1.2人の帰還
べっこう飴を食べたことで思考がスッキリとして新たな考えが!――なんて都合のいいことはなかった。
結局いくら考えたところで経験に勝るものはないのだ。
結論が出てしまったことで暇になった僕は窓の外を眺める。
校庭では集合したスライムは一際大きな個体にへばりついては少しずつ体積を増やしていた。
彼らは合体することで『大物』に進化していっているのだろう。
おそらくあずさちゃんを襲った人食いスライムもまたスライムの上位版なのだろう。
合体した結果そうなったのか、人を飲み込んだことによって進化したのかは分からないが。
つまり小物も狩っていかなければ大物に進化してしまう、と。
となれば下水に溜まっているだろうスライムの討伐も後々は視野に入れていく必要があるだろう。
いや、先にセーフティーエリア問題も解決しないとか。
問題が山積みだなぁ。
そんなことを考えながら再びべっこう飴の容器へと手が伸びた――ところで人の声が耳に届く。
聞き慣れた声だ。
肩たたき付き孫の手を片手にドアを開ければ、そこには行きと変わらない姿の二人が立っていた。
「おかえりなさい、二人とも。大丈夫だった?」
「ただいま~」
「ただいま。なんかスライムの色が違ったけど強さ的には少し強くなっただけで問題はない。……ない、んだけどなんでスライムが校内に入ってきてるんだ? 体育館に置いた魔石を落としたスライムの方が強いはずなんだけど、もしかしてセーフティーエリアが完全ではない? でも昼間はちゃんと防げていた訳で……」
柏木君は想像以上に多い荷物を僕へとパスする。そしてブツブツと呟きながら顔をしかめていた。
セーフティーエリアが破られたことが気にかかっているのだろう。
だから僕は想像でしかないそれを彼らにも共有することにした。
「二人とも帰ってきたばかりで悪いけれど、お話があります」
「……ホワイトボードいる?」
「大丈夫」
真面目な顔で立てた親指を職員室側に向ける彼に首を振った。
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