「ありがとうございます! 天道様のおかえりを楽しみにお待ちしております!」
サーベラスは門から一歩も出ずに、内側から手を振って俺を見送ってくれた。
色々と用事はあるけれど、可哀想だからサーベラスを優先して解放してやりたい。プルモートは存在ごと消滅したから、適当な理由をつけるしかないけど、どう説明すれば、提灯持ちを辞めてくれるだろうか。
「やっぱ、プルモート本人を連れてくるのが一番良かったよなぁ。取り返しのつかないことをしちまったか」
いや、待てよ。2300年前っていうと、プルモートに伴侶が居た頃じゃなかったか?
ちょっと聞いてみるか。
門が閉まり切る前に足を挟む。
「サーベラス。まだそこに居るか? ちょっと聞きたいことがあるんやが」
「はい。なんでございましょう」
「冥界神キガルのことは知ってるか?」
「はい! 存じております! プルモート様の奥様でございますね!」
「思い出したんだが、プルモートは今かなり忙しい。会いたくても会ってくれないかもしれない。だから、キガルを連れて来ようと思うんだが、キガルの言うことなら聞いてくれるか?」
「奥様のお言葉であれば、断る権利はございません。し、しかし、わたくしめのために本当によろしいのでしょうか。奥様は少々気性が荒いお方ですので、退職願いなど申し上げたら天道様に危害が及ぶかもしれません」
「そっから出て自由になりたいんだろ?」
「仕事を辞めたい気持ちが無いと言えば嘘になりますが……。天道様にご迷惑をかけるくらいなら、提灯持ちを続けたいです」
「そっか。余計なお世話だったな。変に期待させて悪かった」
「いえ、お気持ちだけで十分嬉しいです」
「すまんな。ほんじゃあ、また」
そう言って別れた。別れ際、サーベラスの顔は寂しげだった。
当然、見捨てたりはしない。でも、俺がやろうとしているのは他人の奴隷を引き抜く行為だ。話し合いで穏便に済むとは思えない。地獄の門の封印に反対派のキガルとは溝を深めたくないし、やれるだけのことはやるが、場合によってはサーベラスを諦める選択をするかもしれない。あんまり希望を持たせるのは酷だろう。
サーベラスと別れた後、『冥府送り』でお祭り会場に向かおうとしたら、なぜか『冥府送り』を亜空間から取り出せなかった。山本メイが使用中なのだろう。
あっちの俺も武器を複製できるはずだが、何故かそれをサボっている。おそらく、これはメッセージを受け取ったことを俺に伝えるためだ。『冥府送り』が無くなっていれば、緊急事態に対応中であると流石に気づく。
やっぱりソウルノート奪還よりもムツキ救出を優先したか。冥界から戻れるのは色々終わった後になりそうだ。
他にあっちの状況を知れる物は残ってないかと思い、もう少し亜空間を探ってみる。すると、山本メイのスマホを見つけた。
メモ帳アプリを開いてみる。
何かメッセージは残されていないか?
『ムツキを助けてくる。連絡はこのスマホを通して行え。5分ごとに確認する』
なるほど、亜空間は共有のものだから、互いの現状を知ってさえいれば、わざわざ出向かなくても亜空間を通じて連絡を取り合えるわけか。賢いじゃん。
スマホの存在に気づいたことを伝えるために、『了解』のメッセージを残して亜空間に収納しておいた。こちらからは他に伝えることが無い。心配なのはあっちの状況だ。ちょくちょくスマホを確認しよう。
ひとまず、現世は山本メイに任せて、俺は『冥府送り』を複製し、お祭り会場の鉄蟻柱まで一気に飛ぶ。
活気に満ちた喧騒が肌を叩いた。真っ暗で無音だった地獄の門とは真逆だ。さっきとの温度差が激し過ぎて、孤独な生活に戻ったサーベラスを少し不憫に思う。
祭り会場を歩き回ってキガルを探す。人気者になったせいか、周りに人だかりができて進みづらい。
「天道様〜! 天道様〜!」
「天道様がご降臨なされた!」
「サインください天道様〜!」
ワー! ワー! キャー! キャー!
まるでアイドルになった気分だ。気持ちよくなっちゃうよ。こんなの現世じゃ味わえない。正直言って居心地が良い。もう地獄に篭っちまおうかな。
ダメダメ。流石に気が早すぎる。出張先が暮らしやすい場所だからって、引っ越すのは時期尚早だ。今は人探しに集中しよう。
しかし、この会場、自分で作ったとはいえ広すぎるな。『存在消失』+光センサーで探すか? でも、今の気分は最高だし、急ぎすぎるのは勿体無いよな。
そうだ。自分で探すより、こいつらに聞いた方が早いかもしれない。
「この中にキガル先輩を見た人はいませんか?」
「あ、キガル様なら……」
キガルを見た。という人は沢山出てきたが、見つけた時間と場所がバラバラで、キガルの現在地を特定するのは難しいとわかった。だが、お祭り会場にいるのは間違いなさそうだ。とりあえず、この中で一番最新の情報をもとに移動した。
「ここだよな……」
最新の発見情報によると、キガルがいるのはダンス会場だそうだ。
盆踊りでも、社交ダンスでも、ゴーレムに頼めばなんでも踊れる会場なのだが、現地に着いて驚いた。
誰もダンスをしていない。
でも、賑わっている。
ステージで誰か踊っているのかもしれないが、人だかりが多くて壇上が見えない。ウチワやケミカルライトを振る人間たちがステージの前で飛び跳ねているせいだ。
タカタカ♪ タカタカッ♪
ギュインギュイン♪ ギュイーン♪
ベンベンベンベン♪ ベンベンベンベン♪
ウゥー…… ウォウ…… イエエェ……
人だかりの先から聞こえてくるのは、16ビートのポピュラー音楽。盆踊りするには難しい激しめな曲だ。疾走感のある演奏の中から、ゴーレムに未登録の歌声まで聞こえてきた。
どうやら、何者かがダンス会場をライブ会場に変えてしまったらしい。ライブ会場の範囲を確保するためか、周りにあったはずの屋台が知らないうちに解体されている。
邪魔しちゃ悪いんで、宙に浮かび、空からキガルを探してみる。VIP席があれば楽なんだが、ここにそんなものは設置してない。
数万人規模の観客の中に混ざっていないか探していたところ、会場の外から俺を呼ぶ声が聞こえた。
「ケー様〜! ケー様こちらです〜!」
こっちに手を振っていたのはアリルレだった。昨日別れた後、言いつけ通りにちゃんとここへ辿り着けたみたいだ。
しかし、そこに居たのはアリルレだけで、トウゴウくんとトリコシくん、それとマニアーの姿も無い。他の三人の現在を聞くために、一旦、キガル探しを中断して地面に降りた。
「無事で何より。危ない目に遭わんかったか?」
「はい。ご心配いただきありがとうございます。またお会いできて嬉しゅうございます」
「うん。他の三人の姿が見えんようだが、あいつらどこよ」
「三人ですか? はい。トウゴウさんとトリコシさんは、天国の方を探しに行かれました。マニアー様は到着した途端に飛び出して行ってしまわれて、私も今探しているところです」
二人の場所は大体わかるからいいとして、マニアーを探すのは大変そうだな。
「わざわざ探してんのかよ。保護者じゃねぇんだし、放っておいていいぜ。おめぇも祭りを楽しめ」
「しかし、案内した者として責任を感じますわ」
「好きにやらせてやろうや。子供じゃないんだし」
「ケー様がそうおっしゃるのなら自由にさせていただきますが……」
「それよりも、キガル先輩を見なかったか?」
「キガル様ならこの会場に出入りしているところを見ましたわ」
「マジか。いつ?」
「二つ前の曲が始まる少し前くらいです」
「結構ここに居たんやな」
「ここは神々の往来が多い場所ですから、マニアー様がここに来るのを待ち伏せておりました」
神々の往来が多いやら、数万人規模のライブやら、想定外の使われ方なのに反響は大きいようだ。
「なんか主催者として負けた気分」
それはそれとして、冥界神たちが下民に混ざってライブ観戦しているとは驚きだ。てっきり差別意識が強い連中だと思っていたが、意外とそうでもないらしい。
注意深く探してみたら、先頭の方で、周りに合わせて飛び跳ねるキガルと、周りの勢いについて行けずに地蔵と化しているヤミーを見つけた。
着地すると同時に、会場の視線が一気に集まった。演奏も中断されてしまい、不穏な空気が漂い始める。
「無断で会場の施設を改造するとは何事だ!」
ボーカルのマイクに届くくらいの大声で叫び、白けた空気を更に白けさせる。
「俺の祭りをぶち壊しやがって! おめぇら自分が何やったのか自覚してんのか!?」
コソコソ話すら無くなった。
「神聖な舞台に土足で踏み入り、邪道な音楽を掻き鳴らし、あまつさえそれを楽しむとは!」
ステージへ上がり、恐怖に縮む大衆を見下ろした。演奏していたバンドマンたちは、俺から離れるようにゆっくりと後退りする。それらの顔に反抗的なものはない。ただただ怯えていた。
今から一言でその恐怖をかき消してやろう。
「最っ高にロックンロールじゃねぇか!」
キョトンとした顔が一斉に広がる。
「このまま続けろ! 俺は許す! さぁ、飛び跳ねろ! ガンガン歌え! ドンドン踊れ! 死ぬ気で盛り上げろボケども!」
ボーカルが雄叫びを上げて、ギターが高い音を鳴らした。それを皮切りに歓声が上がる。
俺はステージから退場し、キガルとヤミーの前に舞い降りる。
「キガル先輩に少しお話しがあります」
冥界神キガル。改めて見てもおっきなムツキだ。翼は紫色だし、肌の色は褐色だし、髪はピンクで、顔も全然似ていないけど、雰囲気がムツキと似ている。
「話? なんで? あー、さてはキガルが反対派だから口説きに来たんでしょ。そうよね?」
「いやー。実はそうなんですよね。悟られないように近づいたつもりだったんですけど、当てられちゃったかー。ハードル上がっちゃったなー」
キガルはフフンと鼻を鳴らして上機嫌になった。
「キガルを甘く見ちゃダメなのよ坊や。ぜーんぶわかっちゃうんだから」
「お見それしました。これはこちらも本腰を入れて説明する必要がありそうです。ここは少し騒がしいので、場所を変えませんか?」
「いいよ。どこ行こっか」
すると、ヤミーが割り込み、俺の顔の前でケミカルライトをチラつかせた。
「あの、ぼくも、反対派……だよ?」
でも、ヤミーはキガルの腰巾着だしなー。キガル次第でどっちにも転ぶだろうから、話しても労力の無駄なんだよな。
「二人きりで話したいんですけども」
「ごめんねーヤミー。キガルばっかりモテちゃって。根暗はひとりでテキトーに遊んでてよー」
本人の前で言うかよ普通。ニヤけてるし。こいつなかなか性格悪いな。
「今はキガル先輩と話したいんです。ヤミー先輩とは後で話しますから、今はキガル先輩を独り占めさせてください」
「でも……」
「あのさー。うざいよ。そんなんだから友達居ないのよ」
キガルの追い討ちもあって、ヤミーは見るからに落ち込んでいた。
落ち込んでる人って、なんでこんなにも可愛いんだろう。胸がキュンキュンして抱きしめたくなる。
「ヤミー先輩。これを」
ハート型ボトルの赤ワインをヤミーに渡す。これはオフ会帰りのウヅキさんと愛を確かめるために買ったワインだが、それどころじゃなくなって使い所を無くしていた。有り合わせの物で悪い気もするが、これで機嫌を直して欲しい。そしたら後々気まずい再会をせずに済む。
「これは?」
「なめらかな舌触りと少し甘めな味わいが好評の赤ワインです。これを持ってメイン会場で待っててください。一緒に飲みながら話しましょう」
「おしゃれー! キガルも欲しいー! ヤミー、それよこしなさいよ。ヤミーにはもったいない」
「え、えっ、でも……」
ヤミーはワインを固く抱いて譲ろうとしない。対して、キガルは笑顔ながらも表情が固まっていた。見ているこっちにもイライラが伝わってくるようだ。
「まぁまぁ、キガル先輩。ここは大人になりましょう。キガル先輩にもちゃんとお楽しみを用意していますから」
「キガルはそのワインがいいのよ!」
普通、そこは一歩引くだろ。こいつ、調子に乗らせたらダメなタイプの女だ。
態度を変えないと、こっちのペースを持っていかれる。ヤミーの前だけど、少し本性を出していくか。
「おめぇに酒は早ぇから、さっさと行くぞメスガキ」
「ちょっと、いきなりなにすんのよ! 離しなさいよ!」
「こっから出たら離してやるよ。ほら来い」
「引っ張らないで!」
嫌がってるけど、全力で抵抗すれば離れられる程度の力で掴んでいる。それでも俺に従っている。つまり、こいつへの対応はこれで正解ということだ。
「じっとしてろガキが」
「あっ♡」
キガルがバタバタ動くので、少し強めに引っ張って片手に抱いた。すると、キガルは完全に無抵抗になった。やはり、俺の目に狂いはない。こいつは精神的苦痛を快楽に感じる変態だ。
「ちょっと……/// 離しなさいよっ……///」
「では、ヤミー先輩。またあとでお会いしましょう」
会場を出ようとして背中を向けたとき、背面の光センサーが捉える。
歪な薄ら笑いを浮かべたヤミーの顔を。




