18.2人の言葉①
『多分そろそろ何かしらのアクションがあるはずだから』
そう言い残した柏木君の目は真剣そのものだった。
おそらく何かがあることを恐れて、毎日学校に来てくれていたのだろう。
これがゲームだったら間違いなくそろそろ何かしらのイベントが発生するはずだ。
1週間はキリがいい。
7という数字は縁起がいい。
キリのよさだったら10日目とか、一ヶ月目とかもあるかもしれない。
だから僕たちができるのは『可能性の一つ』として警戒するだけだ。
それに気がかりなのは柏木君が帰り際に残していった言葉だけではない。
それは彼らも持ってきてくれたご飯が炊きあがり、各々のおにぎりを握っていた時のことだった。
「ダンジョンってことはさ、ダンジョンマスターがいる可能性が高いじゃん」
「あー、なんかテレビでも似たようなこと言ってたな」
「んでさ、ダンジョンマスターってラノベの転生先でもよくある職業? 生き物? なんだよね」
小田君の言葉に首を傾げる派と、確かになと同調する派がパックリと割れる。
「小田君、その『転生』というのは仏教の輪廻転生のことかい?」
「魂が他の、新しい肉体に移るっていうのは一緒ですけど、それだけじゃなくって……。この場合の転生は大抵が、神様の手違いで死んでしまった~とかの理由から特別な生き物に生まれ変わらせてくれたり、特別な力をもらって生まれ変わることです」
「ええっと、それは……」
意味が分からなかった派の筆頭である校長先生は、なおも頭の上にはてなマークを浮かべている。
神様の手違いってところは、実は僕も初めてその手の小説を読んだ時に飲み込むのに結構時間がかかったところだ。
神様だってミスくらいするというのには納得できるが、何もわざわざ特別な力を与える必要性がないのではないかと感じたのだ。
神様ならそこはドーンと構えてればいいのではないか?――と。
だが神様から力をもらったから特別なのだ、と読者が納得しやすい構造ではあると思う。
それに主人公はやっぱり他人と違う何かを持っているものなのだ。
「例えば病弱な人がこれに巻き込まれた場合、神様に『丈夫な体に生まれ変わりたい』って要望を聞いてもらって、来世では有名な騎士になるって感じですかね。オプションが何もないこともあることはあるけど、その場合は珍しい種族とかに生まれ変わったりします」
「つまり神様は自分のミスの代償として、人間側の要望を聞く形で来世での生活をある程度保証するということかい?」
「そうです、そうです!」
分かってもらえたことに喜ぶ小田君と、なるほどと納得する校長先生。
そして剛力先生は「神様も大変なんだな~」なんて呟いていた。
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