2.怒涛の質問タイム
臭いの元である制服と通学鞄はとりあえずバケツに入れてベランダに出した。
隣のクラスが窓を開けていたら苦情が来るかもしれないと思いつつも、廊下に出しておくよりはマシだと思ったのだ。
柏木君が着替え終わっても一向に苦情が来ないことをいいことに、怒涛の質問タイムが開始する。
なかなか化学ネタには食いついてこない彼らもゲームのような話には興味津々だ。
今にも柏木君を押しつぶしてしまいそうなほどに彼を囲う円を狭めていく。
けれど柏木君は嫌な顔1つせずに1つ1つ答えていく。
「ダンジョンってマジなの!?」
「マジマジ。俺がいたのは池袋だけど他にも何箇所か発生したっぽい。ツブヤイッターで呟いてる人結構いたから、検索したら結構ヒットするんじゃね?」
「ゴブリンって本当にみどり色してんの?」
「マジで緑だった。ゲームの再現度高けぇって感動したわ。ゲーム会社の人、実はゴブリン見たことあんじゃねぇかな」
「もしかしてブレザーに付いてたのって返り血?」
「ああ。初めは洗濯どうしようとか考えてたけど、結構血、飛ぶから気にしてらんねーって。臭いもあっちじゃあんま気になんなかったし」
「どうやって戦った?」
その質問に生徒達はゴクリと生唾を飲み込んだ。
なにせ柏木君はモンスターと戦ったのだ。
ゲームなら当たり前かもしれないが、ここは現実で彼は冒険者でも勇者でもない。
ただの男子高校生である。
同じ立場の人としては是非とも聞いておきたい内容なのかもしれない。
かくいう僕も学生時代からハマったRPGを今でも発売を楽しみにしているタイプなのだ。
モンスターと対峙した時の話なんて創作の中以外で聞く機会が来るとは夢にも思ってなかった。
胸を躍らせながら、生徒達の背後で耳をそばだてる。
すると彼は一度立ち上がってベランダへと出ると、とあるものを手にして帰ってきた。
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