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いずれ英雄になる君へ  作者: 入井 橙治
王都襲撃事件編
7/13

第7話 ~授業~

 ○ァイナル○ァンタジー(FF)にミッドガルという都市があるって初めて知った…


 朝日が射し込む。


 学校の窓を輝かせながら教室の温度を上げていく。


 大通りの屋台は開店の準備を始める。


 今日もありきたりな一日が始まる。





 《一限目》


「はい。地理やるぞー。挨拶ー」


「起立、礼」

「お願いしまーす」


「というわけで、早速地理やります。我々は王都にいますが王都は東から西にかけての二本の山脈に囲まれています。この山脈の名前を北にあるのをガルスト山脈、南にあるのをホリスタレア山脈と言います。そして、最西に行けばグロウバーデン領が、最東に行けばヴェネタニア領が我が国、《ミッドガルド王国》の領地となっています。」


「先生ー。質問ー。山の向こうはどうなっているんですかー?」


「分かりきったことを聞くな。瘴気まみれに決まってるだろ。ま、そこんとこは生物でやるか。

んで、話を続けるとグロウバーデン領の先はガルボラ大森林がある。ここ、テストに出すぞー

んで、そこから先は未開拓地区(ディストリア)。地獄とも楽園とも言える場所。」


「はい先生ー。未開拓地区(ディストリア)って結局何ですか?」


「そこ分からんやつ多いけど、今現在地図に載ってない、現されてない地区ってことだな。そこ目指して冒険者は往く訳だ。ま、ここにいる皆の中には行く人いなさそうだけどな」


「それもそうっすな。なんたってそこで御茶会を開くことなんてできなさそうですしね」


 教室中が笑った。


「そうだな。んじゃ、君に問題。ヴィネタニア領から先。もっと進んだ所では御茶会はできますか?」


「海ってことですか?いやぁ、大きな船でもあれば御茶会しますよ?」


「そうじゃない。交易先のフィレーロ国だ」


「いや、あそこは最近は瘴気対策でろくなもんが無いじゃないですか。」


 また、教室中が笑った。


「おいおい。そんなこと言ってくれるな。まあ、そうだな。

えぇ、我が国の外には………」






 《二限目》


「えっ、えっと、生物の授業始めます…」


「起立、礼」

「お願いしまーす」


「あっ、あの、今の生物の分類には二種類あります…そっ、それがなにか分かる人はいますか…?」


「はい。原生生物と魔生生物です。」


「あっ、はい、その、正解です…えっ、えっと、原生生物とは、今の私達と同じ起源を持っているとされている生物たちです…今の竜たちや、馬などがそれに当たります…はっ、反対に、魔生生物は、私達と、まったく異なる起源を持ち…龍や魔獣などがそれに当たります…」


「はーい先生ー!竜と龍の違いは何ですかー?ついでに、先生は彼氏いますかー?」


 教室の中の一部の男子(クソガキ)が騒ぎ始める。

 訂正、男子(クソガキ)よりも女子(噂好き)の方が騒いでいる。


「ちょっと男子ー!先生困らせないでよねー」


「あっ、あの、その、竜と龍については、その、見た目が似ていますが、竜は原生生物、龍は魔生生物です…起源が、違うんです……ほっ、他の見た目が似ている生物達も、お、同じ理由です……あっ、あと、その……かっ、彼氏は…その……」



「………はい。います………」


 この瞬間、教室の中には、絶叫を上げる者、失神する者、信じられずにボケっとしてる者、闇堕ちしかけている者と多種多様な反応があり、当の本人は恥ずかしさのあまり完全に教卓の裏に隠れてしまい、開始早々授業は完全に停止した。





 《三限目》


「魔法学」


「起立、礼」

「お願いします」


「まず最初に幾つか言う事がある。第一に私は君たち生徒が嫌いだ。だからあまり質問はするな。第二にテストで赤点を取るな。補習をするのがめんどくさい。第三に御伽噺(おとぎばなし)のような呪文の詠唱などそんなもの無い。ただあるのは遺物と魔力が支配する魔法の世界だ。第四に魔法学はそれ以外の単位で補える。以上を聞いてまだこの学問を修めたいという変人は残れ。それ以外は立ち去ってもらって構わない。むしろ立ち去ってくれ」


 教室中にどよめきが走る。そして一人、また一人と出ていき、最終的に3人しか残らなかった。


「…残った奴、名前を述べよ」


「カナタ・ユーリアス」

「カリア・グロウバーデンよ。」

「フツウノ・モブデスヨです。よろしくお願いします」


「………魔力は空気中にある未知の何かである。まだ正体は分かってない。この魔力は基本干渉できない。そこに干渉できるのは遺物と呼ばれる物だ。吸収、改変、射出の三工程を踏んでその奇怪性を表す。遺物は基本、ディストリアで見つかり、珍しい物だと、《無限水筒》や《動く絵画》なんかがあるな。この遺物を自分の意志で操れる者を昔は魔法使いだとか魔法が使えるとか言ってたようだ。下らない。これでテスト範囲は終了だ。後は各自自習。以上」


 と、こんなにも雑に授業は終わった。だが、実際にテストはここしか出ない。つまり最も単位が取りやすい。

 こんなんでいいのか?

  その質問は禁止である。





 《昼食》


「~でさー、そん時のあいつの顔が面白くて~」

「なあなあ、この後の授業の持ち物って~」

「えーやっぱいいよー」


 学食は社交場ではない。これはこの学校の暗黙の了解である。今では形骸化しかけているが。


「おい、庶民。そこをどけ」


「分かった」


 ちなみにだがカナタが庶民である事は学校中に知れ渡っている。情報源はサイラスであるが。そのサイラスが近くにいない時はカナタはかなり除け者扱いである。皆、庶民がこの学校にいるのが嫌なのだ。皆、隠す気も無いが。


「…何で反論しないのよ」


「気にならないからね。カリア」


「………しょうがないから一緒にご飯食べてあげる」


「大丈夫だよ」


「いいから黙ってなさい」


 と、こんなことをしているとすぐに次の授業が始まる。





 《四限目》


「数学すんぞコラ」


「起立、礼」

「お願いします」


「はいお前らはぁ!ここまでぇ!大した努力もしなくても生きてこられたと思うがぁ!その生活はぁ!数学によって支えられてると言っても過言じゃねぇんだよ。んじゃ、その数学のぉ!基礎からぁ!叩き直してやるよぉ!まずは仮テストやんぞコラ」


 普段なら皆文句を言うが、生徒は皆、感じていた。


 (絶対に目付けられたくない!)


 だから皆必死になってありもしない数学の知識を活用し問題を解き進める。


「はい。止めぇ!回収ぅ!」


 教室に緊張が走る。空気が重さに耐えきれずに軋んでいる。


「…あのなぁ、問二!このグラフぅ!ここの点を通る接線を求めているんだからこの点とこの点とこの点が出るわけだこの点は出ねぇよぉ!!!元の点を通らない接線なんだからぁ…」


 まだ授業は始まったばかりである。





 《五限目》


「はい皆さん歴史の時間ですよ。ほら、挨拶」


「起立、礼」

「お願いします」


「はい皆さん。前回の内容覚えていますか?」


「先生…今回が初めてです。」


「おや、すみませんねぇ。老いぼれた爺には物覚えはきつくて。そうですか。なら、千年前。《災厄の光》から話しますか。」


「千年よりも前、そこには私たちには考えられない位の文明、人口、そして土地がありました。それこそ世界の全ては誰かの土地、と言われる程に。

 しかし、千年前。原因は今も分かっておりませんが、全てを無に帰す光が、世界を焼き尽くしました。これは《神子伝説》では神の怒りと言われてますね。

 これを私たちは《災厄の光》と呼ぶことにしたのです。野は焦げ、人は影となり、建物は溶けて混じりあった。しかし、全ての人間が死した訳ではありません。生き残った少数の人間は集まり、寄り添い、国を建てました。それが今の私たちの国、王国ミッドガルドです。

 そして失った土地を取り返す為に私たち、冒険者が命を賭けてディストリアへ行くのです。ここまではいいですね。ではこの国が出来てからの歴史に入ります。」


 生徒達は四限目からの落差で安心しきっており、教室には穏やかな空気が漂っていた。





 《放課後》


「ったくあいつはどこ行ったんだ?この第三王子を置いていくのか?六限目が無いから喫茶店にでも行こうという話では無かったのか?」


「御言葉ですが、カナタ様は校長に呼ばれていると言っておりました」


「それを早く言えよ」


「申し訳ございません」


「…あああっ!待ってるのも性に合わねぇ。捕まえるぞ」


 その時、サイラスの耳に野次が届いた。そちらを向けば人だかりが出来ていた。さらに詳しく見ればカナタと校長が模擬戦をしている最中だった。


 そこは、異次元だった。


 校長の死角からの完璧な奇襲を見えているかのように弾き、さらに追撃をしようとするも、校長は焦る事もなく半歩下がり、空振った隙に回し蹴りを叩き込む。カナタは回し蹴りを体勢を低くすることで回避し、そのまま足を払おうとするが、校長は蹴りをした足を地に付ける事をせずにもう一つの足を蹴り上げカナタの足払いを避けつつ反撃もするという、もはや舞いに近い戦闘がそこで行われていた。


 カナタに対し物理的な排他的行動(いじめ)が起きないのはこの戦力の差が大きいからだろう。


 そのまま遠巻きに見ているとカナタと目が合った。するとカナタは戦闘を止め校長と少し会話をした後にこちらに向かってきた。


「ごめんなさい。待った?」


「ああ。全くだ。王子を待たせる庶民がどこにいる。だが今日は気分が良い。許してやる」


「そうなるといつでも気分が良いことになるね。庶民が話しかけても処刑しようとしないから」


「馬鹿かお前は。友を処刑する者がおるか?」


 そんな他愛もない会話をしながらサイラスとカナタと執事の三人は街に向かうのであった。


  そんな彼らを見る目になど気付かぬままに。



 はい。設定を皆様に伝えたかっただけです。誰かの既存の設定や、あれ?これ○○のパクりやんとか思っても生暖かい目で見ててください。あと、いろんな人に謝りたい気分です。本当にすみません。


 さて、こっから物語本格的に動かしますか。


【追記】


 フツウノ・モブデスヨ君を消すの忘れてた……

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