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Cafe Shelly

Cafe Shelly さようなら、こんにちは

作者: 日向ひなた

 八月の初め。オレは早期休暇をとって、今この海の町にいる。この町に何があるわけでもない。特に有名な観光名所もなく、ただのんびりとできるというだけの場所。そんなに田舎ってわけでもなく、もちろん都会でもない。今回はこの町に五日間ほど居座ることにした。

 そもそもこの町に来ようと思ったのは、以前テレビの取材でちらっと見たから。確かあのときは芸能人が港であがった魚介類を食べ歩いていたな。オレは別にそれが目的で来たわけではない。この町にあるペンション、ここに惹かれたからだ。何に惹かれたか。それは若い女性が来るということだけ。そこで一夜のアバンチュールが楽しめれば、なんていう不純な動機だ。

 まぁ男だったらそういうの、憧れるはずだ。ましてやオレは決まった恋人もいない、独身男性。仕事はプログラマーをやっているが、そんじょそこらの腐ったSEとはわけが違う。今の会社は小さいながらも業績を伸ばしている。それも、オレが開発したスマートフォン用のアプリの売上が高調なおかげだ。おかげさまで給料もそれなりにもらっている。自分で言うのもなんだが、そこそこイケる顔とスタイルだと思っている。だから今は独身を謳歌している身分だ。

 今回はこのペンションに来た女性に目をつけて、一夏の恋を楽しもうというわけだ。

「雫石優矢さま、四泊のご利用ですね」

「はい、今回はここでゆっくりと過ごさせてもらいますね」

「のんびりした町ですから。ゆっくりと羽根を伸ばしてくださいね」

 そう言われ、部屋に通してもらう。部屋はもともとツインのつくりだが、オレは一人でこの部屋を使う。四泊のうちどこかでこの部屋に女性を連れ込むことを期待して。

 まだ到着の時間が早かったせいか、客はオレ一人か。とりあえず付近の探索にでも出るかな。これは何も観光をしているわけではない。夜飲みに誘える店はあるのか、エッチできる場所はあるのか。下心満載での下調べだ。

 残念なことに、オレが思っているような雰囲気のいい飲み屋もなければラブホもない。だがペンションからすぐのところにちょうどいい感じの海水浴場がある。女性客はここで遊ぶことを目当てに来るみたいだ。今もそれなりの人数で賑わっている。

 ちょうどいい感じ、というのはちょっと脇に行くと身を隠せる岩場がある。夜にここに連れ込めば、それなりのお楽しみが期待できるかも。なんて作戦をたてつつ、一度ペンションに戻る。あとは女性客に期待だな。

 ペンションに戻ると、ちょうど三人組の女性客がチェックインをしているところに出くわした。うん、三人とも合格点だな。特に真ん中の髪の長いミニスカートの女の子はオレ好みだ。

「こんにちは」

 先手必勝、こちらから軽く声をかけてみた。

「あ、はい、こんにちは」

 突然声をかけられ慌てる女の子たち。ちょっと警戒している感じもするが。

「こちらには遊びに来たんですか?」

 そんなの当たり前だろう。どう見たって仕事の格好じゃないし。

「はい、海水浴に」

「目の前の砂浜、きれいですからね。私もこれからちょっと泳ぎに行こうかと思っているんですよ」

 終始笑顔で話しかける。そしてダメ押しの一言。

「じゃぁ、また後で」

 そう言って一度部屋に戻る。実はこの「また後で」という言葉が大事。この場限りで終わらないよ、と印象付けるのだ。彼女たちの行き先はわかっているのだから慌てる必要はない。部屋で少しのんびりしてから海に出かけるか。

 耳を澄ますと、彼女たちが準備をして出かけていったのがわかる。窓から見下ろすと、水着姿の三人が海に向かっているのが確認できた。よし、行動開始。オレも水着に着替えて海へ向かう。目的はただひとつ、彼女たちに接近することだ。

 今回オレは一つの小道具を準備した。それがデジイチ、デジタルカメラの一眼レフのもの。趣味で写真を撮影しに来ている青年、というシチュエーションだ。まぁ本格的ではないが、たまに写真は撮影している。

 興味本位で勝ったこのカメラ、ナンパに役立つことを悟ったのはちょっと前。女性って、ちゃんとしたカメラマンに撮影してもらいたいという気持を持っている。そこをうまく突くと、意外にもこちらになびいてくれる。さて、今回はうまくいくかな。

 早速オレはカメラを下げて砂浜へと足を運んだ。お目当ての三人組はすぐに見つかった。ここではあえて声をかけず、ひたすら撮影するカメラマンを印象づける。オレは気になる景色をひたすら撮影し続けた。そして少しずつ三人組に近づく。向こうがちょっとこちらを意識したのを察して、声をかけてみる。

「あ、さっきの。こんにちは」

「こんにちは。カメラマンの方なんですか?」

「まぁ、趣味でやっている程度ですけど。よかったら記念に写しましょうか?」

 ここでノーを言う人はほとんどいない。案の定、じゃぁよろしくと言ってくれる。最初は三人で並んでピースしている写真。ここで少し注文をつけてみる。

「もっと笑ってみようか」

 この言葉を皮切りに、オレは少しずつ彼女たちに注文をつけてみる。もっとはじけてみよう、水と戯れてみようか、ビーチボールで遊んで。そう注文するたびに笑顔が飛び出す彼女たち。そしてオレにも徐々に打ち解けてくる。そしていよいよダメ押しの一言。

「今夜よかったら部屋に来ませんか? 撮った写真をお見せしますよ」

「ぜひぜひ、いきまーす」

 明るいノリの彼女たち。すでにおれの術中にはまっている。オレは撮影した写真データを持ってきたノートパソコンで見れるように準備するだけ。

 その日の夜、ペンションでの食事も彼女たちの時間にあわせる。どこからきたの、どんな仕事してるの、三人はどういう関係? そういった基本データを聞き出す。住んでいるところはおれのところとそんなに遠くない。三人は学生時代の友達とか。そして食事後に早速部屋へ誘う。

「わー、すごく綺麗に撮れてる」

「ね、こっちなんかすごくいい」

 口々にいい感想を漏らしてくれる。

「よかったらどう?」

 オレは買っておいたビールを差し出す。さらにビールだけでなく、カクテル系の飲み物も。喜んで手を出す三人。ここまでくれば後は楽勝。完全にオレに打ち解けてくれた。あとは誰から攻めるか、だな。

 おれは最初に気に入った女の子、ますみにターゲットを絞った。まずはみんなのメアドをゲット。そして一度トイレに行くふりをする。そのとき、ますみにメールを送る。

『二人で話がしたいあとで砂浜で待ってます』

 トイレから戻ってくると、ますみのオレを見る目が少し変化していることに気づいた。成功だな。そのあとは程なく解散。そしてオレは夜の砂浜へ。

 いい感じで星と月が出ている。十五分ほど待つとますみが登場。あとは簡単だった。少し散歩して岩場に連れ込み突然キス。そして…一人いただき。

 しかしこれで終わりではない。部屋に戻ると次の女の子、ちーこと呼ばれている千恵子ちゃんにメール。明日の朝、二人で散歩しないかという内容。待ち合わせはまたも砂浜。

 翌朝六時、オレは砂浜でちーこを待った。するとちーこは一人で登場。ショートパンツ姿がとてもかわいらしい。またも岩場に連れ込む。今度は腰を下ろして会話をして、肩に手を回す。するとちーこの方から目をつぶる。これで二人目いただき。朝から元気なオレ。

 ここで聞いたのだが、今日は三人でまち歩きをするそうだ。ここでもまた作戦を立てた。おれも偶然を装い、三人にバタリと町中で会う、というもの。女性というのは運命の出会い、なんてのに弱い。小さい港町だから、ちょっとウロウロすれば間違い無く彼女たちと出会える。

 オレが見当をつけたのは神社。ここの神社はそんなに大きくないが、ずらりと並ぶ鳥居と大きな杉の木がちょっとした観光名所となっている。案の定、三人組がほどなく登場。

「あれっ、優矢さんも来てたんだ」

「うん、今日は町の写真を撮りにね。にしてもオレたち、気が合うね」

 このあと、一緒にお昼を食べに行く事になった。そのときに今度は手紙作戦。三人目のヒトミちゃんにそっと手渡す。

『今夜二人で逢いたい』

 それだけでいい。昼食後、あえてオレは三人組と別れる。その後、しばらくしてからヒトミちゃんからメール。

『何時にどこに行けばいいの?」

 はい、三人目ゲット。そしてオレは夜の時間を楽しむことに成功した。

 そうして彼女たちとはこれでおしまい。オレが楽しみたいのは一夏の、いや一夜限りの恋なんだから。これで彼女たちともおさらば、さようなら、だ。

 その後ペンションに来るお客さんは家族連れかカップルばかり。残念ながらオレがターゲットとできるような女性は残りの期間にはこなかった。まぁいいか。三人もいただければ大成功だな。

 こうしてオレの夏休みは終わり。旅行から帰ってきて、一日休みを入れて次の日から出勤だ。その休みの日は日曜日。朝からメールが入ってきた。誰だ…えっ、このアドはヒトミちゃん? 先日、夏のペンションでおいしい一夜を過ごしたあのヒトミちゃんだ。

『今日、優矢さんの住む街に遊びに来ていますよかったらランチでもいかがですか?』

 うぅん、正直悩んでしまった。本来ならばおいしいメール。なのだが、自分のポリシーに反する。

 一夜限りの恋はそこで終わりにしたい。ズルズル引きずるようなことをすると、次のターゲットを狙えないから。オレが今楽しみたいのは、たくさんの女性とエッチすること。一人に縛られたくない。それがオレの恋愛ポリシーだから。

 とはいえ、無理に断る理由も見つからない。まぁここはランチくらいならいいか。だがこの考えが甘かった。

 この日、ヒトミちゃんと駅前で会う約束をしてランチに出かけた。ヒトミちゃん、腕を組んだり手をつないだりしてやたらとオレにくっついてくる。話す言葉も急に馴れ馴れしくなってきたし。夕方になって別れようと思ったのに「まだ帰りたくないの」のおねだり。これが何を意味しているのかは、男ならわかる。

 据え膳食わぬは男がすたる。結局この日、ヒトミちゃんをいただくことに。ベッドの上でコトを済ますと、ヒトミちゃんこんなことを言ってきた。

「ねぇ、私とますみとちーこ、誰がイチバン好きなの?」

「えっ!?」

「隠してもダメよ。他の二人にも手を出したの、知っているんだから。でも、今は私がイチバンよね」

 そういってにっこり笑うヒトミちゃん。このときにゾッとした。知っててオレに会いに来ているってことは、他の二人より自分が一歩リードしているんだぞということを意思表示したいがための行動なのか。

 申し訳ないが、オレは特定の恋人を作ろうとは思っていない。が、そんなことを言い出したら恐ろしいことになりそうな気がして。さらにオレの悪い癖。

「今はヒトミがイチバンだよ」

 そう言って抱きしめてしまった。

「うれしいっ。優矢さんは私だけのものね」

 しまった、大いなる勘違いをさせてしまったようだ。オレはあくまでも「今は」ということを強調したかったのだが。

「また会えるかな?」

 別れ際にヒトミちゃんが言った言葉。それにはオレは無言の笑顔で応えるだけだった。

「じゃぁ、またね。バイバイ」

「うん、さようなら」

 永遠に。心の中でそうつぶやいた。

 ヒトミちゃんと分かれた直後、オレは携帯のメアドを変更。オレのメアドはあくまでもナンパ用だから、こういったことが起きればすぐに変更している。三人の彼女たちには電話番号は教えていないし。これで一安心。さて、次の恋でも探しに行くか。

 しかし事態はこれで終わらなかった。

「優矢さん」

 お盆中の会社帰り、突然声をかけられた。驚いて振り向くと、そこにはちーこちゃんが。

「えっ、ちーこちゃん…どうしてここに?」

「この前、ヒトミと会ったでしょ。知ってるんだから」

 知ってるって、そんなのヒトミちゃんが言わない限りはバレないはずなのに。それに、オレの会社の場所がどうしてわかったんだ? オレはまずそのことを尋ねてみた。

「優矢さん、ソフト開発会社に勤めてるって言ってたでしょ。だからいろいろ調べたの。優矢さん、有名なアプリを開発したんですってね。すごいなぁ」

 ちーこちゃん、勝手にオレをあこがれの目で見ている。ヤバイ、これはストーカー行為に発展しかねない。ここは甘い顔はできないぞ。ビシッと言っておかないと。

「ちーこちゃん、悪いけどオレは君とつきあうつもりはないからね」

「ヒトミかますみとならつきあうの?」

「そのつもりもないよ」

「今は他に彼女いるの?」

「いないし、つくるつもりもない。だから…」

「やった、じゃぁ私は優矢さんの彼女になれるチャンスがあるんだ」

 やばい、ちーこちゃん完全に舞い上がってる。オレのどこにそんな魅力があるのか。まぁ女性からモテるのはうれしいことではあるのだが。しかし、会社が知れてしまったのはヤバイな。かといって会社を変えるわけにはいかないし。さて、どうする?

 今日の場はちーこちゃんを何とかごまかして帰ってもらったが。まさか、こんな悩みに陥るとは。

 この日、フラフラと考えながら街を歩いていると、うっかり一人の女性にぶつかってしまった。

「あ、ごめんなさい」

「いえ、こちらこそごめんなさい」

 髪の長い、綺麗な女性。オレ好みだ。ここですぐにオレの悪い癖が。

「大丈夫でしたか? 今、ちょっと考え事をしていたもので。本当にすいませんでした」

「いえ、大したことはありませんよ。ご丁寧にありがとうございます」

 この対応の仕方も、なんだか大人の女性って感じで好感度アップ。よし、決めた。

「あの、いきなりですがこれからお茶する時間とかありますか?」

「あ、ひょっとしてナンパされてるのかな?」

 そう言いながらお茶目に笑う顔もステキだ。

「まぁ、そういうことになりますね。でも、だれでもいいってわけじゃありませんよ。あなたがステキだったから、つい」

「うふふ、ありがとう。そうねぇ、お店が指定できるのならいいかな」

 おっ、意外にも積極的だな。

「もちろん、それでいいですよ」

「じゃぁ、行きましょう」

 そう言って髪の長い彼女が先導して歩いて行く。彼女の名前はマイさん。笑顔がステキな女性だけれど、どこかミステリアスなところもある。お店に行く途中は、マイさんの方からの質問が多く、オレのことをしゃべることになった。

「ここの二階なの」

 そう言ってマイさんは階段を軽やかに昇っていく。

カラン、コロン、カラン

 心地良いカウベルの音とともに、コーヒーとクッキーの甘い香りがオレを包み込んだ。

「いらっしゃいませ」

 カウンターから渋い男性の声が聞こえる。

「へぇ、なかなかいい喫茶店だね」

「でしょ。カウンターに座ってて。さてと…」

 そう言うと、マイさんはなぜかカウンターの方へ。どういうことだ? よくわからないままカウンターに座ると、今度はマイさんがエプロン姿でお水を持ってきた。

「ようこそ、カフェ・シェリーへ」

「えぇっ、マイさんってここの人だったの? やられたなぁ」

「うふふ、ごめんなさいね。ついでに言うと、こちらがマイダーリン」

 マイさんはそう言ってマスターを紹介した。

「マイダーリンって、マイさん結婚してるの?」

「うん。優矢さんっていろんな女性をナンパしてるでしょ?」

「えっ、まぁ」

「それで女の子を泣かしたことあるんじゃないの? というか、さっき泣かしてたでしょ」

「さっきって、えっ、マイさんオレのこと見てたの?」

「うふふ、やっぱりそうだ。カマかけたらすぐに乗ってきちゃうんだから」

 オレは呆然としていた。今まで女の子を手玉に取ってきたことはあったが、逆に手玉に取られた気分だ。オレもかなり女性に対しての心理学を学んできたほうだが。最初からマイさんのほうがオレより一枚上手だ。

「こらこら、マイ、そのくらいにしておきなさい。ごめんなさいね、ちょっとマイの悪ふざけが過ぎてしまって。けれど、優矢さんでしたっけ、あまり女の子を泣かせちゃいけませんよ」

「あ、マスターだってナンパして女の子と遊びたいって潜在的には思っているくせに」

「あはは、まぁ男だったら誰でもそういうのは憧れるでしょう。それを実行できるほど度胸がないだけですけどね。そう考えたら、私は優矢さんを憧れるなぁ」

 同性から憧れる、なんて言われたの初めてだ。それにしても、マイさんから騙されたって気はしない。むしろ清々しい気持にすらなれる。不思議な存在だ。

「優矢さん、よかったらウチのオリジナルブレンドコーヒーをお飲みになりませんか?イチバンのお勧めなんですよ」

 マスターはにこやかにそう勧めてくる。

「じゃぁ、それでお願いします」

「飲んだら感想を聞かせてね。あ、おまけにマイの特製クッキーもつけちゃうね」

 てきぱきと仕事をはじめる二人。マスターとマイさん、年齢差がかなりあるように見えるが、こうやって見るとお似合いの夫婦だ。

 夫婦、か。オレもいずれは身を固めないとな。かといって、いままで付き合ってきた女性と、とは思わない。彼女らはあくまでも一夜限りの恋人。そもそも女性に心から「愛してる」という感情を持ったことがない。言葉だけで「愛してる」は何度も囁いたが。心からそう感じたことはない。そんなオレが結婚なんてできるんだろうか? コーヒーが出てくるまでの間、そんなことが頭の中でグルグルと渦巻いていた。

「お待たせしました。当店のオリジナル、シェリー・ブレンドです。一緒に出した黒と白のクッキーもあわせてお召し上がりください」

 オレは早速コーヒーを口に運んだ。うん、いい香りだ。なんだか鼻の奥を刺激して、オレの中にあるものを呼び覚ましてくれる感じがする。

 そしてコーヒーを口に運ぶ。あぁ、なんだか清々しい気持ちになれるな。この感覚、大昔に味わった気がする。なんだろう、これ?

 続けて黒いクッキーを口に運ぶ。香ばしいゴマの香りがする。甘みはあまりないが、このコーヒーとうまく味がマッチしている。なかなかおいしいな。

 それと同時に、さっきの感覚がさらに鮮明に蘇ってくる。思い出した、初恋の感覚だ。最初に恋をした、あの感覚。あのとき、初めて人を好きになるということを覚えた。同じクラスの真美ちゃんに夢中になった。小学校五年生の時だったかな。その気持をまた味わいたい。

 この感覚に浸りながら、もう一枚の白いクッキーを口にした。さっきのとは違って、フワフワとした口どけのいいクッキーだ。今度のはとても甘くて、コーヒーと一緒に口に入れるといい具合にミックスされる。このとき、ひとつの映像が頭に浮かんだ。

「あなたのことを心から愛することを誓います」

 そう言ってオレは真っ白なウエディングドレスに身をまとった女性に宣言し、そして近いのキスをしている。

「結婚、か…それも悪くないな」

 オレの思いがおもわず言葉になって出てきてしまったようだ。

「何か感じたようですね」

 マスターの言葉で我に返った。今まで、夢を見ていたような感覚だ。

「あ、いや、ちょっと考え事を…」

 オレはあわてて言い訳をした。

「あわてなくて大丈夫です。実はこのシェリー・ブレンドには魔法がかかっていまして」

「魔法?」

「はい。コーヒーは飲む人に合わせた効果をもたらします。一般的にはコーヒーを飲むと眠れなくなるといわれていますが。寝たい人がコーヒーを飲めば睡眠効果もでてきます。その人が望む効果をもたらす薬膳の役割があるんです」

「あ、それは前に何かで読んだことがありますよ」

「シェリー・ブレンドはその効果がさらに強く心に出てきます。飲んだ人が望む味がするんです。そして、人によっては望む光景が頭に浮かんできます」

 まさか、と思ったがおれは確かにさっき夢の様な光景を見た。

「さらに、黒ゴマのクッキーを一緒に食べると、その人の望む未来の姿を見せてくれます。そして白いミルククッキーを一緒に食べると、その未来を得るための方法を教えてくれる作用があるんです」

 望む未来の姿とその方法…さっきのがそうなのか?

 オレが望む未来。それは初恋のような感覚の恋をすること。いや、初恋のようなというのは正確ではない。ちゃんとした恋、といった方がいいのか。本気で一人の人を愛することができる、本物の恋。これでオレの心を満たすこと。これがオレの望む未来。そして、その方法は…結婚、か。けれど、こんなオレに結婚なんてことできるのだろうか?

「マスター、恋することのゴールって、やっぱ結婚なんですかね?」

 どうしてこんな言葉がでてきたのか、オレにはわからない。わからないけれど、オレが今望んでいる答えであることは間違いない。すると、その問いに舞衣さんが答えてくれた。

「結婚はゴールじゃないよ。むしろスタートかな。新しい関係をつくっていく。そして新しい価値の幸せをつくっていく。恋人時代とは違う、新しい何かがスタートする。それが結婚だと思うのよね」

 新しい価値の幸せ。オレはその言葉にすごく惹かれてしまった。今のオレの生活を続けていくつもりはない。むしろ、どこかでそろそろ腰を落ち着けたい。

 でも、今のオレには無理だな。どうしてもたくさんの女性を求めてしまう。オレは思い切って正直に、今のオレの姿をマスターとマイさんに告白した。

「なるほど、優矢さんがいろんな愛を求めているというのはさっきも聞いたけど。今の話を聞いていて一つ感じたことがあるんだけど、いいかな?」

 マスターはオレの話を軽蔑もせずに、むしろきちんと受け取ってくれた上でそう言い出した。オレはこくりと首を縦に振った。

「優矢さんは不安なんだなって、そう感じましたよ」

「不安?」

 マスターの言葉、意味がよくわからなかった。だがマイさんも続けてオレにこう言ってきた。

「優矢さんは今は体の欲求を満たすだけに主眼を置いていたでしょ。けれどそれが満たされることはない。確かに性的欲求は人間の本能だから、永遠に続くものだけど。だからこそ優矢さんは不安だったんだなって感じたわ。いつまでこんなことを続けるんだろうって」

 マイさんに言われて理解できた。確かに、オレは体の欲求を満たしながらも心まで満たされることはなかった。一時的な満足感、征服感はある。が、それは一瞬のこと。一つことが終わると、また次を求めたくなる。いつまでこんなことを続けるのだろう。

 これがオレの愛なのか? だからこそ、求めていた姿は初恋で感じたあの満足感の高い恋愛。それを手に入れるための方法は…結婚、か。

 でも不安はある。せっかく一人の女性を愛せたとしても、また別の女性を求めに行くのではないだろうか。今までやってきたことを、また繰り返してしまわないだろうか。そうすると、オレは結婚相手を泣かせることになる。その不安はとても深くオレの心に突き刺さっている。そのことも思い切って二人に話してみた。

「そうね、多分そうなるでしょうね。男ってそんなもんだから」

 マイさんはあっさりとオレに言い放つ。マスターの顔を見ると苦笑い。あちゃ、ひょっとしてそういう経験があったのかな? けれどマイさんはまた落ち着いてこう言う。

「優矢さんが本当に求めているもの。それは何なのか。そこに気づけば、行動も変わってくるでしょうけどね」

「本当に求めているもの?」

 そう言われてまた悩んでしまった。オレが本当に求めているものってなんなんだろうか?

「もう一度、シェリー・ブレンドに聞いてみるといいよ」

 マスターがそう言う。オレはその言葉に従い、もう一度シェリー・ブレンドに口をつけてみた。さっきは初恋の味がしたが、今度はどうなのだろうか?

 口にした時、最初は普通のコーヒーの味がした。苦くて刺激のある味。さっきと違い、あきらかにコーヒーという味が感じられた。

 しかし、さっきと違って何か映像が浮かぶということはなかった。おかしい、そう思ってもう一度シェリー・ブレンドを口にする。今度はさらに強い刺激が口の中を襲った。だがこの刺激は味わい慣れたもの。安心した味なのだが、それが強い刺激に感じる。

 どういうことだ? オレは考えを巡らせてみた。

 今までは毎回違う女性で違う味わいを求めていた。けれどその刺激は一瞬のもの。今度は毎回同じ味わいだが刺激は今までとは違っていっそう強くなっている。これは、一人の女性をとことん愛してあげる事で生まれる味わいなのか。それがオレにとっては強い刺激となり、活力を見いだせるものなのか。オレが求めているもの、それは一人の女性を徹底的に、とことん愛してあげる事なのか。

 そんなこと、オレにできるのか? いや、できるか、ではなくやるのだ。

 そしてもう一度オレはシェリー・ブレンドに口をつける。すると味わいが一変し、今度は甘ささえ感じるほどマイルドになった。そうか、その結果味わえる味がこれか。刺激のあとに来る甘さ。これがオレの気持ちをさらに高揚させ、そして次の興奮へと誘う。新しい形の愛し方、だな。

「見えた気がしました」

 口から先に言葉が飛び出した。

「ほう、どんなものが見えたのかな? よかったら教えてもらえますか」

 マスターの言葉に、私は今自分が感じたことをそのまま言葉にしてみた。するとマスターは笑いながらこう言ってくれた。

「私も同じ思いをしたことがありますよ」

「えっ、マスターも?」

「はい、といっても私は優矢さんのようにナンパをしていたわけじゃありませんが。実は私は離婚歴がありまして。その直後は気持の上では優矢さんと同じく、いろいろな人を求めていた気がします。しかしなかなか形にまでは至らなかった。けれどマイと出会い、マイとつきあい始めてから考え方が変わっていったんです」

「どんなふうにですか?」

「安定した、安心した刺激。そしてそこからくる甘い味わい。今もそれを感じていますよ」

 なるほど、このカフェ・シェリーにはオレが目指している姿が形になったものがあるのか。

 あらためてお店を眺めてみる。白と茶色でまとめられたシンプルな内装。しかしそれが逆にこのお店の落ち着き感を出してくれる。さりげなく掲げてある絵やインテリアはちょっとしたアクセントになっている。さらには甘いクッキーの香り。これがコーヒーの香りとうまくミックスして、リラックス感を出している。

 こんな落ち着く空間の中にも、マスターやマイさんといったオレを刺激してくれる人たちがいる。この安心と刺激、この両方を備えた女性がオレの前に現れるのだろうか?

「マスター、オレが望むような女性って本当にいるんでしょうか?」

「いると思えばいるし、いないと思えばいないかな。人はね、自分が望むものはなんでも手に入れられるんだよ」

「望むものはなんでも?」

「優矢さんも今までそうして手に入れてきたんでしょ。たくさんの女性を」

 マイさんがちょっと皮肉っぽくそう言う。確かに言われればその通りだ。オレは一夜限りの恋を望んで、それをたくさん手に入れてきた。じゃぁ、今度は安心と刺激を与えてくれる女性を望めばいいってことなのか。そのことをあらためて口にしてみる。

「うん、その通りだよ。まずは望むこと。人は自分が思った以上のものを手にすることはできないからね。まずは思うことが大事だよ」

 マスターは微笑みながらそう言う。まずは思うこと、か。

「おっと、そろそろ閉店時間だ」

カラン、コロン、カラン

 マスターがそう言ったちょうどそのとき、お店のドアのカウベルが激しく鳴り響いた。

「マスター、ギリギリだけどごめん。クッキーもらえるかな?」

 飛び込んできたのは若い女性。ショートカットで活発そうな感じ。自転車に乗っているみたいで、ヘルメットをかついでいる。格好もタンクトップにショートパンツ。

 顔はそれほど可愛いわけではない。正直に言えば、今までなら相手にしないタイプ。オレはいつも直感で、オレの言いなりになりそうな感じの女性を選んできた。これがナンパで最後まで行き着くコツでもあるから。だがこういうタイプはちょっと勝気で、オレのいうことにはなびいてくれなさそう。だから対象外なのだが…

「こんにちは。今日も暑かったね。ここのコーヒー、美味しいでしょ」

 サバサバとした感じでオレに話しかけてくる。

 今までオレから話しかけたことはあっても、女性の方から話しかけてくることなんかなかった。

「美優ちゃん、いつものでいいんだよね。あ、優矢さん紹介しておきますね。こちら美優ちゃんといって、介護施設で働いているんだよ。ときどきそこのおやつに、ウチのクッキーを使ってくれているんだ」

「優矢さんっていうんだ。どんな字書くの?」

「えっ、優しいに弓矢の矢だよ」

「あ、私と同じ字だ。私は美しいに優しい。でもイマイチ美しくなかったなぁ」

 笑いながらそう言う美優さん。オレはちょっと実験してみたくなった。

「美優さん、今日はこれで終わりですか? よかったら食事でも一緒にいかがですか?」

「えっ、私と? あはは、ひょっとしてそれナンパ? わぁ、そんな風に声をかけられたの初めてだ。マスター、記念写真撮らなくていいかな」

 笑いながらそういう美優さん。おっ、こりゃ返事は期待できそうだぞ。

「でもごめんね。うち、母親が家で待ってるんだよね。親一人子一人の家庭だから。それじゃ、マスター、マイさん、ありがとう優矢さん、さよならっ」

 そう言ってオレの言葉も待たずに去っていった美優さん。最後の「さよなら」という言葉がやけにオレの心に響いた。オレからさよならを言っても、女性から言われたことは今までなかった。この言葉がこんなにもズッシリとくるものだったとは。

「優矢さん、ふられちゃったね」

 マイさんがボソリとそう言う。

 今までナンパで振られたことはいくらでもある。が、そのときはまた次を探すだけだから落ち込むなんてことはない。けれど今は違う。

「マスター、美優さんの最後のさよならって、どういう意味なのかな?」

「どういう意味って?」

「もうあなたとは会うことはないでしょう。だからさよなら、なのかな?」

「優矢さんはどう思う?」

「それがわからないから聞いているんですよ。さようならって言葉、こんなにキツイ言葉だとは今まで思わなかったから。オレ、なんか今つらいです。もう美優さんに会えないかもしれないって、そんな風に感じちゃって」

 あらためて今までの女に言ってきた、この「さようなら」という言葉の重みを感じた。オレはなんて残酷なことをやってきたんだろう。何気なく言った言葉がこんなにも相手の心に大きな影響を与えるとは。

「また美優さんに会いたくなった?」

 マイさんの言葉に、オレは素直に首を縦に振った。

「だったら簡単だよ。でもその方法は今は教えない」

「マイさん、意地悪だなぁ。教えて下さいよ」

「それは優矢さんが自分で見つけなきゃ。でもヒントだけは教えてあげる。人と別れる言葉がさようなら、だとしたら逆をすればいいのよ」

「逆?」

 別れるの逆といえば会う、だよな。でも、会ってくれなければ意味が無い。あ、こちらから会いに行けばいいんだ。

 このとき気づいた。海でナンパしたヒトミちゃんやちーこちゃんがやったこと。オレにわざわざ会いに来たじゃないか。けれど最終的にはオレはそれを拒否した。だって、オレにその気はないし。

 ひょっとしたら美優さんもオレに対して、オレがやってきたのと同じようなことをするかもしれない。そう考えたら体が動かなくなりそうだ。なのに彼女たちはオレのところにやってきた。怖くなかったのだろうか? いや、ひょっとしたら既成事実をつくったあとだから、そんなつもりは全くなかったのかもしれない。むしろ、友だちの間で早くオレをゲットした方が勝ち、というゲーム感覚だったのかもしれない。さようならを言われることなんか考えていなかったのだろう。

 だったらオレはどう行動すればいい? 彼女たちのように、思い切って美優さんに会いに行くのがいいのか?黙っていても何も始まらないし。

「マイさん、決めました。オレ、美優さんに会いに行きます。美優さんの務めている職場、教えてもらえますか?」

「うぅん、残念ながら個人情報だから教えるわけにはいかないなぁ」

 そっか、確かにそういう情報を簡単に外に漏らすわけにはいかないよな。じゃぁどうすれば…

「行くのが無理なら待つしかないかな」

 マスターがボソリとそう言う。そうか、美優さんはときどきこの店でクッキーを買うんだったな。じゃぁこの時間帯にこの店で待てば、必ずやってくるのか。よし、決めた。

「マスター、美優さんはどのくらいの感覚で店に来るの?」

「うぅん、特には決まっていないけど、一週間に一、二度はクッキーを買いに来るかなぁ。余裕があればコーヒーを飲んでいくけどね」

「じゃぁ、オレ、明日から毎日ここに通います。美優さんに会うために」

「そうか、私も応援するよ」

 そう言って微笑むマスター。こうしてカフェ・シェリーとの初めての出逢いが終わった。

 あらためて考えた。オレは美優さんの前に立つだけの資格のある男なのだろうか。過去にいろいろな女性と関係は持った。けれど今にひきずっている関係はない。いや、あの三人が気になる。ひょっとしたらまたオレの前に現れるかもしれない。ここは曖昧な態度を取らずにきちんとお断りしないと。はっきりとした「さようなら」を伝えるべきだな。相手にとっては酷かもしれないけれど、これ以上ズルズルと続けるほうがさらに酷である。

 翌日、三人の一人のますみちゃんがオレの前に現れた。どうやらちーこちゃんにオレの会社を聞いたらしい。オレは心を決めてこう伝えた。

「申し訳ないけれど、三人の誰ともつきあうつもりはないよ」

「私たちのことは遊びだったの?」

「あぁ、君たちもわかっているんだろう?」

「ひどいっ、私は本気だったのに…」

 そうやって涙を浮かべるますみちゃん。こういうのには弱いんだよなぁ。けれど、ここで情に流されてしまってはいけない。

「君たちとは一日限りの関係でいたいんだ。もうこれで終わりにしてくれないか」

 自分の思いをズバリと言ってみた。するとますみちゃん、さっきまで泣いていたいのにいきなり顔を上げてこう言い出した。

「なぁんだ、つまんない。私達三人で、誰が最初に優矢さんを誘惑できるか競っていたのに。もうゲームオーバーか」

 これにはちょっとびっくり。オレが恋愛をゲーム感覚で楽しんでいたのと同じように、この三人も恋愛をゲームとして楽しんでいたのか。

 でもよく考えたら、これは本当の恋愛ではない。たんなる恋愛ごっこ。つきあうことがゴールでありスタートではない。本当の恋愛のスタートは結婚してから始まることをマイさんから教わった。

 こうして三人娘との関係は終了。これで本当のさよならが言える。じゃぁ次は。

 オレの気持は美優さんに向いている。今までとは違う、新しい気持ちになって美優さんにアタックしてみる。でも、オレは美優さんの何に惹かれたのだろう? 実際に会った時間はわずか五分程度なのに。

 この日、カフェ・シェリーで自分がなぜ美優さんに惹かれたのかを知りたくてシェリー・ブレンドの力を借りることにした。飲んだ時の味はこれ。

「今まで体験したことのない味。けれどどこか落ち着く」

 そうか、オレは落ち着きを求めていたんだ。美優さんならそれができる。直感でそう感じたから、こんなにも惹かれてしまったのか。

「マスター、ありがとうございます。モヤモヤしていたところがはっきりしましたよ」

「それはよかった。ところで優矢さんは美優さんに会ったらどんなことを話すのかな?」

 マスターはカップを磨きながらオレにそう質問してきた。そうだよな、いきなり付き合ってくださいなんてことは言えないし。今までのナンパとはちょっと違うしな。

 あれ、どうすればいいんだ? 考え出したら頭がパニックになってきた。

 女性へのサービストークは得意なはずだったのに。ほとんど無意識に言葉が飛び出していたのに。いざ考えると、何を話せばいいのかがわからない。

「どうしたらいいんだ?」

 悩むオレに、マイさんがこんな言葉を与えてくれた。

「自分の心にもう一度聞いてみて。そのためのシェリー・ブレンドよ」

 なるほど、と思ってシェリー・ブレンドに口をつける。

すると、パッと映像が浮かんできた。

 美優さんがにっこり笑って、オレにこう言ってくれる。

「こんにちは」

 そうか、こんにちはって言えばいいんだ。よし、そうするぞ。

 そして次の日も、また次の日もオレは美優さんを待った。けれど一週間経っても美優さんは現れない。

「マスター、オレがこんな風に待っているって察知されて警戒されたのかな?」

 だんだん不安になるオレ。

「ははは、杞憂ですよ。そんなことありませんって」

 マスターはそう慰めてくれるが、やはり不安はぬぐえない。そしてこの日も諦めて帰ろうかとしたとき。

カラン・コロン・カラン

 勢い良くなるドアのカウベルとともに、元気な声が響いた。

「マスター、クッキーちょうだい」

 美優さんだ! 胸の鼓動が激しくなる。

「あれ、君前にもいたよね」

 ドキドキする。オレは意を決して美優さんに近づいた。そして…

「こ、こんにちは」

 言えた。

「こんにちは、いつもここに来るの?」

 ここから美優さんとの会話がスタートした。刺激的だけれど安心感のある関係。それをつくるためのスタートが「こんにちは」。

 「さようなら」はもう言わない、言いたくない。そして言われたくない。オレの本当の恋、ここからが本番だぞ。


<さようなら、こんにちは 完>

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