13.2日目の朝
「柏木君、あずさちゃん。あさだよ~、起きて~」
朝、早く目が覚めた僕は時計の針が一直線にピンっと伸びるのを待って二人を起こした。
カーテンをシャーっと開けて、窓から降り注ぐ光りを彼らに浴びせる。するとすぐにあずさちゃんの目はパチっと開く。
「おはよう、おじさん」
「うん、おはよう」
まるですでに起きていたかのような覚醒具合。
目覚めがいい方なのだろうか。
あずさちゃんはすぐに布団を退けてベッドから出てくると靴を履き、大きく背伸びをする。
「着替えちゃうね」
そして昨日2人が持ち帰った荷物の中から新たなワンピースを取り出して、カーテンの中へと戻っていった。
その一方で、柏木君だが――全く起きる気配がない。
早すぎたかな?
元々柏木君の睡眠時間は長いらしい。
彼は普段の、モンスターがこの世界に存在しなかった時ですらも朝早く起きるのは苦手だった。
早く寝てもその分、睡眠時間が伸びるだけ。
そう教えてくれた柏木君が昨日ベッドへと入っていったのは夜も遅い時間のことだった。
きっとまだまだ眠いに違いない。
昨日もそうだが、きっと柏木君には今日もいっぱい活躍してもらうことがありそうだ。なら無理に起こすのは忍びない。
他の子が来る前には起こすにしても、まだご飯も炊けていないのだ。
後1~2時間してから起こせばいいだろうか。
ここはもうセーフティーエリアになっている上、昨日の時点で僕でも小さなスライムの討伐なら問題なく遂行出来るのは確認済みだ。
だから職員室にジャグと炊飯器を取りに行くくらい大丈夫だろう。
「あずさちゃん」
「なに?」
「僕、ちょっと職員室行ってくるからここ守っておいてくれる?」
シャーッとカーテンを揺らしてから、今度は白地に水色の水玉模様のワンピースで登場したあずさちゃんは、僕のお願いに首を傾ける。
「………………一人で大丈夫?」
その顔に悪意は全くない。
むしろ善意で心配してくれている。
すぐ近くだし学校内だから大丈夫だよ、と頭を撫でても下がった眉は元の位置になかなか戻らない。
だがここであずさちゃんを連れて行ってしまえば、柏木君が危ない。
起きている僕ならいくら弱くてもスキル『早足』でも使うなりなんなりすればいいが、寝ている柏木君は無理だ。少しの物音どころか朝日と僕たちの声を合わせても起きない彼がスライムの侵入音で起きる訳がない。
だからなんとしてもここはあずさちゃんに居てもらわなければ困るのだ。
だから僕はあずさちゃんの頭から手を放して、右手でガッツポーズを作ってみせる。
「それに大丈夫じゃなかったら遠慮なく『助けて~』って叫ぶから!」
何とも情けない話ではなるが、要は危なくないか心配されているだけなのだ。
「なら待ってる!」
「お願いします」
ベッドからカロリーナを連れてきておなかの上で抱くあずさちゃんの顔にはもう、不安や心配はなかった。その代わりに『グーッ』と大きな鳴き声でおなかの虫が空腹を叫んでくるのだった。
「早炊きにしておくね」
「うん!」
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