16.合同スキル
こんな状況でスキルでも使えれば!
そうは思うがそもそも使用方法が分からない。その上、性能だって分からないのだ。
「もぐらたたきにひっかきってどうやって使うんだよ!」
誰に向かって言うでもなく、しいていえば無力な自分への言葉。
けれど誰も反応しないはずのその声に反応するものがいた。
『スキル『もぐらたたき』、スキル『ひっかき』の同時発動を確認。合同スキル『回転打爪』を発動します」
あのアナウンスである。
いつも残酷なことしか告げてくれないあの声が、今は救いの女神の声にも思えた。
合同スキル『回転打爪』とやらが発動したのか、肩たたきつき孫の手を掴んだ手が勝手に回転し始める。
まるでバトンでも回しているかのように、指がぱらぱらと動くのだ。
バトン回しどころかペン回しですらろくに出来ない僕の手が、だ。
自分でもどういう原理でこうなっているのかは分からない。
分かるのはこれが『スキル』だということだけだ。
とにかくスキルが発動しているのなら使わない理由はない。
勝手に回転する肩たたきつき孫の手を、僕に絡みつく根っこの部分に当てると、ゴルフボールの部分と、孫の手の爪の部分が交互に攻撃を繰り返す。
相変わらずダメージを加えられているのかは分からない。
けれど確実に根っこが後退していくのが分かる。
この調子で全部撤退してくれ!
少しずつ当てる場所をズラしながら、撤退していくそれを観察する。
時間制限があるのか、肩たたきつき孫の手の回転が緩やかになればすかさず『回転打爪』と唱える。すると銭湯の蛇口のように再び勢いを取り戻してくれるのだ。
これならイケる!
そう確信したのは「合同スキル『回転打爪』のレベルが上がりました」とのアナウンスが流れたから。ステータス欄を確認する余裕こそなかったが、それを境に回転スピードも与える力も段違いになっていった。
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