13.観察
どんなモンスターかも分からないそれに立ち向かうのは怖くてたまらない。
手汗はひどくて、肩たたき孫の手はすべりってしまいそうだ。
唯一の武器を手放してたまるものかと、ズボンで汗をふき取ろうとすれば、足もガタガタと震えていることにやっと気づく。
全く情けない。
この状況で目の前のモンスターが火でも吐いたら確実に負けるだろう。
そうだ。
今はじいっと見てくるだけのソレは、火を吐くかもしれないのだ。
もしその火が部室棟に燃え移ったら?
そしてその火が体育館へと燃え広がったら?
セーフティーエリアとして逃げ込んだこの学校は火の海へと変わるだろう。
危険だったら逃げる。けれどやれるだけはやらなくっちゃ。
ふうっと大きく深呼吸して、肩たたきつき孫の手を強く握る。そして両手で頬をバチンと叩いた。
筋力を強化した影響か、想像以上に頬へのダメージは大きかった。
もしかしたら真っ赤になっているかもしれない。
けれどその甲斐もあって、僕の足の震えはだいぶ治まっていた。完全に治まった訳ではない。
けれど恐怖を忘れていないということは、常に相手を警戒し続けているということでもある。
僕は弱い。
それでも弱いなりにも戦う方法はあるはずなのだ。
まずは敵の情報を少しでも知るために、一定距離を保ちながら観察してみる。
埋まっている位置の問題もあり、360度回ることは出来なかったが、下半身は完全に土に埋まってしまっているようなのは確かである。
また露出している部分である上半身と腕の部分だが、腕は短く土に届いていないようだった。
つまり地に手をついて踏ん張って出てくるということはなさそうだ。
ならば上半身に当たる部分はどうやって出てきたのかという話だが、今のところ不明だ。
分かるのは出ている部分に付着している土は完全に乾いていることと、その土もうっすらとついている程度ということくらい。
また頭から生えている葉っぱ? の部分だが、顔がある面は青々としているのに対して後ろは黄みがかっていた。
枯れているのだろうか。
だがそのモンスターが弱っているという風ではない。元からこんな色をしているのかもしれない。
校長先生だったら『植物』としてのこのモンスターの状態が分かるだろうが、僕に園芸知識はほとんどない。
小学生の頃に授業で朝顔とへちまを植えたくらいだ。ちなみに夏休み期間、それの世話をしたのは姉と母である。
つまり全くの素人。
小学生よりもレベルは低いかもしれない。
同じ理科でも生物と化学では領分が違うのだ。
お読みいただきありがとうございます!
ほんの少しでも面白かった!続きが気になる!更新まってる!と思ったら是非ブックマークや評価(評価欄は最新話の下にあります)をお願いします。
作者のモチベーション向上に繋がります。




