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15.新たな具材

「おにぎり作るけど何がいい?」

「おかか」

「ごめんね。おかかはないんだ。お塩か梅かの二択」

「あるよ。取りに行こう」

「え?」


 取りに行くってどこへ?

 柏木君はふわぁと大きなアクビをしながら、ハサミを片手に保健室から出ていこうとする。


「ま、待って!」

「ん~」

 まだ完全に覚醒しきっていないのか、間延びしたような声をあげて歩き続ける。


「あずさちゃん、僕達も行こう」

 どこへ行くかは分からないが、あの状態の柏木君を一人で行かせたら危険だ。

 しゃもじをもったままのあずさちゃんの手を取り、もう片方の手で肩たたきつき孫の手を取る。そしてゆっくりと遠ざかっていく彼の背中を追いかけた。



 すると彼が向かったのは教室棟だった。

 階段をゆっくりと上がる彼の歩調に合わせて目的地へと向かう。


 ――そして辿り着いたのは教室だった。


 柏木君たちの教室。

 けれどそこはいつもの光景とは違った。


 机は中心に固めて、大きな台を作り出していた。


 驚くべきはそこに乗せられた大量の食材だ。


 どれも長期保存が効きそうなものばかり。

 缶詰や温めなしで食べられるレトルト食品。シリアルに常温保存可能の牛乳。ペットボトルのお茶や水。時短パスタやそうめんなどの乾麺も並べられている。


 床に置かれた透明な袋に視線を向ければ、何度も使える彩り豊かなプラスチック皿を何種類か入っていた。それに彼らが職員室で使っていたのと同じプラスチックコップも未使用と思わしきものがいくつか。


 教室の後ろのロッカーの上には米や根菜系の野菜が置かれている。


「何、これ……」

 いつの間にこんなにいっぱい備蓄されたのだろう?

 見慣れた教室の風景とは違うそれに、僕は思わず言葉を漏らした。


 けれど柏木君はなんてことないように「非常食と避難セット」と告げた。


「どうしたのこれ?」

「みんなで金集めて買った。あ、でも結構校長先生が出してくれたんだ」

 彼はそう告げてから、机の一角からおかかのふりかけをゲットした。


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