7.鍵の閉め忘れは命取り①
神田君と、彼を待っていたらしい佐藤君を校門まで見送る。
そして残ってくれた神田君に「よろしくお願いします」と頭を下げるのだった。
「よろしくお願いします」
僕の真似をして、あずさちゃんまで頭を下げる。
すると柏木君は焦ったように目の前で行き場の定まらない手を動かしていた。
「や、やめろよ、スーさん。それにあずさも。恥ずかしいだろ」
「ほらでもこういうのはちゃんとしないと……」
「俺がいいって言ってるんだからいいんだよ! ほら、そんなことよりさっさと体育館の避難場所準備備えるぞ。あずさ、これ運ぶの手伝ってくれ」
「はーい」
柏木君は恥ずかしそうに顔を赤らめたかと思えば、背中を向ける。
そして備品入れから取ってきたのだろう、ホワイトボードマーカーをあすさちゃんに手渡して、自分はホワイトボードに手をかける。
「あ、じゃあ僕はプロジェクター持ってくね」
「なんか台あったっけ?」
「さっきカラーコーン取りに行った時に倉庫で机を見かけたよ。それ使わせてもらおうよ」
「あ、じゃあ鍵持ってかないと」
鍵入れに足を向ける柏木君。
けれど体育倉庫に鍵はかかっていない。
「空いてるよ」
なにせ僕がかけ忘れているのだから。
けれど柏木君は足を止めることない。
そして鍵入れから先ほど僕が使った鍵を取り出した。
あれ? そういえばちゃんと返したっけ? 確か刺したままだったような?
「マンドレイクモドキ討伐後に開いてんの見つけたから、スーさん運んだ後に閉めといた。鍵開けた時に奇襲されたらヤバいし」
「ごめんなさい」
「だから気にすんなって。失敗は誰しもあるもの。気づいた次から気をつければいい、ってスーさんいつも自分で言ってんじゃん」
「そうだけど……」
だがそれは些細なミスの話だ。
これで誰かが危険な目にあえば、命を落としてしまえば、『次』なんて存在はなくなってしまうのだ。
頭を垂れて俯けば、隣からは「はぁ……」と深いため息が聞こえてくる。
さすがに呆れられたか……。
柏木君は僕を励ますために言ってくれたのに、僕がこんなんじゃやる気もなくなるよな……。
ホワイトボードを体育館へと運びこんだ後、無言で体育倉庫から机を持ってきてくれた柏木君はすぐにどこかへと消えてしまった。
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