1.出発の準備と流れたアナウンス①
「これでよし、っと!」
結局この休日でできたことといえば、小田君から勧められた参考資料もといネットの無料小説を数作品読んだくらいだった。
舞台は日本。ある日突然モンスターがあふれ出した設定らしい。
僕が今まで読んだお話はどれも初めから世界に魔法やモンスターが組み込まれているものだった。だからまさかこんな、今の僕達に近い状況に陥ってしまった人を主人公にした作品があるとは思わなかった。
勧められた作品では、そもそもどうしてこんなことになってしまったのか分からないパターンが多かった。
1作だけゲーム会社が仕組んだから、というものがあった。
その作品はスキルの取得やステータスの振り分け方が丁寧に描かれているから参考になるかもとわざわざページ指定で教えてくれたものだった。
元より世界観は参考になりにくいと考えて、事前に読むべきポイントを教えてくれたのだろう。
他のものもなるべく系統をずらして選んでくれたのか、細かい設定が実によく作られているのに分かりやすくて、このパターンならこの行動を取るべきなのだと大変勉強になった。
そのどの作品でも共通している点は、主人公は困難を突破して進むということだろう。
娯楽小説だから当たり前といえば当たり前なのだが、ゲームの知識を生かして進んでいく辺り、適応能力と元の知識の高さがうかがえる。
読み進める度に、突然そんなのに遭遇していたら僕は間違いなく死んでいただろうなと感じた。
自動車を持っていたらそれで突っ込んで……とかあるんだろうけど、僕が持っているのは大学時代に取って、今ではすっかり身分証明書と化したペーパー免許で、車なんて持っていない。
そもそも近場なら自転車、少し遠ければ電車かバス、実家に帰るなら新幹線で十分なのだ。
場所もお金もかかる車は、ほぼ新品と変わらぬ形で実家に置いてきてしまった。コンパクトながらも買い出し分くらいなら十分乗せられるし、おそらく今頃姉が使っていることだろう。
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