14.休校メールの意味
ダンジョン発生から今日で5日が経過した。
学校でも家でも、寝る時以外はテレビをつけっぱなしにしている。
毎日自衛官達は4か所のダンジョンに潜っているものの、これと言った情報はつかめていないのか、はたまたマスコミや国民にはまだ話せないのだけなのか、めぼしい情報は入ってくることはなかった。
どちらにしてもどの駅は機能する兆しは見えないまま。
そして駅を囲むマスコミや野次馬の数も減らないままである。
各テレビ局では専門家の代わりなのか、ゲーム会社の制作メンバーを連れてきては解説をしてもらったりしている。
あのモンスターはゲームなら火系の魔法で倒せる。
ゲームならダンジョン内のダンジョンコアを破壊すればいい。
ゲーム内でドロップした魔石は剣にはめ込めば魔法が使えるようになるのだ。
――と、どれもゲームの知識ばかりだ。
それが実際に発生したダンジョンの中でも通用するかどうかは分からない。
だが彼らもそれを語るしかないのだろう。
ダンジョンの内外で保護された人の多くは精神状態が安定せず、中でのことを聞き取ることは困難らしい。一部、マスコミの質問に答えていた青年のように比較的安定している人もいるが、聞き出せる情報はそう多くはないのだろう。
素早く情報を把握し、対処できた人はおそらく自衛隊や警察官が駆けつけた時にはその場を後にしていたのだ。
「スーさん、聞いてる?」
目の前の柏木君のように。
「ねぇ君たち、自宅待機ってメール届いたよね?」
「うん」
「見た見た」
「でも家いてもやることないしな?」
な~、と顔を合わせて頷く彼らは真面目なのか不真面目なのか。
普通学校来なくていいよ! って言われたら喜んで休むものじゃないの?
僕達の時と考え方が変わったのかな?
まぁ知らないところで集まって危険な目に遭うよりも、学校に来てくれた方が安全なんだけど。
「昨日スーさんが電車は危ないって言ってたから、俺、今日は徒歩で来たんだぜ!」
「俺はチャリ」
「俺、競歩!」
「マジで!? お前いつのまにそんな高等技術習得したんだよ」
「前見た競歩中継が格好良かったから半年前から地道に鍛えてた」
「やべえな」
「俺もマラソンとか始めようかな……」
でも毎日来ることはないと思うんだ……。
誰か来るなとは思っていたから初日組に名前を書き込んだが、まさかクラスの半数が顔を見せるとは思わなかった。
しかも残りの半数は祖父母と同居しているとか、まだ幼い弟妹がいるだとか、そういう理由があって欠席らしい。
来ないのが正しい選択なのだが、誰一人としてまともに自宅待機をしようとした子はいなかった。
いくらうちのクラスは就職・専門コースで、参考書と過去問題集広げてガリガリと勉強する必要はないとはいえ、とりあえず家でゲームでもしておけばいいものを、なぜ学校へ来るのか。
その理由は簡単だ。
「それでこの辺りのスキルが低レベルでも有用だとは思うんだ」
スキル会議を開くためである。
今回の議題は『低レベルでも使えるスキル』である。
ちなみに前回は『パッシブスキル』についてであった。
パッシブスキルとは常時発動型のスキルのことで、発動条件がないものが多いらしい。
攻撃目的の物はほとんどない代わりに発動忘れもなく、自己防衛向きの物が多く存在するらしい。
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