表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/8

文章のこと



 キャベツのお味噌汁が好きです。特に、油揚げのはいっているものが。


 初めて食べた正確な日付は覚えていませんが、場所は覚えています。入院先でした。

 病院食といえばまずいのがお馴染みですが、そこのご飯はとてもおいしく、特にお味噌汁の味が家のものと似ていて、最初の食事でほっとした記憶があります。ただ、家ではキャベツのお味噌汁も、油揚げのはいったお味噌汁も、食べたことがなかったので、初めて見た時は驚きました。

 食べるものに制限はありましたが、さばの塩焼きが結構な頻度で出てきて、さば好きなので喜んでいました。


 入院して、日記を毎日につけるようになりました。

 入院前から日記はつけていたのですが、一週間くらい間隔があくことはざらで、真面目につけてはいませんでした。

 でも、入院先には本の持ち込み制限や、ゲーム類禁止(カードゲームなども厳禁)という決まりがあったので、日課をこなすとひまなのです。家とはかなり違う環境なので、なにもしないでいると気が滅入るし、かといって家が遠いので頻繁に本を届けてもらう訳にもいかない。なので、文章を書くか、絵を描くか、患者同士遊ぶかの三択でした。

 最初は遊んでいたのですが、子どもたちがうるさいと苦情がはいったので、日記と絵、に落ち着いたのです。


 日記といっても短く、二・三行か、下手すると一言だけです。本棟まで行って検査をした、とか、同室に新しい子がはいった、とか。

 そのうち、当時はまっていたTRPGのキャラシートをつくるようになりました。そこから、このキャラがこうなったら面白いな、こういう事件にまきこまれたどうなるだろう、こんなひとと恋愛をしたら……と考えるようになり、ノートにこっそり文章をつづっていました。といっても、まんがやゲームの登場人物、それと現実の知り合いや友達をもとにしたキャラだったので、ぎりぎり二次創作の範疇、だと思います。

 ストーリーは、しりすぼみになって、うやむやで完結させました。退院が決まったからです。昔から遅筆です。


 日記は今でもつけています。あの時の日記帳もさがせばあるでしょう。読み返せば、キャベツのお味噌汁を初めて食べた日がはっきりするかもしれません。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 自分が働いている会社のお昼のまかないにキャベツの入ったお味噌汁がよく出ます。 冬になると刻んだ生姜も入れてくれるので、食べ終わった後の体のぽかぽかをうっとりと感じながら午後の仕事に入ります…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ