15.第5回スキル会議
今のところ第5回まで開かれているスキル会議だが、初回を例外とした4回は、この手のことにクラス一詳しいらしい小田君の持っていた『これがあればいつ異世界転移しても大丈夫! サルでも分かるスキル講座』を資料にしている。
すごい題名の本だと思ったが、これが意外と使えるらしい。
『これがあれば』とタイトルにつけるだけのことはあり、生徒達が思いつくようなスキルは全て記載してあるのだという。
段階に応じて使える規模や、おおよその消費魔力は正直あてにはならないだろう。
その代わりどのようなことに使えるかの説明は役に立ちそうだ。
名前だけ見てもよく分からないスキルも多い中で、事前に予想がつくのはありがたい。
「なぁこの『散光』って何が出来んの?」
「一つの光を分散させることが出来るらしい」
「そんなスキル、どこで役立つんだ?」
「暗所でランプを一つしか持ってなかった時、とかだって」
「一つあることが絶対条件なら光系のスキル取った方が早いな」
「だな」
こうして事前に勉強しておくことで余計なスキルを取るリスクも減らせるのだろう。
元より興味があることには一生懸命な子達が集まったのがうちのクラスだ。
その興味のベクトルが今は『スキル』にある。
ただそれだけのことだ。
護身術の一環だと思えばいいことなのかもしれない。
いくら彼らが毎日職員室の一角を占拠していたとしても……。
だが彼らがこうして毎日足を運んできてくれることでいいこともある。
「それで柏木君。私はどんなのを取ればいいのかな?」
「校長先生は結構歳だから筋力と敏捷にポイントを多めに割り振りつつも、強化系のスキルを取っといた方がいいと思う。後、継続回復とか回復系のもあったら便利かも」
「継続回復か! それは便利そうだ!」
「柏木、俺は?」
「剛力先生は力強いから筋力強化とか、そういうの取ってパワー系で固めていった方がいいかも。何を武器登録するかもあるけど、異常回復や耐性は取っておいた方が無難かな」
こうして教師陣にも説明や助言をしてくれることである。
特に校長先生や剛力先生はこの手のことに疎く、テレビで解説されている説明でもイマイチ理解できていなかったらしい。ところが生徒達が教えてくれることによって飲み込むことができたらしい。
たった2時間にして、状況理解どころか武器設定・ポイント分配、はたまたその先のスキル獲得まで話が進んでいるのだからすごいものだ。
今では生徒達と一緒にめぼしいスキルを見つけてはキッチリとメモを取っているほど。
「何かあったらそのときは教員である私達が子供達を守らなければ、だからな」
「俺たちもスーさんや家族を守れるようにしとかないと」
そう呟く彼らの背中はやる気に満ちあふれている。
これは僕も見ているだけじゃなくて、ちゃんと勉強しておかないとマズいな。
5日目にして本格的にその輪に加わる決心をした僕は、引き出しからペンとメモを取り出して空席になっていた場所へと腰を降ろすのだった。
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