11.遭遇
二人の背中が遠ざかったのを確認してから、体育倉庫へと向かう。
ドアを開ければ探す手間もなく、目の前にデンと赤いコーンが積まれていた。
おそらく運動部の子が朝練でも使うからと、決まった位置に返すのを面倒くさがったのだろう。
あまり褒められたことではないが、今は誰かが面倒くさがったその行為が純粋にありがたかった。
案内は壁に貼る分もあるから、15個もあれば足りるだろう。
体育祭ぶりの接触になるカラーコーンを重ねながら、どのくらいなら一気に運べるかを考える。
所詮はカラーコーン、と侮って腰にズドンと重みが責めてきたのは記憶に新しい。
思えばあの頃を境に生徒達におじいちゃん扱いされる頻度が上がったような?
とにかく無理なく運ぶのが一番だろう。
どうせ時間もあることだし、と5個積んだ山を3つ作る。
そして一つ目を校門付近に、二つ目を階段付近に、そして三つ目は部室棟付近に置く。
後は山を分解しながら、壁やカラーコーンに案内を張っては等間隔に設置するだけだ。
途中、変なところに行ってしまわないようにと通路をふさぐように置いたりもして……10分もしないで作業は終了した。
ーーのだが。
「そういえばお手洗いの案内がないな」
完全に伝えなかった僕のミスである。
だが水道からスライムが出てくるのであれば、はたしてお手洗いは使用出来るのだろうか。
流したらスライムさん登場! なんてこともあり得る。いや、そもそも下水にもいるのならば這い上がってくる可能性だってある。
それでも人間の生理的欲求を我慢することが出来る訳がない。
だからこればっかりはスライムがセーフティーエリアを突破するようなことがないことを祈るばかりだ。
とりあえず今、僕がすべきことはお手洗いへの案内を作ること。
男性用はいろんな場所にあるが、女性用のお手洗いは職員室の近くにしかない。
迷子にならないように女性用の案内を多めに書くとするか。
字は汚くなるが、まぁあからさまに筆跡が違えばわかりやすいといえば分かりやすいだろう。
そうと決まれば早速職員室に戻って書かなければ!
でもまだ紙ってまだ余ってったっけ?
元々あの紙は授業で使う小道具を作った時のあまりなのだ。
さっきなにも考えずにドバっと出しちゃったし、残りがない可能性も高い。
なら少し足をのばして美術室に向かうか。
勝手に拝借するのは気が引けるが、緊急事態なのだ。
事後報告でも許されることだろう。
そして僕は美術室を目指して、部室棟前を横切った――ところで、モンスターと遭遇してしまった。
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