12.条件
「歯ブラシをあずさちゃんの家に取りに行くことは決定事項として、僕と柏木君のどっちがついていこう?」
「スーさん一人で残すのも怖いけど、あずさとスーさんの二人で外出すのもそれはそれで不安なんだよな~。いっそのこと三人でいくとかは?」
名案だ! とばかりにポンと両手を打ち付ける柏木君。
だが僕はそんな彼にフルフルと頭を振る。
「さすがに留守には出来ない」
僕達以外誰も来ていないとはいえ、ここは避難所だ。
不安を抱えて逃げ込んできたのに外出中でした、じゃあ申し訳が立たない。
居たところで特別な何かが出来る訳ではないけれど、お水とおにぎりや乾パンなどの食料品を手渡すことや、話相手になることくらいは出来る。
それに何もしなくとも、ただ人がいるというだけでも安心感あるはずなのだ。
「ここは僕が残るよ。二人ほど強くはないけど、まぁ一応レベルアップはしてるし……」
「いくつ?」
「9」
「は? 冗談だろ?」
両手を使って数字を表してみると、途端に情けなさがこみ上げる。
守る立場でありながらこんなのって……。
柏木君の見開かれた目にプレッシャーを感じつつも「弱いけど! でも大丈夫だから!」と近くに立てかけて置いた肩たたきつき孫の手を手にする。
けれど柏木君は未だ「低いけど……いや、まさか……」とブツブツと繰り返して納得はしてくれていない様子。
だが他の子達との今日のまとめによれば、大物は大体刈り尽くしたようだった。
ならばセーフティーエリア内であれば、昼間のように一人で行動しなければ大丈夫なのではなかろうか。
「今度は保健室で待機しているから、ね?」
だからあずさちゃんと一緒に行ってあげてくれと付け加えると、柏木君は渋々と言った様子でコクリと頷いてくれた。
「けど。けど一つだけ条件がある」
そして思い詰めたような表情を浮かべる顔をバッと持ち上げる。
何か深刻なことでもあるに違いない。
彼はいつだって僕の思いも浮かばないことを指摘してくれる。
だからこちらも真面目な顔を作って、そして頼ってくれと薄い胸をたたいた。
「何? 僕に出来ることなら何でも言って!」
……けれど提示された条件は何とも彼らしいものだった。
「スキルポイントが余っているなら今ここで魔法攻撃系のスキルを取ってくれ。孫の手の打撃だけじゃさすがに怖くて残せない。だからこれがスーさんを一人で置いていく条件。相談にはのるからさ、ちゃちゃっと決めちゃおうぜ」
まさかここに来ても僕の心配とは……。
だがそれはスキル名を見ても分からないことだらけの僕にとって、正直ありがたい申し出であった。
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