21.甘いお菓子と甘くない現状
べっこう飴を流し込んだカップを台所に一番近いテーブルに並べる。クッキーは天板から降ろして、お皿の上に並べておいた。
1~2時間待ってからべっこう飴は冷蔵庫の中に保存して、クッキーはクッキー瓶に詰め込めばお菓子作りは終了だ。
べっこう飴は小さいのをたくさん作ったから、案外時間はかかってしまったが昼前には終えることができた。
ご飯は簡単にそうめんで済ませてしまったし、これからすることは……ない。
今の時期はいつもテスト問題を作っているはずなのだが、今回に限って時間に余裕があるからと早めに作ってしまっていたのだ。細かいところも休校期間の、クラスの子達がいない時間帯に済ませてしまっている。
だからといって、つい数日前に今度通おうと決意したジムに行くのもなんだか違う気がする。
それはせめて今後、ダンジョンがどうなるかが分かってからだ。
つけっぱなしのテレビに映るのは未だ、警戒態勢が敷かれた駅の外側だけ。
警官の周りにはマスコミと野次馬がいて、駅から自衛官が出てくるたびにその姿を一目でも納めようと波を作る。
そんなことをしても意味なんてないのに。
この数日で変わったことを挙げるのならば、それは日に日に自衛官の顔がやつれていくことだろうか。
中ではモンスターと人間との命を賭けた戦闘が行われていて、外では人の波が形成されている。
その波の中には『詳しいこと話せよ!』だの『自分たちだけダンジョンに入ってんじゃねぇよ』だの彼らに強い言葉を投げつける人もいるのだ。
見えない『ナニカ』を恐れる気持ちがあるだろう。
だがそれを、ダンジョンをどうにかしようと奮闘している彼らに向けるのはお門違いではなかろうか。
どうにかできるならそうしているだろう。
国だって4カ所も同時に発生してしまったダンジョンへ対する案を検討し、自衛官を増やしたり、他の駅でも駅に警官を配備するなど実行に移してくれているのだ。
どうすればいいのか、分からないなりに行動してくれている。
だがそれは今のところ実ってはいないだけで。
それにきっと、訳も分からないダンジョンなんて物に潜り続けなければいけない彼らの方がずっと不安だろう。なのに外でも気を休められなくて……。それはどれだけ彼らにストレスを与えているのだろう。
こんなの、消耗していくばかりだ。
自衛官や警察官はもちろん、恐怖に怯える人達も。
何か糸口でもあればいいんだろうけど……。
警官が波を押さえつける映像の端で、テントへと入っていく自衛官の背中は表情と同様に疲れ果ててしまっていた。
お読みいただきありがとうございます!
これにて1章『ダンジョン発生』終了です。
次話より2章『エリア化』に入ります。
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