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18.少女と手を繋ぎ

 彼女を誘導してくれた人はよく見つけたものだと感心してしまう。

 ダンジョン経験者なのかゲームの理論に基づいてなのか、たまたま見つけただけか。

 少なくともそんなものが他のダンジョンで見つかったという報道はなかったはずだ。


 偶然とはいえ、助けられた人も多いだろう。


 ここで救助が来てくれるのを待てばいい――今までのダンジョンなら、もしくは東京外に出来たダンジョンならそれで良かったはずだ。


 だが東京全域が同じような状況に直面している中でそれを待ち続けるのは正直無謀に近いだろう。

 それが分かっているからこそ、電話越しの声も暗い。


「ですが、必ず迎えに行きますので! ですからどうか娘を、あずさを……」

「もちろんです。あずさちゃんとお母様のご帰還をお待ちしております。なので、どうか無理はなさらずに」

「はい。ありがとう、ございます」


 再びあずさちゃんにスマホを戻し、いくつか言葉を繰り返すと「じゃあバイバイ」という言葉で通話は終わりを告げた。


「ねぇあずさちゃん。あずさちゃんのお母さんとお話したんだけど、お母さんが帰ってくるまでおじさんとそこの学校で待とうか」

「よろしくお願いします」


 ここでイヤだ、帰ると言われたらどうしようかと思ったが、すでに電話で聞かされていたのだろうあずさちゃんはウサギの顔が見えるほどに深いお辞儀をしてくれた。


 よし、じゃあ行くか。

 リュックサックを背負いなおして、あずさちゃんに手を差し出す。


「はい。じゃあ僕と手、つないで」

「うん」


 あずさちゃんのステータスが分からない以上、何かあった時は手を引っ張って走るか、いざとなったら横抱きにしてでも逃げ切らねばならない。


 彼女のお母さんとも約束したし。

 何より迎えにきた時に娘が元気な姿で「おかえりなさい」と言ってあげるのが一番安心することだろう。



「いざとなったらおじさんがだっこするかもだけど、叫ばないでね?」

「? うん」


 あずさちゃんの身の安全が一番だが、二番、三番……いや五番目くらいには僕のプライドも大事なのだ。



『少女誘拐』なんて後ろ指を指されて暮らす勇気はないのだから。


お読みいただきありがとうございます!


これにて2章『エリア化』終了です。

次話より3章『学校』に入ります。


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