5.魔石②
だがそこらへんにいるスライムを倒すのでも精一杯なのに、そんなレベルの高いモンスターを倒すなんてそんなの、相当難しいのではなかろうか。
HPはゼロになったらきっと、死ぬ。
レベル差があるモンスターに挑んで勝てるのはよほどの強者くらいなものである。
この場にはいないけど、柏木君みたいな子かな。
そんなことを考えていると、ぽつりとあずさちゃんは言葉を漏らした。
「ならおじさんは『強者』だね」
「え?」
「モンスターが避けてた」
「あ……」
言われてみればそうだ。
確かにここに来るまでの間、僕たちはスライムに『避けられて』いた。
そのことと魔石が関係ある?
関係があるとすれば、僕が倒したあのスライムも強いモンスターということになる。
「何? スーさん、魔石持ってるの? 見せて」
「うん、これなんだけど。あずさちゃんを助けた時に落ちたやつ」
ポケットの中から魔石を取り出して、差し出された手に乗せる。すると角度を変えてみたり、光に当ててみたりを繰り返してみせた。
「大きさはないけど、色がきれいだな。これゲットしてからモンスターとの遭遇率変わった?」
「スライムがね、みんな避けてくの」
「マジか……」
「マジだよ。ね、おじさん」
「うん。見かけはしたけど、みんな逃げていくから」
だからすごいモンスターだったのかと聞かれれば分からないと答えるしかない。
なにせ僕が戦ったのはあの一体だけ。
比較対象がいないのだ。
「なるほど。……スーさん、これ体育館に置いといていい?」
「うん。使って」
だがそれで安全になるのなら、使ってほしい。
「あんがと。じゃあこれ置いたら俺行ってくるわ」
「いってらっしゃい。無理はしないでおくんだよ」
「分かってるって」
去っていく背中に「くれぐれも気をつけるんだよ」と手を振る。
いつもの何倍も早く小さくなる彼らは僕なんかよりも何倍も頼りがいのあるものだった。
僕の方が大人で、先生なのにダメダメだ……。
そもそも僕はまだこの状況を全く理解していないのだと気づかされた。
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