15.凶暴化
『モンスターの『凶暴化』を検知しました』
凶暴化? なにそれ?
言葉通りに取るなら、モンスターが凶暴になるってことだろう。
けれど目の前のモンスターは大人しく殴られているだけ……。
そのはずだと視線を下に降ろせば、そのモンスターはグルンっと勢いよく身体を捻る。
するとソレの周りの部分は円状にすっぽりと穴があいた。
障害となるものは主に土だった。
その土がなくなればーー。
モンスターは短い手を地面につき、そしてどこからやってくるのかと突っ込みたくなる力を発揮して身体を持ち上げた。
完全に陸に上がったそれはやはりマンドレイクによく似ている。
足も先の部分? 下の部分? が少し裂けているだけ。
だがそんな、悠長に観察している暇はなかった。
「ぎゅぁああ」
先ほどより一層大きな声を上げたかと思えば、それはおもむろに般若のような形相で僕めがけて突進してきた。
あれだけ殴り続ければ怒るのも当然といえば当然だろう。
だがこちらもモンスターを放置しておくだけの余裕はないのだ。
全長50~60センチほどしかないだろうモンスターは短い足で直線に走るだけ。
それも方向転換の時は決まって、足を止めるのだ。
早さはスライムよりもずっと早いが、それでも方向が分かれば簡単に避けるだけでいい。
走るモンスターの後ろを中腰で追いかける。
そして先ほどと同じように上から肩たたきつき孫の手を振り下ろす。
攻撃を受ける度にモンスターはやはり声を上げるだけ。
なんだ、反撃してこないのか。
『凶暴化』なんて言うからてっきり飛びかかってきたりするのかと思っていた。
これなら退治出来そうだ、なんて考えて振り上げた肩たたき孫の手がモンスターに届くことはなかった。
「ぴぎゅああああああああああああ」
モンスターの声に呼応するように地面から生えてきたのは無数の根っこだった。
もしかしてただ突進していたんじゃなくて、土の中に根っこを張っていたのか!?
ヤバいと思って身を引こうとしても、時すでに遅し。
その根っこは僕の足に絡みついて動きを封じると、次第に浸食範囲を増やしていく。
このままでは腕や顔が飲み込まれるのも時間の問題だ。
跳ね上がりそうな心臓の脈と同じように、孫の手でその根を叩きつける。
けれどビクともしない。
「くそっ!」
少し離れたところでこちらを眺めているモンスターを力一杯にらみつける。
「ぎゅあああ」
けれどそいつは僕をロックオンしながら小躍りを続ける。
根っこを操る為なのか、はたまた僕を馬鹿にしているのかは分からない。
けれど先ほどまでは悲鳴に聞こえていた声は、今では歌っているように聞こえるのだった。
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