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16.備蓄品

 彼らが頻繁に学校に足を運んでいたのはスキル会議だけではなく、これらを運びこむ目的もあったのだろう。


 そのことを校長先生は知っていたのか。

 担任の僕は知らなかったのに……。


 子ども達が頑張っている中で、知らないままだったことに罪悪感が湧きあがる。


 僕だって何か準備出来たのではないか、と。


 備蓄品を見ながら悔しさに唇を噛みしめる僕の背中を柏木君は叩く。


「いたっ!」

 なかなか強い打撃に僕は思わず声をあげてしまう。

 けれど柏木君は僕が何を考えていたか見えているかのように、告げるのだ。



「スーさんは作る担当! 俺ら料理とかほとんど出来ねえし」

「……僕も簡単なことしか出来ないけどね」

「でもスーさんのおにぎりは美味い」

「あずさも好き~」


 あずさちゃんは僕の手をスルリと抜けて、さっさと保健室へ向かって歩き始める柏木君の手を取った。


「ねぇ、あずさもおかか食べたい」

「ほら、あずさもこう言ってるしさ、そんなところで立ってないで早く帰ろうぜ。俺もうお腹ペコペコ」

「そうだね」



 早歩きで彼らに追いつく。

 そして保健室に戻ると炊飯器のご飯が空になるまで3種類のおにぎりを握り続けた。


 2人も手伝ってくれたけれど、慣れないからか、どこか形が歪だ。

 そしてそれを「はい!」と僕の前に突き出すのは好意、なのだろうか。自分達はちゃっかりと僕の前から奪ったおにぎりを頬張っている。


「あ、それ僕の!」

「いいじゃん、いいじゃん」


 まぁ、いいけどさ。

 僕はもらった歪なおにぎりの小さい方を齧りながら、2人の顔を眺める。口いっぱいにおにぎりを頬張る2人は嬉しそうに笑っていた。


「右側にご飯粒ついてるよ」

「え、マジだ!」

「誰も取らないからゆっくり食べていいよ」

「ん。……あ、そうだ。スーさん、食材なんだけどさ。教室の他に、家庭科室や化学室、職員室の冷蔵庫にも入ってるから。賞味期限切れないうちに使って」

「へ?」

「ちなみに肉もある」


 備蓄品をあれだけ集めていたのにも驚きだったが、まさか精肉まで揃えているとは……。

 これにはもう、笑うしかあるまい。


 本当に、彼らの準備の良さには驚かされてばかりだ。


 おにぎりを平らげた僕達は、校内の安全を確認と共に食材一覧の作成を開始するのだった。


ストック切れたので毎日更新は今日までとなります

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