9.お役立ち情報?
神田君の作ってくれたものをベースにしたパワーポイントの制作を終え、データ移行を済ませてからにしたUSBメモリにデータをコピーする。
運ぶ時はこれを持って行ってもらうことにしよう。
失さないようにとお茶のおまけについてきた白と茶色が混ざった鳥のキーホルダーをつけたものだ。
これならいろんなところに運んでも置き忘れることはないだろう。万が一忘れたとしても鳥のキーホルダーがついたUSB、といえば見つかるだろうし。
明日配達行く時に渡そうと、鳥のUSBを引き出しにしまった。
「終わったよ~。……ってどうしたの?」
体育館に残っている二人に声をかけにいけば、そこにはマットの上で遊ぶ姿があった。
手と足をピンと一直線上にのばした状態でゴロゴロゴロゴロと端まで転がってはまた端へと移動する。
楽しい、のかな?
ゴロゴロ~ゴロゴロ~、と効果音のような物を発しながら転がるあずさちゃんの頬は上がっている。かと思えば一緒に転がる柏木君の顔は真剣そのもの。
え、何これ。何かの儀式?
止めた方がいいのか。それとも見守るべきか。
顎に手を当てて考えていれば、おもむろに柏木君は立ち上がった。
「固い!」
「え!?」
「固くて眠れない!」
どうやらここで寝られるか調査をしていたらしい。
そりゃあ器械体操用のマットだから布団やベッドのように柔らかくはない。
だがそれは柏木君にとっては深刻な悩みであるらしかった。
真剣な眼差しで僕を見つめながら距離を詰める。そして肩を掴んで悩みを打ち明けてくれる。
「どうしよう、スーさん。俺、ここじゃ寝れねえ。学校にいるって神田達と約束したのに……」
睡眠時間が人よりも長いらしい柏木君らしいといえばらしい悩みである。
駅が突然ダンジョン化したあの日よりも深刻そうな表情を浮かべているのには、少し引っかかるが。
けれどあの時は彼の話を聞くことしか出来なかった僕も、今回ばかりは彼の役に立てそうな情報を持っている。
「ここじゃなくて保健室で寝れば大丈夫だよ」
そう、保健室ならベッドがある。
何も他の避難者がいない状況で無理して体育館で夜を過ごすことはないのだ。
「スーさん天才じゃね」
そもそもそのつもりだったのだが……。
「やったな、あずさ。固いマットじゃなくて保健室のベッドだぞ!」
「具合悪くないのに使ってもいいの!?」
「うん。今回は特別」
「高校のベッドはでかいぞ~」
「やった~」
まさかあずさちゃんと揃って手を取り合って喜ばれるとは思っていなかった。
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