10. ゲームでおなじみの②
「ちなみにモンスターに攻撃が通用するのは確認済み! ただ武器レベルがないんだよ。名前通り『ただのぼう』だから使いやすいっちゃ使いやすいけど、武器登録したものの方がスペックは高い。だから誰も持ってかなかったけど、こういう時便利でしょ?」
「確かに……」
現時点では『宝箱の中から出てくるアイテム全てにレベルが存在しない』と断定してしまうことは出来ない。
なにせ柏木君の武器は巨大化したのに対して、僕の武器には見た目の変化がなかったのだ。何か変わっているのかもしれないが、それにしても個別差が存在するのは確かだ。
武器レベルがないのは『ただのぼう』ならではのことなのか、はたまた宝箱から出てきた物だからなのかは分からない。
その都度、確認する必要があるだろう。
だが神田君の言う通り、強さは別としても、武器が不明の人がレベルアップする時に使う際に便利なのは確かだ。
「ってことで、これ出来たから案内の設置とおにぎり量産はスーさんに任せた!」
「任せた!」
神田君が親指を立てて宣言すると、あずさちゃんもそれを真似してグッと立てる。まるで兄妹みたいだ。
「はい、任されました」
あずさちゃんと話しつつも、神田君が完成させてくれた案内は本当に手書きかと疑うほどに綺麗な字で書かれていた。
やっぱり比べる相手が悪かったのだ。
こんな綺麗な字を僕が書ける日はきっと永遠に来ることはないだろう。
感心しながらも枚数を数えるとキッチリ20枚。
どうやら渡した分に全てに書いてくれたらしい。
チラリと見てみると、中にはひらがなで書かれたものもある。おそらくあずさちゃんもお手伝いしてくれたのだろう。
「くれぐれも気をつけていくんだよ? 危ないと思ったら逃げるんだからね?」
「了解!」
「了解!」
神田君がピシッとおでこに手を構えて敬礼すると、あずさちゃんも遅れて同じ行動を取る。
これがしばらく前までの日常の中の光景だったら微笑ましいんだけどなぁ……。
繋がれた手と反対側に持っているのは、それぞれの武器――あずさちゃんは『ただのぼう』で、神田君は『歯ブラシ』。
その武器でスライムの討伐を行うのだろう。
あんまり心配しすぎるのもよくないが、せめてもということで校門までその背中を見送った。
もちろん手には彼らが書いてくれた案内の紙とガムテープと体育倉庫の鍵、そして肩たたきつき孫の手を持って。
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