3.冷えた麦茶
「それでその子、スーさんの姪っ子?」
「いや、さっきそこの公園で会ったんだ。あずさちゃん、この子たちは僕の生徒達だよ」
「はじめまして、新垣 あずさです。しばらくおじさんと一緒にいることになりました。よろしくお願いします」
「しっかりした子だな~。あ、そうだ。あずさちゃん、冷たい麦茶あるけど飲むか? スーさんも」
「飲む!」
「もらえるかな?」
「あいよ。ゆっくり飲みなね」
「ありがとう」
「お兄さん、ありがとう」
「おう」
……なぜかこの子達は普段とあまり変わらないように見えるが。
そう見えるだけだろうか。
いくら話を聞いて、対策を考えていたとはいえあまりにも落ち着きすぎてはいないだろうか。
僕ですら結構焦っているのに、高校生の、10以上も年下の彼らがなぜそんなに落ち着いていられるのか。
それが不思議でならない。
差し出された麦茶はキンキンに、とまではいかずともよく冷えている。その上、麦茶の味だってしっかりとでている。
きっと一番初めに到着した子が作ったのだろう。
少なくとも数十分ほどはお茶のパックが浸かっているはずだ。
時計を見てみれば、針は10時30分を少しすぎた時間を指していた。
エリア化されてから、僕が家を出てから3時間以上が経過している。
いや、2時間と少ししか経過していない。
それなのにあまりにも手際が良すぎる。
「あ、そうだ。スーさん、とりあえず今ご飯は炊いてるから。炊きあがったらおにぎり握るの手伝って」
まさかご飯も炊いてくれているとは……。
彼らは僕がやろうとしていたことのほとんどを済ませてしまっているらしい。
後やることといえば、安全確認した後に『緊急避難場所』と書かれた札を用意したり、体育館へ誘導するための札を作ることくらいだろうか。
それが終わった頃におにぎり握って、お昼休憩にでもするのがいいだろう。
「分かった。一応、からあげとたまご焼きだけだけど、おかず作ってきたんだ」
リュックサックの中からお重を取り出すと、ふたを開けてみせる。
我ながらすごい量だ、なんて感心していると生徒達は嬉しそうに声を上げる。
「マジで!? 俺、スーさんのからあげ好きなんだよな。だから残しといて」
「俺は甘い方のたまご焼き食うから。3つは残しといてな」
「? どこか行くの?」
残して置いてくれ、なんて席をはずすつもりなのだろうか。
このモンスターが多発している時に?
首を捻って、用事を考えてみるが、どうにも浮かんでこない。
すると彼らはそれぞれの武器を手にして立ち上がった。
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