表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/104

15. スライムの発生源②

 まるで僕が変なことでも言っているようだ。

 けれど普通蛇口をひねったところでスライムなんて出てこない。

 特殊な加工されている蛇口からはオレンジジュースだの、緑茶だのが出てくるという話は聞いたことがある。ゴールデンウィークに空港で見つけたんだと自慢されたことだってある。だがそれらはあくまで飲み物である。


 いくらモンスターが発生するからといってスライムって、そんなの……。


 普通に考えればあり得ない。

 けれど道ばたにスライムがいて、少女を捕食しようとしている時点で普通ではないのだ。


 駅がダンジョン化された時よりも、ずっと非現実は現実に食い込んできている。

 おそらく僕が見た、スライムが出てくる家は彼女のように蛇口をひねるなどの行動を起こしたためにスライムが発生したのだろう。


 水を飲もうと思ったらそれだ。

 逃げられるはずがない。


 いくら捕まってしまったとはいえ、彼女がここまで逃げられたのは奇跡と言えるだろう。


 目に飛び込んできた光景が衝撃的すぎて見逃していたが、冷静になって考えてみれば、こんなに朝早い時間に子どもが1人で公園にいるのは異質な光景なのだから。


「あずさちゃん。お母さんかお父さんの携帯電話の番号分かる?」


 あずさちゃんの話からすると両親は共に家を開けていることになる。

 仕事もあるだろうし、まさかこんな事態が起こるとは予想していなかったことだろう。

 だからお留守番というミッションを娘に課したのだろうが、さすがに彼女にそのミッションを継続させる訳にはいかない。


 ご両親も知り合いでもない男、それもアラサーのおじさんなんかに娘を預けるのは不安だと思うが、スライムがあふれる家で留守番させるよりはマシだと思ってほしい。


 誘拐と間違えられないように、そしてこんな状況でさらに不安にさせないように、連絡を取っておこうと思ったのだ。


「うん、分かる。ちょっと待ってて……って、あ。ママからいっぱいLIME来てる」


 だがまさかこんなに小さな子どもが立派なスマートフォンを持っているとは思わなかった。しかも僕のよりも最新の機種。この機種が発売されたのってつい一ヶ月前じゃなかったっけ? なんて思いながら、画面を見つめるあずさちゃんに「返信してあげて」と伝える。


「うん」

 どうやらお母さんの方も無事らしい。

 これは学校に登校する前にあずさちゃんをお母さんの元まで送り届けるのが先かもしれない。


 しばらくメッセージを送りあった後で、通話に切り替わる。

 娘の安全を知ることが出来たあずさちゃんのお母さんの涙声はこっちにも聞こえてきた。


 そりゃあ心配だよね。

 僕だって東京に家族がいたら、事前知識がなかったら困惑していただろう。


 偶然とはいえ、非力とはいえ、助けることが出来て良かった。

 そう思いながら苦いコーヒーを少しずつ飲み込む。


 うん、やっぱり苦い。

 けれどずっと前に、大人ぶって飲んだそれよりずっと飲みやすかった。


お読みいただきありがとうございます!


ほんの少しでも面白かった!続きが気になる!更新まってる!と思ったら是非ブックマークや評価(評価欄は最新話の下にあります)をお願いします。


作者のモチベーション向上に繋がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ