14.ご飯の炊きあがりまで
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ご飯を炊いている間に歯磨きを済ませ、空いている時間に昨日の出来事をあずさちゃんに尋ねた。
「昨日はおうちに荷物取りに帰っただけだけど、寂しいとか不便だな~って感じるところはない?」
「う~ん……。ママとパパに会えないのは少し寂しいけど、でもお兄ちゃん達やおじさんがいるし、あずさ大丈夫だよ!」
「あずさちゃん……」
小さな子どもに気を使わせてしまって申し訳がない。
けれど嘘、ということではないのだろう。
「カロリーナもいるし!」と突き出すその顔に曇りは感じなかった。
これも柏木君を筆頭としたクラスの子の活躍もあるのだろう。
「後ね」
「うん」
「ごはん美味しい」
「ありがとう」
おそらく炊飯器を見つめるキラキラとした瞳もあの子達の影響だ。
湯気を出しながら頑張ってくれている炊飯器に「頑張って~」と声をかけるあずさちゃん。
「そうだ、あずさちゃん。待っている間にお母さんに連絡してみたらどう?」
「したよ」
「え? いつの間に?」
「昨日の夜。おうちに帰った時にね、心配だから連絡するようにって言われたからしたよ」
「それで、連絡はついた?」
「うん。なんかね、ダンジョンは変わらないんだって」
「え?」
「スライムはずっと同じ色で、避難している場所には入ってこないんだって」
「それは……」
ダンジョン内とエリア内でルールが違うということだろうか。
ダンジョン発生後から一昨日までの間に、ダンジョン化に立ち合わせた人以外は自衛隊しか中に入っていない。
詳しい情報が開示されないままエリア化を迎えてしまったから断定は出来ないが、モンスターが変わる鍵となるのが日の光だった場合、あり得ない話ではない。
――その場合、警戒するのは時間だけでなく天気も含まれることとなる。
昨日は晴れた昼から晴れた夜に移行した。
けれど昼間の空が雲で覆われていたら?
雨が降っていたら?
今の時期はないとは思うが、これから雪や雹が降る可能性もある。
それに台風だって。
曇り空なら夜のタイプに移行するとも限らないのだ。
夜には夜の、雨の日には雨のタイプが存在する可能性がある。
「おじさん?」
腕を組んで考え込む僕の顔をあずさちゃんは心配そうにのぞき込む。
心配させてしまったかな?
「ごめんね」
笑みを作って顔をあげる。
けれど僕の心配なんて当てにはならず、目の前にいたあずさちゃんは手にしゃもじを握っていた。
どうやら僕の心配よりも炊き上がり間近なご飯らしい。
するとご飯の炊きあがる香りに惹かれるように、カーテンが開く音がする。
「ふぁぁ、おはよう」
大きなため息と吐き出しながら挨拶をする柏木君。
そんな彼に僕とあずさちゃんで「おはよう」と返せば、炊飯器はタイミングよく炊き上がりの音を鳴らすのだった。




